#02 THE GUILD勉強会「Design in Tech Report 2018 を読み解く」に参加してきました
今更ながら、これが初noteです。
軽く自己紹介しておくと、訪日旅行客向けのインバウンド事業をやっている株式会社MATCHAで、ディレクターとして働いている神谷和紀と申します。
今回は、弊社に投資してくださっているTHE GUILD主催の勉強会「Design in Tech Report 2018 を読み解く」にお邪魔させていただきました。本来なら抽選でなかなか参加できないところ、ありがたいごとに招待枠で参加することができました。
■ Design In Tech Reportとは
デザイン×テクノロジーの第一人者として著名な、日系アメリカ人のジョン・マエダ氏が、2015年から毎年発表しているレポートです。このレポートは世界的にも注目度の高いもので、2018年版は今までの集大成的な内容だったため、勉強会では過去のものも交えて話が進められました。
上のリンクが、2018年版です。ゲストスピーカーとして登壇されていた、佐々木さんや松田さんが所属のTakramによって、日本語に翻訳されたものです。
■ 勉強会メモ
では、実際に勉強会で聞いたことと、自分の考察を簡単にまとめていきます。あくまでも要点だけなので、その点はご了承ください。
・データから見るDesign Tech
まず最初に、2015年度版のレポートを使用して、ここ数年のデザインとビジネスの流れについて語られました。
上の図は2015年版の中の1ページで、ここ数年で多くのデザイン会社が買収されたことを示すもの。大きく分けると買収した企業の系統としては、テック企業(Facebookなど)、コンサル(Accentureなど)、金融(CapitalOneなど)になります。
今後、よりしっかりとビジネスで儲けていくためには、要件が固まった時点で指示を出してデザインさせるのではなく、初期段階からデザインを巻き込んで物作りをする必要があり、そのために優秀なデザイナーを皆求めているそう。
それには自社で育てるよりも、優秀な人材を買った方が早いということで、このようにデザイン会社の買収が進んでいるというわけ。ただ、買収した結果として、上手く言っているところは多くないみたいです(買収した側とデザイン会社側で、意識のズレなどがあったりするため)。
・デザインには3種類ある
ここからが本題で、2018年度版のレポートについて触れていきます。
まずデザインには、上の画像のように3種類あって、それぞれが一体どういうものか簡単に説明しておくと、
1. クラシカルデザイン
→椅子やポスターなど、従来型のものづくりの考え方
→完成形があって、そのものを作るための正しい方法が存在する
→従来型とはバカにしているのではなく、尊敬の念を込めた呼び方
2. デザイン思考
→いかなるビジネスにおいても活用できる、デザイナー的思考のこと
→まずはニーズを観察した上で、課題を見つけてアイデアを出す
→そこからプロトタイプを作成し、試行錯誤を繰り返して完成する
→日本では未だにこれが多いが、世界的には時代遅れになりつつある
3. コンピュテーショナルデザイン
→デザインの根幹である創造において、テクノロジーを使うこと
→デザインがブーストされた形態で、適用範囲が広く影響範囲も大きい
→完成形がなく、常に進化し続ける
→これからの世界は、このコンピュテーショナルデザインの時代
これらはそれぞれ独立したものではなく、クラシカルデザインから順番に登場してきたものであり、コンピュテーショナルデザインもクラシカルデザインなくしては、生まれなかったものです。そのため、我々も最新のコンピュテーショナルデザインだけを理解すればいいのではなく、徐々に全部理解していくのが理想的だということです。
・コンピュテーショナルデザインとは
クラシカルデザイナーが椅子やポスターなど特定の人向けのものを作るのに対して、コンピュテーショナルデザイナーはスマートフォンのアプリなど、何億人もの人々が使う可能性を秘めたものを作ります。
両者には様々な相違点がありますが、だからといって前述のようにコンピュテーショナルデザイナーがクラシカルデザインを無視していいわけではありません。クラシカルデザインをベースにしつつデザイン思考も交え、そこにプログラミングなどの最新の知識や技術を学んで盛り込むことが、今後は必要だと思います。
・これからのデザイナーに必要なスキル
上の画像がレポートでも示された、今後のデザインに必要とされるであろうスキルの一覧です。まるで総合格闘技のように、覚えるべきことが非常に多く、はっきり言ってこれらを全てマスターするのは現実的ではないでしょう。
そのため実際のビジネスにおいては、それぞれの得意分野を1つ2つと作り、更に他のメンバーとそれを交換するスキルが重要になります。Takramでは、実際に1人が3つ(ビジネス・テック・クリエイティブ)の中から2つの分野を選んで、チャレンジングなことをやるのがノルマになっているそうです。
ただ、実際に同時に複数のことをやっていると総合格闘技的な視点は身に付くかもしれませんが、1つのものに対するクオリティは下がる恐れがあります。だからこそ、チームを組んで2つぐらいの能力を持つエキスパートが集まり、お互いをカバーしていく必要があると言えるでしょう。
また、そのエキスパートについて、今後は〇〇デザイナーという肩書きがもっと増えるだろうというお話が興味深かったです。より多くのスキルが求められるということは、それだけ多くのバックグラウンドを持った人間が必要になること。なにも美大を出たような人ばかりでなく、今後は法学部や経済学部出身などといったデザイナーが、どんどん増えていくでしょう。
■ 感想
私はエンジニア上がりのディレクターで、そもそもデザインのことをあまり知らなかったため、率直に言って理解しにくい部分もありました(ジョン・マエダ氏のことも、直前まで知らなかったです)。ただ、その中でも特に印象に残った部分を挙げると、これからのデザインにおいて必要とされるスキルの部分です。
私の働いているMATCHAでは、訪日外国人に向けて日本の魅力などの情報発信を行い、世界最大の訪日観光プラットフォームになることを目指しています。社内には様々な職種の人間がいる中で、それぞれの得意分野を生かして、そのゴールを達成すべく頑張らなければいけません。
〇〇デザイナーという言葉を少し前に使いましたが、うちの会社で例えると仮に編集部の人間なら編集デザイナー、ディレクターの私ならディレクションデザイナーなどといった具合でしょうか。それぞれの立場で、どうすればユーザーに喜んでもらえるのか、どうしたら役立つコンテンツを作れるのか、意識してデザインしていく(ものを作る)必要があると感じました。
また、実際にものを作る立場の人間だけでなく、総務や経理だって立派なデザイナーだと思います。編集デザイナーやディレクションデザイナーが円滑にものづくりを進めるために、スムーズな契約フローなどを考えるのも、組織には欠かせないデザインの1つでしょう。
最後に、非常に有意義な勉強会で、2時間が本当にあっという間に過ぎていったので、次の機会があればまた是非とも参加させていただきたいです。本当にありがとうございました。
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