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発達性協調運動障害 (DCD) とは?支援の鍵
発達性協調運動障害(DCD)とは?日常生活への影響と支援の重要性
こんにちは。今日は「発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder、以下DCD)」についてお話しします。この障害については、まだ知らない人も多いかもしれませんが、特に発達障害と関わりの深いテーマです。DCDは、運動スキルの習得や使用に困難を抱える発達障害の一種で、日常生活においてさまざまな影響を及ぼします。
DCDの特徴と背景
DCDは、視覚、触覚、固有覚などの感覚情報を統合し、動作を計画・実行する能力に問題があるために生じます。簡単に言うと、運動や動作がぎこちない、器用さに欠けるといった特徴が見られるのがDCDです。
例えば、靴紐を結ぶ、箸やナイフ・フォークを使う、字を書く、ハサミを使うといった手先の動きや、体全体を使う運動が苦手です。
他の発達障害との併存率
DCDは他の発達障害と併存することが多く、特に以下のケースが報告されています。
自閉症スペクトラム(ASD): 約80%の人がDCDを併存。
注意欠如・多動症(ADHD): 30~50%の人に併存が見られる。
限局性学習障害(SLD): 約50%がDCDを併存。
これらの障害が合わさることで、日常生活や学校生活にさらなる困難が生じることがあります。
日常生活での具体的な困難
DCDは、体育やスポーツだけでなく、日常生活の些細な動作にも影響を及ぼします。
以下のような場面で不器用さが目立つことがあります。
靴紐を結ぶ、ボタンを留める
食事で箸やフォークを使う
書字や絵を描く
遊びや運動の中での動作
これらは一見すると「練習不足」や「怠けている」と誤解されがちですが、実際には本人の努力不足ではなく、脳の協調機能に問題があるためです。
DCDの心理的影響と二次的な問題
DCDは、本人の自己肯定感や精神的な健康にも影響を及ぼします。学校生活では、動作のぎこちなさから「いじめ」や「不登校」に発展するケースもあり、親としては大きな心配の種です。また、子ども時代に適切な支援が行われない場合、大人になってからも困難が続き、次のような二次障害につながるリスクがあります。
精神的な疾患(うつ病、不安障害など)
健康問題(肥満、糖尿病、高血圧など)
社会的な課題(仕事の効率低下、対人関係の困難など)
大人になっても続くDCDの課題
DCDは子どもだけの問題ではありません。大人になっても次のような場面で課題が続くことがあります。
ヒゲ剃りやメイクなどの身だしなみ
料理や家事
自動車の運転
タイピングや書字
これらの課題は生活の質を低下させる要因にもなります。
支援と環境の整備が鍵
DCDの支援において重要なのは、本人の特性を理解し、適切なアセスメントを行うことです。そして、本人が興味を持ち、成長を実感できるような環境を整えることが求められます。
課題の設定: 本人が取り組みやすい目標を立てる。
適切なサポート: 無理のないペースで支援を行う。
環境整備: 楽しく、失敗を恐れずに挑戦できる環境を整える。
これにより、本人が運動や動作を楽しみながら成長していける可能性が広がります。
まとめ
DCDは「怠け」や「やる気の欠如」ではなく、脳の発達に起因する問題です。そのため、周囲の理解と支援が欠かせません。子どもの頃の適切な対応は、自己肯定感の向上や二次的な問題の予防につながります。また、大人になっても課題が続く場合は専門家のサポートを受けることが重要です。
DCDに関する理解を深めることで、本人が自信を持ち、自分らしく生活できる環境を提供していきたいですね。
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