父とがん。①
腰が痛いと言っていた父。
ゴルフが大好きで、特にゴルフに行った後に腰が痛くなるとのこと。
湿布を貼れば、次の日には治ってる。
そんなことが続いた数ヶ月。
腰痛が続いた結果、癌が発見された方を知っていたので、冗談交じりで「もしかしたらもあるから、早く受診した方がいいよー」なんて話していた。
実は、糖尿病がある父は、月イチで総合病院へ通っていたので、その先生に相談してみたら?とも話していた。
8月の定期受診で、腰のことを伝えたらとりあえず湿布が処方された。
それでも、やはり腰の調子は良くならず。
2020年10月下旬、ようやくMRI検査をすることに。
すると、検査数日後、実家の電話に病院から連絡があり、次の受診を待たずに、検査結果を聞きに行くことになった。
11月上旬に実家に帰ると、父が「9月に祝えなかったから」と、私への誕生日ケーキを買ってきてくれていた。嬉しくてあらゆる角度からケーキの写真を撮った。
そのケーキを家族みんなで食べた後に、母が真剣な顔で「お父さんから話があるからよく聞いてね」と言ってきたので、父に「どうしたの?」と質問すると、検査結果を話し始めた。
検査をしたのは知っていたから、その結果報告だろうな、とは思っていたけれど。やはり。
父から告げられた病名は「脂肪肉腫」というものだった。
右の腰部分に、10センチくらいの大きさのものがある、と。そして、それは肺にも転移していると。
どうやら、稀な病気らしく、県内での症例も少なく、きちんと診てもらうようにと、すぐに築地の病院を紹介され、築地の病院を予約。
家族全員が初めて聞くその病名に、私は「大した事ないのかな?」「すぐ治るのかな」と思い、「よく診てもらおうね〜」なんて、軽く言っていた。
でも、今の世の中。
インターネットという文明の利器で、何でも調べられてしまうのです。
もちろん、調べました「脂肪肉腫」。
そこに書いてあったのは、「悪性腫瘍」の文字。
頭が真っ白に。
悪性腫瘍って、何?
え、癌とは別なの?
癌じゃないから大丈夫?
「がん」とはハッキリ書いていない。
でも、「悪性腫瘍」と書かれている。
しかも、「生存率」なんて言葉を見てしまうと、これは良くない病気なんだ、と心臓がバクバクし始めた。
怖い。
嫌だ。
どうして。
何で。
マイナスなことばかりが頭の中をぐるぐるぐるぐる。
お風呂に入ってひとりになったら、涙しか出てこない。
お父さんと離れたくない。
お父さんがいなくなることを想像できない。
そんなこと今まで考えたことがなくて、父自身も「死ぬ感じがしない」といつも言っていて、とても元気だったから。
でも、父の体の中に「脂肪肉腫」があるのは事実。
しかも肺に転移までしている。
これはただ事じゃないんだ…。
約、1ヶ月遅れで私の誕生日をお祝いしてくれたその日から、父と家族の闘病生活が始まりました。