見出し画像

サイアノタイプ(Cyanotype)のやり方について

サイアノタイプ(Cyanotype)はシアノタイプや青写真、青焼きとも言われる、いわば感光紙を用いた古典的な写真プリント技法の一つです。
私は約2年ほど前にこのサイアノタイプに惚れ込みました。
サイアノタイプは銀塩写真に比べて環境負荷が低く、人体に害のない鉄塩を用いています。
そのため昨今ロンドンの写真家の間ではサスティナブルの観点で注目されているようです。

サイアノタイプはいわば感光紙、なわけで、ある一定の年代の方に話すと「むかし、駄菓子屋にあったなー」とつぶやかれたりします。
それくらい身近で、手軽な技法ですので誰でも手が出しやすく、そして同時に飽きられやすいのが特徴です。
しかし、サイアノタイプは工夫すればするほど様々な表現ができるすぐれものです。
今日は、サイアノタイプのやり方についてちょっとお話したいと思います。

サイアノタイプを始めようと思ったら、一番簡単な方法はネットでSUN PRINT PAPERを買うことです。これは感光剤が塗られたコピー用紙が入っており、封を開けて被写体を載せて感光させたらすぐに作品ができあがります。
私も過去に何度かサイアノタイプのワークショップをしたことがあり、その際はもっとも手軽なSUN PRINT PAPERを使いました。
しかし、このキットは塗りや紙を工夫することができませんので作品制作の面では非常に限定されてしまいます。
そこで、作品制作をしたい人はサイアノタイプインクセットを購入することをおすすめします。
これは、青色のボトルが2本セットになったものです。
アマゾンや楽天で買うことができますが、商品ページのURLが時々変わるのであえてここではリンクの貼り付けを行いません。
ご自身で検索することをおすすめします。
また、販売元によっても若干値段が異なります。

このサイアノタイプのインクセットは、感光剤に必要な化学薬品が全て含まれています。
購入して封を開けたら、まずはそれぞれのボトルに水をいっぱいになるまで入れて、よく振ります。
そして一晩置いておきます。
そしたら感光剤の出来上がりです。
ビーカーなどを用いてボトルそれぞれの水溶液を1:1になるように混ぜて、紙に塗布すればいいのです。
私は道具を持ち出すことが多いのでガラス製のビーカーを用いず百均で購入したプラスチックの計量カップを用いています。
You Tubeなどで調べるとインクセットを用いず自分で化学薬品を一から揃えてるツワモノもいます。
私はそのやり方はおすすめしません。
もし、あなたが科学の実験をしたいのならそうする意味はあるでしょうが、作品を作りたいのならインクセットを購入すべきでしょう。それに、化学薬品を一から揃える方がたぶんコストがかかるし、入手できないことのほうが多いと思います。

サイアノタイプにおいて重要なのは紙と塗布の仕方だと思っています。
私は過去様々な紙で実験を行いました。
・竹和紙(アワガミファクトリー)
・群雲こうぞ和紙(アワガミファクトリー)
・八女和紙
・プラチナラグ(ハーネミューレ)
・その他インクジェットプリンタ用紙
この他にも例えば木の断面や卵の殻などにサイアノタイププリントを施す方もいるようです。
ようはインクが濡れて、感光、洗浄ができればなんでもいいのです。ガラスにも施すことができるのですから。
ただし、なぜだか人によって得意不得意があるようです。
私がサイアノタイプをやり始めた頃はハーネミューレの用紙をおすすめされたのですが、どうしてもうまくできませんでした。
私が一番好きな仕上がりになるのが群雲こうぞ和紙(アワガミファクトリー)です。
紙の薄さもあいまって、ほんとに好きなトーンが出来上がります。トーニングのやりやすさもちょうどいいです。
次点で、竹和紙(アワガミファクトリー)を用います。こちらは紙が丈夫なので作業の途中で破れたりすることがありません。特に海を直接焼きつける時は重宝しています。反面、乾燥に時間がかかりますし、トーニングがうまくいきません。
私の先輩の写真家で別の和紙にサイアノタイプを施す人がいますが、その人はアワガミファクトリーの和紙だとうまくいかないようです。
写真家ではありませんが、インスタレーション作家の知り合いでキャンバスにサイアノタイプを施す人もいますが、彼女もどうやら和紙ではなくキャンバスの方がいいようです。
物理的には百均の水彩画用紙でもうまくいくはずなのに、人によって使う紙を選ぶ。
これがサイアノタイプの面白いところだと思っています。
もうこの時点で個性が発揮されるのです。
自分に最適な紙を選ぶ方法は、もう試行錯誤しかないと思っています。
いろいろ試してみて、「あ、このトーン好きだな」というものに出会えたら自分の中で基準ができます。
後はその基準を参考に作品ごとに紙を変えていけばいいと思います。

ここから先は

3,228字

¥ 1,000

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?