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発達障害と「ガサツ」の意外な関係

発達障害を抱えるお子さんがいるご家庭では、日常生活の中で「ガサツだな」と感じる場面がよくあります。例えば、階段をドタドタと歩いたり、ドアを勢いよく閉めたり、コップを置くときにガシャーンと音を立ててしまったり…。私も含めて多くの親が「丁寧にやりなさい」としつけようとするかもしれませんが、実はこれらの行動には「固有感覚のつまずき」が関係している場合があるのです。今回は、この「固有感覚」とその仕組みについて詳しく解説していきます。

▼ 参考資料

まず、私たちが普段よく知っている感覚といえば「五感」です。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五つで、意識しやすく、自覚できる感覚として知られています。一方で、もう一つの「無意識的に働く感覚」があります。これが「固有感覚」と「平衡感覚」です。このうち「固有感覚」は、筋肉や腱、関節の感覚センサーが働いて、体の動きを感じ取る仕組みです。具体的には、以下の3つの情報を脳に送っています。

  1. 関節の角度

  2. 筋肉の収縮の程度や力の入れ具合

  3. 筋肉や関節の運動状態(どの部分がどう動いているか)

この「固有感覚」は、物の重さを感じたり、体の位置や動きのバランスを保つために重要な役割を果たしています。しかし、発達障害があるお子さんの場合、この感覚がうまく働かないことがあり、生活の中でいわゆる「ガサツ」に見える行動が現れます。

例えば、階段を上がるときにドタドタと足音が大きくなってしまったり、ドアを強く閉めてしまう行動は、「どれくらいの力で動かせばよいか」の感覚がつかめていないからかもしれません。また、物を置くときにガシャーンと音を立ててしまうのも、力加減がうまくいかないためです。このような場合、ついつい「乱暴にしないで」「静かにして」と注意してしまいがちですが、実際には「固有感覚のつまずき」が原因かもしれません。

この「固有感覚」を育てるためには、感覚統合を促すトレーニングが効果的とされています。専門的な療育では、感覚統合に焦点を当てたプログラムや運動が取り入れられます。たとえば、椅子の上に座ってぐるぐる回る運動や、ジャングルジムを登る、滑り台を滑るなどが効果的です。これらの活動によって、自分の体の位置や動きを感じる感覚が徐々に育まれ、ボディイメージが改善されていきます。

こうした取り組みには、親や周囲の理解も欠かせません。「ガサツな行動=悪い行動」と捉えるのではなく、「固有感覚のつまずきがあるのかもしれない」という視点を持つことで、お子さんが取り組みやすい環境が整うかもしれません。

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小野一磨|ヌリエ
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