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【10分考察】『正欲』の登場人物である桐生夏月が佐々木佳道の自殺を防いだその凄さを考察【自殺と正欲 PART3】

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◆『「死にたい」と言われたら』末木新×『正欲』朝井リョウ


◇紹介書籍

こんばんは、和希です。
それでは本日もさっそく投稿の内容に入っていきましょう。
本日紹介していく書籍たちはコチラになります。

2023年6月10日に筑摩書房さんから発行されました、
末木新先生の『「死にたい」と言われたら』と、

2023年6月1日に新潮社さんから発行されました、
朝井リョウ先生の『正欲』になります。

本日はこの2冊である考察を行います。

◇紹介書籍概要

また、これらの書籍の概要につきましては、
いつもと同じように、下記に載せておきますので、
もし紹介書籍について気になった方がいましたら、
ぜひ下記の方をご覧いただければと思います。

タイトル 『「死にたい」と言われたら 自殺の心理学』
著者 末木新(すえき・はじめ)
価格 880円税込
発行日 2023年6月10日 初版第1刷発行
発行者 喜入冬子
発行所 株式会社筑摩書房
装幀 クラフト・エヴィング商會
印刷・製本 株式会社精興社

『「死にたい」と言われたら』奥付及び裏表紙から引用

タイトル 『正欲』
著者 朝井リョウ
価格 935円税込
発行日 2023年6月1日発行
(※単行本は2021年3月26日に発売済み)
発行者 佐藤隆信
発行所 株式会社新潮社
印刷製本 錦明印刷株式会社

『正欲』奥付及び裏表紙から引用

◇これらの書籍を選んだ理由

そして、今週の投稿にこれらの書籍を選んだ理由、そちらにつきましては、
末木新先生の『「死にたい」と言われたら』はパート1の投稿、
朝井リョウ先生の『正欲』はパート2の投稿で紹介しておりますので、
もし、今週の投稿にこれらの書籍を選んだ理由が気になった方がいましたら、
ぜひそちらの投稿をご覧いただければと思います。

◇この投稿の内容

そして、今回のこのパート3の投稿で紹介していく内容といいますのが、
末木新先生の『「死にたい」と言われたら』と、
朝井リョウ先生の『正欲』の2冊を読んだ私だからこそできる、


『正欲』の登場人物である桐生夏月(きりゅう・なつき)が、
佐々木佳道(ささき・よしみち)の自殺を防いだその凄さについて考察


というのをしていきたいと思います。

今週の月曜日にはYouTube上で、また火曜日にはnote上で紹介をしました、
末木新先生の『「死にたい」と言われたら』という書籍の中では、
アメリカの心理学者であるトーマス・ジョイナーという人物が唱えた、
「自殺の対人関係理論」に基づき、自殺をしやすくなる「自殺念慮」の状態や、
家族や友人、知人に「死にたい」と言われた時の対処法が記されておりまして、

普段は憚られる「自殺」というテーマについて深く学ぶことができる良書でした。

また、今週の水曜日にはYouTube上で、木曜日にはnote上で紹介をしました、
朝井リョウ先生の『正欲』という書籍の中では、
人間の生理的欲求である「食欲」「睡眠欲」に次ぐ「性欲」をテーマに、
その「性欲」におけるマイノリティの人たちが生きる社会の辛さが記されており、

読む前と読んだ後で世界の見え方が変わるような読書体験を味わえる小説でした。

そして、この2冊、
どちらもとても素晴らしい書籍ではあったんですが、
これらの書籍をじっくりと読んでいるうちに、
私はあることに気がついてしまったんですね。

それは、この2冊…掛け合わせたら面白いんじゃね?ということに。

もういつものことですね。

では、この2冊、
どう掛け合わせたら面白いのかというと、
それが先にも述べたように、


『正欲』の登場人物である桐生夏月が佐々木佳道の自殺を防いだその凄さ


における考察だったんです。

末木新先生の『「死にたい」と言われたら』という書籍の中では、
トーマス・ジョイナーの「自殺の対人関係理論」という理論の中で、
人が自殺しやすくなる「自殺念慮」をわかりやすく理解できる、
というのは先に紹介したとおりですが、

一方、本作『正欲』の中では、
こちらも先にお話ししたとおりに、作中で佐々木佳道という人物が、
あることがきっかけで自殺をしようと考えており、
あともう一歩で自殺してしまう…というような描写が登場します。

けれど、『正欲』のもう一人のキーマンである、
桐生夏月はその佳道の自殺をギリギリで止めることができたんですね。

じゃあなぜ夏月は佳道の自殺への「あともう一歩」を、
踏みとどまらせることができたのでしょうか。


もちろん、本作『正欲』はフィクションであり、
このような場面が現実に存在するかどうかはわかりませんが、
それでも『「死にたい」と言われたら』における「自殺の対人関係理論」を、
よりわかりやすく理解するための題材としてはとても適していると思いました。

なので、【自殺と正欲】シリーズの最後のこのパート3では、
自殺をしやすくなってしまう「自殺念慮」をわかりやすく論じている、
「自殺の対人関係理論」という理論を、
超名作『正欲』の自殺を防いだシーンから学ぶという、
恐らくこの世界でまだ誰もやったことがないような考察を、
やっていきたいと思います。

ぜひ一緒に名作の理解を世間の一歩先へと推し進めていきましょう。

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