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知識から探究へ:お茶の水女子大学「新フンボルト入試」の意義と可能性

あなたは新たな入試についてどれくらいご存知ですか?

お茶の水女子大学は、2017年度から新たなAO入試制度である「新フンボルト入試」を導入しました。この入試制度は、従来の学力試験では評価しにくい論理的思考力、探究力、コミュニケーション能力、独創性などを多面的に評価することを目的としています。

1. 新フンボルト入試の概要

新フンボルト入試は、一次選考と二次選考の二段階で構成されています。

  • 一次選考:プレゼミナール

    • 文系学科志願者は、大学の授業を直接体験する「プレゼミナール」に参加し、セミナー受講後にレポートを作成します。このレポートやその他の提出書類を基に、大学の講義への適応力や学習意欲が評価されます。

    • 理系学科志願者は、プレゼミナールへの参加は必須ではなく、出願書類によって一次選考が行われます。

  • 二次選考

    • 文系:図書館入試

      • 受験生は約6時間にわたり図書館にこもり、与えられたテーマについて小論文を作成します。この過程で、文献や資料を活用し、自身の論を構築する能力が評価されます。

    • 理系:実験室入試

      • 各学科の専門性に応じた実験や課題研究発表を行い、その成果やプロセスを通じて、知識の応用力や探究心が評価されます。

2. 新フンボルト入試の特徴

この入試制度の最大の特徴は、受験生が大学の授業や研究活動を直接体験し、その中での学びや気づきを評価の対象とする点です。特に、文系志願者向けの「図書館入試」では、長時間にわたる自主的な学習と論文作成を通じて、受験生の主体性や深い理解力が試されます。また、理系志願者向けの「実験室入試」では、実験や研究発表を通じて、専門的な知識の応用力や探究心が評価されます。

3. 導入の背景と目的

お茶の水女子大学が新フンボルト入試を導入した背景には、従来の学力試験だけでは測れない多様な能力を持つ学生を積極的に受け入れたいという意図があります。特に、論理的思考力や独創性、コミュニケーション能力など、現代社会で求められるスキルを持つ学生を発掘し、育成することを目指しています。

4. 実施状況と成果

初年度である2017年度の新フンボルト入試では、全学で20名以内の募集に対し、198名の志願者があり、倍率は約10倍となりました。この結果からも、多くの受験生から関心を集めたことが伺えます。

5. 今後の展望

新フンボルト入試は、受験生にとってハードルの高い選抜方法であるにもかかわらず、高い志願者数を維持しています。今後も、この入試制度を通じて、多様な才能を持つ学生を積極的に受け入れ、育成していくことが期待されています。また、他大学においても、このような多面的な評価を行う入試制度の導入が進む可能性があります。

まとめ

新フンボルト入試は、受験生にとって合否にかかわらず何かを得られる入試であり、大学での学びとはどういうものかを体感できる貴重な機会となっています。今後も、この一風変わった入試に意欲的な高校生がチャレンジすることが期待されています。

このように、お茶の水女子大学の新フンボルト入試は、従来の入試制度とは一線を画し、多面的な評価を通じて多様な才能を持つ学生を発掘・育成する革新的な取り組みとして注目されています。

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