低空飛行な人間関係
2か月ぶりに研究室へ顔を出しに行った。小学生のように、見ない間に身長や体重が増えるわけでもない。ブランク期間などなかったようにすんなり溶け込んだ。
ただ研究室にきた新入生であるのは変わりない。席についてすぐに予備実験のために呼び出された。これが悪夢の始まりだった。
顕微鏡を覗き、結晶に金電極を取り付ける。結晶と金電極をくっつける接着剤を適切な粘度に調整してやらないと一向にくっついてくれない。ただひたすらにこねて覗いてこねて覗いての繰り返し。あっという間に夜7時。
小さいものを見続けた目が発狂し、全身に倦怠感を感じる。何も考えることなく、電車に揺られながら帰宅した。
心を許すことのできていない研究室で、自分の存在する場所を確保するのは難しい。研究のやり方や、文化、新しい人間関係。23にもなる大人であるのに一つ一つに事柄に憶病になる。
新しいことは好きなのに、新しい人に出会うときいつも緊張してしまう。新しい場をいつもの場にできるのはいつになるのだろうか。
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