ちいさすぎる本屋
語りうたう友人の今年のお仕事がおわり、ふたりで出かけた
計画があってないようなわたしたちのデート
時間も行き先も決めないことが多い、安定の「行き当たりばったり」
あまりに寒いから、どの店も席が空いているはずだねと借りた車を走らせたけれど、店前の「店休日」「closed」にふるえながら笑う
けれどそのおかげで、ずっと行きたかった場所にいけた
唐津のちいさな本屋「ten」
数年前に佐賀の写真展でお会いした縁でInstagramをフォローしていたten店主
その頃は毎月10日だけに開くカフェをされていたと記憶している
彼女の紡ぐ言葉がすきで、いつもたのしみに読んでいた
すこしだけ迷って行き着く
勝手にブックカフェだと思っていたが、カフェではなかった
ああ、こんな方だった、とお会いして思いだす
tenは、ほんとうにちいさくて本の冊数もすくない
でもなんだろう、この満ち足りたじゅうぶんな感じ
気になるひとの本棚を覗かせてもらっているみたいだ
大きな本屋には、当たり前だがたくさんの本がある
けれど本屋に行けば、必要なジャンルの知っている作家の本を探すことがほとんどだ
tenでは、いろんなジャンルの本が、所狭しと並んでいる
わたしが持っている本を見つけるとうれしくなるし、知らない本は手にとってみようと思う
興味を持って店主に問えば、その本の素晴らしさを喜びとともに教えてくださる
ハローハロー
こんにちは
わたしと本が出逢う場所
じぶんが選ぶことには限りがある
時間の使い方も
けれど、すきなひとにあって、どこかへ出かけると、草原に連れ出してもらったような思いがけない開放感と喜びをもらう
ひとりでは見ることのできなかった風景
友人がたくさんの本を買っていた
ほくほくするー
本を抱える姿というのは、なんでこうも、ひとをしあわせにするのだろう
ten店主おすすめのカフェに到着し、栗の木のテーブルにつくと、雪舞う窓から光がさしてきた
ハローハロー
ありがとう
出逢いは祝福だ