バッハと数字
今日レッスンで生徒さんとインベンションの13番を一緒に弾きました。
以前はあまり感じなかったのだけれど、今日はやたらと音の動きや左右の掛け合いなどがとても暗く怖く感じてそして、以前から気になっていた数字についてしっかりと考えることにしました。
音は目に見えません。手にとって留めておくことができません。
立ち上ってはすぐに消えていき、二度と戻ってはきません。
私たちが「美しい音」とか「きれいな響き」とよぶものは、私たちの記憶の中にあるものの感想なのです。
もしかしたら、そんな音、最初からなかったのかもしれない・・・錯覚だったのかも・・・
そんな実体のない音を確実に操作するために、西洋音楽では音に記号や数字を割り当てて、手に取れるもの、目に見えるものにしたのです。
この記号や数字に数秘学の意味づけが大きく関与されるのは、当然の流れなのかもしれません。
数秘学は、数の神秘を解明する学問で、発祥は古代バビロニアだそうです。これを体系立てたのがピタゴラスといわれています。
彼によれば、「この世のものはすべて数字で表わすことができる。その数字の真の意味を理解すれば、その背後にある隠された真実を知ることができる。」ということです。
宇宙の万物は振動している。その振動を数に変換することで、あらゆるものの真理を解明しようとしたのです。
この論理をさらに発展させたのが、ユダヤ教神秘主義の「カバラ」です。
そこでは、ヘブライ語のアルファベットが数字と対応しています。
特にバッハのいた17世紀では数字の比喩的な意味が重要視され、同時にルターの宗教改革とともに信仰を語る手段として音楽が大きな役割をもつようになったのです。
バッハの音楽は、ただ聴くだけでも、時代や環境や人種を超えて全ての人に普遍的に素晴らしいものですが、数秘学的見地から彼のメッセージを紐解いていくことも、より理解を深められるのです。
そこで、13という数字は一体人間にとってどんな数字なのかを調べてみました。
①未知数説
原初人間が身体で計算できた数は手指の10と両足の2、計12であり、
それを上回る13は「不可能(未知)の数」であるから本能的に恐れたとする説。
②非調和な数説
12は60の約数の一つである。古代においては暦の必要性から時間や方位に六十進法が用いられたため、
12か月や12方位、12時間などのように時間や方位にも12がしばしば用いられてきた。 12に対し、12の隣の素数である13は、その調和を乱すものとして不吉な数と考えられた。
③宗教的要因説
北欧神話では、12人の神が祝宴を催していた時に、招かれざる13人目の客としてロキが乱入した。
このロキがヘズをたぶらかしてバルドルを殺害させており、後に起こるラグナロク勃発の起因となった。
キリスト教神話においては、サタンを13番目の天使であるとする設定は、土着神話のキリスト教化の中で、この話を元にしているとされる。
13という数字は聖書でも特別な意味を持っている。イエスを裏切った弟子であるユダは、最後の晩餐で13番目の席についていたとされる。
13という数字は感覚的に嫌だと感じる事も、原初を辿れば本能的に避けたくなる数字だということが理解できました。
次にキリスト教が気になってきます。
キリスト教と数字とバッハについて調べてみました。
3 =神(天と地と精霊の三位一体)
4 =人、地球(方位、四季、4元素、4気質、喜怒哀楽等、人の世のものは4つに分けられることから。)
6 =天地創造に費やされた日数(バッハの、フランス、イギリス舞曲、パルティータなどが6曲からなっているは偶然ではないらしいのです。また楽典では音の度数の6度は最も響きのよい数と決められています。数学では最初の完全数となっています。)
7 =安息日、神と人の数を足したもの
10=十戒(十戒とは、シナイ山に導かれたモーセがイスラエル人の長(おさ)として神より与えられた10の掟です。この掟はイスラエル人が正しく生きるための基準として用いられました。
大きく2つの前半・後半に分けられ、前半の第1〜4戒は神に人の義務と責任について示されていて、後半の第5〜10戒は人間の、人間に対する義務と責任について示されています。)
11=ユダを除いた12使徒(マタイ受難曲では合唱曲に11小節を割り当てて象徴している部分が何箇所かあります。)
12=教会、信徒 聖なる数
13=災い(最後の晩餐の食卓にはユダを含め13人いたことから)
14=バッハ(BACHをアルファベット順に足していった数。14の音符、14の楽器で表現される音楽は、バッハ自身が発言しているのだ、という解釈もあります。)
アルファベットは26文字です。12の倍数の聖数に合わせるためには2文字あまってしまいます。なのでIとJ、UとVをひとつと数えてそろえるようにしています。IとJがひとつなのは、ドイツ語の発音が同じだからともききました。
そこで、BACHはB=2、A=1、C=3、H=8で足して14。
S・BACHは41(14の逆)
JOHANN SEBATIAN BACH は140(14の10倍です。)
音楽の全ての調は12の倍数の24。
平均律は24曲から成っています。
1巻最初のフーガは14の音(BACH)のテーマではじまります。
そして、1巻の最後のフーガ、2巻の最初と最後のフーガは21個の音符でできています。これも偶然ではないはず。
21は7という象徴数に3という神の数を掛けた数字という見方もあります。
また、彼の宗教曲では、聖書の詩篇の番号と曲の小節数、歌詞を一致させたものが多々あります。
音の数、拍子、調、調の頭文字、小節数とあらゆるところにバッハは深遠なメーセージをちりばめている。
毎日バッハの曲を何かしら弾いていますが、人生を音楽と神様に捧げたバッハの素晴らしさは本当に尊敬しますし、毎日感動し圧倒され続けています。
世代を超えて語りかけてくるバッハは本当に偉大な宇宙です。