「内定式」と「何者」
少し前まで会社のインターンのメンターをやっていたこともあり、
参加した学生と話しながら、自分の就職活動の頃を思い出したりしてました。(というか、学生時代からもう10年経ったてことですよね。まじで、はえー。)
自分の就職活動を振り返ると、「内定式」のことを一番に思い出す。
当時の僕は2回目の就活で今の会社になんとか内定して、期待に胸を膨らませながら内定式に参加した。
ただ参加してみると、ある大学出身者の内定者数名は、ドレスコードを決めて参加していたり、インターン入社組や(当時の最大勢力だった)慶應出身者の、既に出来上がっている空気に、ビビり散らしていた。
そんな僕は、着古したリクルートスーツ姿で、誰とも話さずに隠れるように後方に座っていた。
「式」というからには厳かな雰囲気を予想していたが、どちらかと言えば「パーティ」で、社内の有名クリエイター社員のありがたい話を聴く講演会もあったが、どことなく浮ついた雰囲気だった。
(ドレスコードのうちの一人が、その有名な社員が紹介した事例に対して「知ってるぅー!」と声をあげている様子も衝撃的だった。)
僕は、このパーティピーポー達と同期になることに対して、
早々にウンザリしていた。
いや、というより、めちゃくちゃ不安だった。
「そもそもの社会人になる」というベーシックな不安に追加してこのスクールカーストの上澄みだけを丁寧に濾した連中と、やっていけるか不安で不安でしかたがなかった。
そんな中、有名な社員のありがたい講演会が終わり、
その後は(今は無き)13FのKIHACHIでの立食パーティーだった。
当然、立食パーティーなんて初めてで、それに加えて僕はお酒を飲めないこともあり、ウーロン茶をこっそり手に取り、後ろの方で影をひそめながら、乾杯の挨拶を待っていた。
そして乾杯の挨拶は、当時の専務執行役員の方だった
(と思う、どなたか名前を忘れてしまいました。すみません)。
結論から言うと、この方の乾杯の挨拶が素晴らしく良かった。
そして、この時の乾杯の挨拶が、僕がこの会社で働き続けている理由になっている。
「内定おめでとうございます!この会社は、自分が何者かを問い続けられる会社です。ぜひ、何者かを問い続けてください。乾杯!」
衝撃だった。
「会社の一員として、頑張ってください。」ではなく、
「あなたは、何者かを問い続けてください。」
社会人になることは、その”会社ナイズされてしまう”という、という当時の僕の就労観を大きく裏切るものだったし、何より会社のトップが、そんな挨拶をすることに素直にカッコイイと思った。
同期たちとも頑張ろうと思えた。
あれから10年たって、カーストの上澄みだと思った同期達は、
ことごとくイイやつだとわかったし、
「自分が何者かを問い続けられる会社」というよりは、
「お前は何者かを問われ続ける会社」だということもわかった。
「粒ぞろいより、粒違い。」はこの会社にいるとよく聞くけれど、
あれは「お前は何者か?」「ちゃんと、粒違いか?」ということを問われているということなのかもしれないな。
ちゃんと粒違いであれるよう、
自分が何者かをこの会社で問い続けてみようと思う。
そんなことを思い出した。