エネルギーよ、ありがとう
小田原のEV専門カーシェア「eemo」のアンバサダーに就任した。3ヶ月間、講義を受けたりSNSで発信したりするのが主な活動である。
応募当時の私はペーパードライバーだった。実家を離れて都内に住んでからは、車に乗ることはほぼなかったのだ。電車に乗れば勝手に運んでくれるのに、わざわざ自分の手で運転をするのは理解ができなかった。移動中の自由を捨ててまで、車に乗る気にならなかった。
移動にはエネルギーが要る。早く動くには、それに見合った燃料が必要だ。人間の体では燃焼できるエネルギーに限りがあるから、車のように速くは動けないのだろう。身体の強度も全く足りない。だからあくまで、運転席から外のエネルギーをコントロールするに徹する。それでも、やっぱり電車に運んでもらうよりは、疲れも溜まるしエネルギーを消費する。私は移動のエネルギーを、全て外部調達したかった。
さらに、ペーパードライバーの人間が車に乗るにはまた別のエネルギーが必要になる。モチベーションである。なくても困らないものにトライするには、心の燃料をはげしく燃やす必要がある。それなりのきっかけがなければ、一生前には進まない。
今回、そんな私の背中を押した出来事が2つある。「eemo」のアンバサダー募集、そして第一子の誕生だ。
SDGsやサスティナブルといったワードには、もともと関心があった。わたしも多少の良心は持ち合わせているので、未来のために今の恵まれた環境は残していきたい。そんな想いが根底にあるため、率先してEVに乗り発信していくことが自己肯定感にも繋がり、かつ車に乗る習慣にもなると考えた。
また、第一子の誕生も私の背中を強く押した。これまでは電車に運んでもらう側だったが、今後は自らが子を運ぶ立場になる。そうなるとやっぱり、車があった方が便利である。家族をみんな運ぶには相応のエネルギーが必要だ。
この2つのきっかけが、私をペーパードライバーから脱却させてくれたのだが、車のある生活は想像以上に快適だった。重い荷物もなんなく運べる。駅まで歩く必要もない。時間合わせも不要。先人たちはとんでもないものを作ったなと、しみじみ感じている。そしてエネルギーよ、ありがとう。私が今受けている恩恵は、後世にも残していかねばならない。
アンバサダー就任と第一子の誕生は、私にとってECOへの意識がより高まる経験となった。