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第23話 | 推し
みなさんは推しがいるだろうか
推しと聞いて少し前まではアニメのキャラクターやアイドル・その類のもの限定で
想像していたからか推しに対してあまり本気な人はいないし自分ごととは遠いものだと考えていた。
しかし今回私の中の推しがいたことが発覚した
それは英国俳優ベネディクトカンバーバッチだ。
かれこれ10数年来彼のことが好きでドラマや映画をよく見ていた。
(とりわけBBCのSHERLOCKなのだが)
先週の木曜日ふと最近ではあまり開かなくなっていた
X(旧Twitter)の映画のアカウントを開いた
そこのTLにはコミコン2023誰々(来日セレブ)と写真撮ってくる!
といった投稿が何件か見られた
しかしそこにはなんとベネディクトの来日情報も記載されていた。
これを見た瞬間心がおかしくなった。
本当に彼が日本へ来てお金さえ払えば会うのみならず横並びで写真を撮れるというのだ
こんな心の高鳴りは初めてかもしれない夜21:00ごろにそのニュースを見たのだが重くなっていた瞼はその重さをどこかへと飛んでゆき
気づけば0:00ごろまでスマホを握りしめてバクバクとしていた
チケットは来日セレブの中でもトップの金額だったがもうすでに公式のサイトからはSOLD OUTの文字が浮かび上がっていた。
某オークションサイトで見るとなんと正規価格で上がっているではないか。
思わず入札した。
次の日もまた仕事だというのに、その夜はほとんど眠れなかった。
しかしこのオークションも残念な結果に終わる。
入札者がたった一人の状態で期限の残り5時間前になった。
その時間は自身が仕事だったので終わってからスマホを開いて私はまた気がおかしくなりそうになった。
なんと出品者からの出品取り消しの文字がそこにはあった。
これにはひどく憤慨した。
100歩譲って競で負けたならわかる。
しかし出品者は競られることも無く出品価格のままで落札になりそうだったから取り下げたのか、はたまた自身で行く事にしたのか真相はわからずぶつけようのない怒りだけがその夜は渦巻いた。
それと同時に私の中の感情がこれほどまでに乱れたのは学生の時のテスト返しの時以来かもしれない。
当時は教科ごとに帰ってくる点数をみて一喜一憂したものだが、感覚的にはそれに近いようなものかなとも感じる出来事だった。
感情は全く別物なのだが。
しかし思いの強さが大きければ大きいほど人は乱され混乱し惑うのだなと。推しは推しでも自分の憧れで機知に富みあんなにもスマートなのにお茶目さをまとう彼はイギリス人の紳士的な側面から見ても一流で魅力あふれる人物だなとそう感じた。
これだけ残念がっているが、当日の仕事の休みも取れて会場チケットを手に入れているので一目見ることはできるのだが、、、。
写真を撮れると上げられていた分やはり落とされた側のこの微妙なモヤモヤはどうしてくれようか。
と。