華やぐ街で
僕は一昨年の夏、新しい街へ引っ越した。
前住んでいた街は都心に近くて便利だったけど、田舎生まれの僕からするとせかせかしてて雲が厚いような、閉鎖的な感覚がした。好きな所もあったけれど。他にも要因があったが引っ越しを決意するまでの少しの期間、僕は元気がなかったと思う。
ほぼ毎日、一回、パリッと音がして、鏡にヒビが走っていくように、こころが疲れていっていた。
とてつもなく暑い夏だった。一生分くらいの汗をかいて、引っ越しをした。僕は決めたんだ。
引っ越す事を決めた。決めた!
決めるまでが長かったけど、決めたら一瞬だった。
この時、僕が思った事は「決めたらいい」という事だった。
新しい街も、暑かった。でもベランダが耀いていて、ぐっすり眠れた。決めた事で僕はまた、耀きはじめた。
僕らは街に包まれるように、耀いているんだと思う。
そして街は、僕らの事を見つけて、循環して、愛を注ぐ。生きてる僕らが歩いていくから街になった。街は僕ら無しではきっと街になれない。僕らの営みの副産物が「街」なんだ。
そして誰かの故郷だ。
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さあ、2023.12.06にリリースしたフルアルバム「貝殻を拾い集めるように」全曲セルフライナーノーツ第一弾、華やぐ街で でした。
構成がサビ→サビ→A→B→サビなの。なんかおもろいですよね。
出来た瞬間から一曲目っぽいね。という話をしていました。
"いつか好きなお笑い芸人の出囃子になったら良いなぁ"