ロックダウン解除後のフランスで、今起きていること
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5月11日にフランスでは約50日間に及んだロックダウンが解除されました。5月17日現在のフランスの死者数は2万8千人に上り、現在も油断を許さない状況なのは変わりませんが、新規の感染者数および死者数は減少傾向にあります。
フランス国内新規感染者数
フランス国内死者数
この記事ではロックダウン解除から1週間が経過し、フランス人はどのように生活しているのかをまとめました。
ロックダウン解除の内容
フランスでの全国ロックダウンは3月17日から始まり、人々の行動は厳格に制限されました。外出は1日1時間以内、家から半径1km以内に制限。外出時には許可証をウェブサイトからダウンロードし、携帯する必要がありました。許可証には住所氏名と外出した時間、そしてその理由を明記する必要があり、理由として許可されていたのは本当に生活に必須なものだけでした。
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写真は外出時に携帯した許可証のスクリーンショット
スーパーマーケットなどの生活必需品を扱う職業や医療関係者など以外はすべて強制的にリモートワークを命じられ、公共交通機関はそれらの職業に就く人のみに利用が制限されていました。
ところが11日からは外出制限が大幅に緩和され、居住地から100km以内であれば許可証なしで移動できるようになりました。40万の企業,87.5万名の労働者が仕事に戻り経済活動も再開しました。
一方でバー、カフェ、レストラン、美術館などの人が集まる場所についてはまだ営業が再開できていません。
閉館中のルーブル美術館
また、公共交通機関では11歳以上の人のマスク着用が義務化され、違反者には135ユーロの罰金が課せられます。パリを中心とした首都圏では、ラッシュアワー時の公共交通機関利用者は許可証保有者に限定され、政府はなるべくテレワークもしくは自転車での通勤を奨励しています。
パリで自転車通勤する人々
政府は国土全域をレッドゾーン(感染者数の多い地域)とグリーンゾーン(感染者数の少ない地域)に分け、段階的にレストランなどの営業や、学校の再開を行うことを発表しました。
フランスのレッドゾーンとグリーンゾーン(首都パリはレッドゾーン)
グリーンゾーンについては6月上旬からレストラン、カフェなどの営業を再開できる可能性があります。一方でレッドゾーンではまだ未定で、公園もまだ閉まっています。
小学校はフランス全土の80%の地域で授業再開。しかし、1クラス内の人数制限が課せられたり衛生管理も厳格に行われているようです。中学校はグリーンゾーンのみ5月18日から開校され、高校はグリーンゾーンのみ6月上旬から開校される可能性があるとのことです。ちなみに大学は9月からの再開になり、かなりの授業がオンライン化されるそうです。
ちなみに上の図で、左に点在する地域はフランス本土から離れたフランス領の島々です。一つだけ赤いのはマイヨット県で、ここについてはまだロックダウンを解除できない状態のようです。。。
EU国境は依然として封鎖。フランス国内への入国者は原則14日間の隔離を引き続き徹底するそうです。
ロックダウン解除後の様子
ロックダウン中はスーパーマーケットくらいしか空いてるお店はなかったのですが、実際に街を歩いてみると、今は雑貨屋、洋服屋や美容室なども営業が再開していました。
写真はfnac(日本で言う東急ハンズのような雑貨屋)に行列を作る人々
行列ができていたのはロックダウン解除の初日でした。多くの人が来店したのも理由ですが、一度に入店できる人を制限していたことも理由でした。
各店舗には入り口に必ずアルコール洗浄のボトルが用意されています。さらに、スーパーなどのレジの人々はこんな感じで感染予防しています。
レジに並ぶ時も前の人と1m間隔の距離を保つよう指示されます。
人との接触が避けられない美容室では、美容師さんはこんな感じです。
お客さんもマスク着用で、クロスもお客さんごとに毎回洗濯するそうです。
そのほかにも各業種ごとに政府が細かい営業ガイドラインを設定しており、それを守りながら経済活動が徐々に再開しています。
50日間以上も軟禁生活させられた人々のストレスは凄まじく、休日のセーヌ川にはかなり人がいました。
マスクを着用している人も多く、まだソーシャルディスタンスもみんな気をつけているのはわかるので、大丈夫かなと思いつつ、少し心配です。
実際、ロックダウン解除後の緩みすぎな雰囲気に警察が警戒を強め、すでに25の人の集まりを発見したとのニュースがありました。なお、セーヌ川周辺でお酒を飲むことも禁止されたようです。(フランス人がよくやるやつです)
フランスの今後の対策
フランス全土においてPCR検査ができる準備が整ったので、症状が出た場合はすぐに医者にすぐ相談するようにとの通知もありました。今後はドライブスルー形式での検査もできるようになるとのことです。足りないと言われていた消毒液やマスクも、今はいろいろな場所で手に入ります。一連の動きを通して、フランス政府の決断の速さと大胆さには、正直関心しました。
また、6月からはSTOP COVIDというスマホアプリが利用可能となり、感染者と接触した可能性のあるユーザーには通知が送られるようになるそうです。しかし、このインストールは個人情報保護の観点からも義務化が難しく、どれくらいの人がインストールして使ってくれるかが問題となりそうです。
徐々に活動が再開できてること、感染者の増加が減少傾向にあることはとても良い知らせですが、やはり第二波が怖いのが本音です。引き続き、注意を払って行動をしていく必要がありそうです。