【つぶやき】コロナと演奏会と。
新型コロナウイルスの感染拡大がなかなか収まらない。春の緊急事態宣言が明けて以降、様々な防御策を講じながら新しいスタイルの生活を送るようになったものの、音楽分野は完全な復活を遂げたとはまだまだ言い難い状況にある。
それもそのはず、様々な行動制限が緩和されて以降、本当に少しずつ演奏や人との練習などができるようになってきたのは早くても6、7月以降というところ。
そこから練習の方法や演奏会の開催方法を模索し、十分な準備期間を考え、会場を押さえることなどを考えると、2020年内、12月までの日程でコンサートの本番にたどり着くことは、少なくともアマチュアの音楽団体などにはかなり難しい。
しかしながら、8、9月頃から無観客のオンライン演奏会や、フィジカル(対面)とオンラインの併用型の演奏会などが開催されるようになってきた。
感覚的には、計画から実施までをスピーディーに行うことが可能なソロ、デュオ、小規模アンサンブルの演奏会が多かったように思える。
同時に、オンラインは単なるフィジカルの代替であっては満足度の高いコンテンツにはならない、このことに気づいた多くの人々が、オンラインならではの演奏会の楽しみ方も模索して企画をするようになってきた。聴衆とのコミュニケーションや、柔軟なかめらアングルの設定などはこれらの例として様々な演奏会に取り入れられている。
音楽にも新しい文化が生まれ始めているのだ。
そうした様々な音楽業界の試みが良い影響を与えているのか、8月以降には演奏会の企画を始める知り合いの音楽家が多く見られるようになった。
客席数を減らしたり、オンラインで提供できる音質等への不安など、様々な考えごとは尽きないものの、いま音楽家として伝えたい音楽があることや、なんとか聴き手との接点を絶やさぬようにする人々との対話には胸を打たれるようなことが本当に多かった。
そんな時私はありがたいことに、そうした音楽家たちに演奏会づくりや企画に関わらせてもらうことが多い状態にあった。たくさんのエネルギーと浮かび上がるアイデアに、その人の思いやビジョンを読み取って納得のいくプランづくりのお手伝いをすることには、この上ないやりがいと感謝を持って全力で動けている自分がいることを実感する。
そんな音楽家との対話の中で、演奏会づくりで多くの人が大切にしている共通したモノが見えてきたり、少し前の時代にはなかった現代の演奏会像が見えてきたりもするもので、とても興味深い。この辺りはまた別の機会に書きたい。
何を言いたいわけでもないが、様々なインスピレーションを持った音楽家たちの思考を整理するような役割になれるのが、最近の一つの生きがいだったりもする。ひとりひとりの音楽家とパートナーとして向き合ったときに見えて来るもの、共有できたビジョンの先には、その人の音楽を聴くことで笑顔になったり、人生の豊かさを実感する聴き手のことも見えてくる。
コロナ禍でも音楽や演奏会は楽しむことができる。あらゆる現場で音楽に関わる人々が、このことを証明すべく知恵を絞って一生懸命活動している。
自分も音楽家の1人として、いま関わらせてもらっている現場に全力を注いでいきたいものだ。
たとえコロナウイルスが完全に収束せずとも、「ウィズコロナの様式下において音楽は楽しめる!」そんなメッセージが社会的に強いインパクトを残して欲しいものである。
きっと大丈夫。最近、2021年3月頃の音楽等ホール施設の予約状況を見てみると、都内も神奈川も埼玉も、予約が埋まっている施設ばかり。
多くの音楽家が、春に復活とばかりの演奏会を開催しようと、見えないところで動いているのだろう。
これは、毎週聴きに行くのに忙しくなりそうだ。
3月頃にはコロナウイルスに気をつけながらも、様々な人が音楽を聴きに足を運んだり、様々なオンライン演奏会をハシゴしたり。。。
音楽業界にとっての新しい盛り上がりが感じられるものと期待したい。。。
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