第16話 │ 涙
近頃、涙を流すということに疎遠になっている。
もう間もなく21という歳を迎える我が身だが、悔しかったり、自分がどうしようもなくなってコントロール出来ずに流す涙は数年流していない。
何度も話に出ている大好きな映画で感動して涙を流したり、それこそ目にゴミが入って流れる涙はある。
怒られて泣くなど、子供の所業であるし別れの涙は、湿っぽいと言われる。
涙について深堀りする前に、今回なぜ涙をテーマにしたのか。
それは、こちらも何度も以前に話に出ている友人に起因するものである。
専門学生生活で、現状1番深く関わりを持つ人がいる。その子が、とあるコンテストの予選に出たのだ。
かなり前から着手し、何度も相談に乗ったし同じ思いで考えた。
予選前日まで、熟慮を重ねた。
いざ当日の朝、友人の思いの常を改めて聞いたのだがそれは自分なりに「いけるっ」と確信した。
そして、私は背中を力強く押してプレゼンの場所へ送り出した。
コンテストの予選は結果がその場で出ると言うので、私は外で待っていた。
何分かした後に、ことを終えた友人が外へ出てきた時、目に浮かんでいたのは大粒の涙だった。
嬉し涙には到底思えない、赤く染った白目。
(まじか、、、。)と、内心思った自分がいた。
さらにそれは1年半近くずっと近くにいる私にとって初めて見た涙だった。
少しの間を置いて、聞いた。
「どうやった?」
すると、
「やり直し」
と言われたそうだ。
予選の参加者は二人、全国の学校が集まって11月にある本番に向けて、うちの学校の代表を決めるための予選。
サシで、戦って両者ともに学校が求めるレベルには達していなかった。
そこで流れた涙は、何者なのだろうか。
負けてはいないが、学校の求める水準に達せなかった敗北感からなのか。
グッと力を込めて挑んだ分だけ募った思いと結果が相反することで生まれた悔しさのような喪失感のような涙なのか。
張り詰めたコンテスト会場から出て、気の許せる仲間を見つけた時に解けた涙なのか。
様々な推測や憶測をしたのだが結局最後まで分からなかった。
感情とはそう簡単に言語化できるものでは無いし、これと断定して言い切ることなんて到底できない。
しかし、そこにあるのは紛れもない涙だった。
意味することはそれ以上でも以下でもない。ただ、涙にぬれる日。
共に頑張っていかないと。
そう強く思いを増幅させる出来事だった。
ふと思ったけれど、涙ってなぜさんずいに戻なんだろう。
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