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理想と現実の狭間で

社会人になって1年半が過ぎた。最近はいろいろとバタバタしており、noteを更新する時間がなかった。

時間がなかったというのもあるが、正確には、仕事で少し精神をやられていたためnoteを更新する気力がなかった。googleを開くと検索履歴には「2年目 転職」、「ボーナスをもらってから辞める」、「リゾバ コロナ禍」、「SES 闇」。

そのような検索履歴ばかりが残った。相当精神的に来ていたようだ。

働けば働くほど嫌なところが見えてくる会社に対し、不信感が募っていく。これだけは認めたくなかったが、僕はどうやら会社選びを間違えてようだ。そのような後悔がふつふつと心の中に溜め込まれていく。

そして10月、僕は体調を崩すようになり、会社を休むようになった。

うつ病とまではいかないが、軽く病みかけた。


僕が入社した会社は自社のシステムエンジニアをお得意様に派遣させるSESの会社だった。いわゆる客先常駐SEである。

客先常駐にはメリットもデメリットも存在する。1年半働いて感じたことをつらつらと文字に起こしてみる。

まずメリットとして挙げられること1点目は、人脈を広げられること。自社の社員だけではなく常駐先の人と関わることで人間関係の幅を広げることができる。実際これに関しては一番いいメリットだと思った。いろんな人と関わることによってより多くのことを吸収することができる。

メリット2点目は、経験値を増やすことができることだ。客先常駐SEは案件が終わるごとに客先を転々とする。そのためより多くの案件にかかわることができ、たくさんの経験値を積むことができるのだ。現場によって業務内容も違えば、使用されるツール・プログラミング言語も違う。そういった意味では覚えることも多く勉強付けにはなるが、確実にスキルを積むことができる。

以上が1年半働いて気づいたこの業界のメリットだ。

次にデメリットを挙げていく。

デメリット1点目は、客先常駐のため自社の社員と関わる機会が全くないことだ。客先で働くため必然的に自社の社員よりも客先の社員とかかわることのほうが多い。そのため、自社の先輩や上司、同期や後輩と関わることはなくなるのだ。人によっては人間関係が面倒だからそちらのほうがありがたいと感じる人もいるだろう。しかし、新入社員で右も左も分からぬ状態でいきなり現場で作業を行うのは結構不安が大きい。同期もそれぞれ置かれている環境が違うため、気軽に相談もできない。ましてや直属の上司でさえ違う現場のことが多い。

デメリット2点目は、配属される現場によっては全くスキルを積めないこと。SESはよく「案件ガチャ」と呼ばれることが多い。配属される現場によって勤務形態が違ったり、勤務内容がばらばらのため、テスト作業しか行わない現場やプログラミングをがっつりやる現場、上流工程を行う現場だったり、多種多様である。テスト作業しか行わない現場に配属されたら、もうまったくスキルを積むことができなくなる。なぜならテストしか行わないからだ。プログラミングをしない時点でもうプログラマーではなくなってしまうのだ。そして配属先によってはブラックだったりして残業を多くさせられたりすることもある。外注だからといって雑に扱われたりすることもある。

あくまでも客先常駐のため、客先との社員の間には大きな大きな溝がある。そのせいか人間関係がかんばしくない現場も中には存在する。そうすると帰属感は薄れていきもはやフリーランス状態になってしまう。自分は会社に所属しているのだろうか、そのように疑念が湧いてくるのだ。


この一年半で僕は2つの現場を経験した。1つ目の現場は入社して外部研修が終わった後すぐに同期の一人と配属された。僕は同期と一緒の配属されてため、不安は本当にほぼなかった。相談できるし、何より仲間がいるという安心感は僕の心の支えになっていた。

しかし、自社に対し疑念を感じたのもそのタイミングだった。入社時の話では、外部研修が終わったあとは先輩社員の元で「OJT」を行うとの話だった。確かに先輩社員がいる現場に配属されたが、その先輩社員とは現場が同じなだけであって、配属された現場のチームは全く別だったのだ。つまり、同じ現場でもチームが違うため作業内容が全く別だったため、ほとんど関わる機会もなく、仕事について教わることもなかった。

OJTとは何ですか?そんなモヤモヤが心の片隅に残り続けた。結局その現場では9か月間働いたが、現場の自社の先輩とは全くかかわる機会がなく、コロナ禍のため帰社日もなく、自社の人間関係は全く築くことはできなかった。

そしてその現場の業務内容縮小により同期だけがその現場に残り、僕と先輩社員2人は次の現場が決まるまで自社で働くこととなった。その先輩社員2人とも全くかかわることがなかったのだ。

自社で待機してすぐに先輩たちはすぐに次の現場へと駆り出された。コロナ禍で営業をかけられないため僕は2ヵ月ほど自社で待機することになった。

その間の僕はというと、「資格の勉強でもしてて」とほったらかしにされ。週1日だけ出社、しかも午前3時間だけ。それ以外はテレワークとなった。人によっては自由な時間が増えいいなと羨む人もいるだろう。逆に僕は家に一人で居続けることがすごく嫌だった。

テレワークになったタイミングは本当に最悪だった。丁度好きな人に振られ、精神的に参っているときに、静かで孤独な空間に一人きり、その上業務も特になくただただ虚無の時間が流れた。すごくつらかった。その時に僕は軽くうつ病になっていたと思う。ただただ毎日がつらく、社会人としての価値もなくなってしまったように思えた。実際何の資格もスキルも身についていないため市場価値がないのは自覚していた。

その間に僕は私生活を豊かにすることに舵を切った。読書、ゲーム、note、筋トレ、ギター。たくさんの趣味を増やした。そして「海外へ行く」という以前から抱いていた夢を再度追いかける決心をすることができた。結果的にテレワーク期間は僕の人生を前進させるいい機会となった。


そしてテレワーク開始から2ヵ月、次の現場が決まった。配属先はなんと以前まで配属されていた現場に再配属になった。客先ではとても良好な関係を築けていたため、また一緒に仕事ができることがうれしくてたまらなかった半面、一度お別れした現場に復帰するのが少しだけ恥ずかしかった。なぜなら最終日にメールにて9か月間お世話になってそこで学んだことや感じたことを熱くメールで書いてしまったからだ。でもまた働けることのうれしさ・孤独からの解放のほうが上回った。

しかし、その現場での勤務は繁忙期の3ヵ月だけという条件があったのだ。いいように使われてるなと自社の営業担当に疑念を覚えつつも、僕はまた彼らと時間を共にした。

その現場で、ほかの会社さんの外注さんと仲良くなった。年齢は一個下でまるで本当の先輩後輩かのような関係を築くことができた。まるで子犬のように慕ってくれて「先輩、ここってどうやるんですか?」、「先輩、飯行きません?」と本当にかわいらしい後輩ができてすごくうれしかった。自社の後輩とは顔を合わせることがなかったため、社会人になって初めてちゃんとした後輩ができた気分だった。

でも僕は期限付きの配属だったため、なくなくその現場とお別れし、次の現場へと配属された。

10月、3ヵ月働いた以前までの現場を離れ、新しい現場で働くことになった。しかし、その現場はなんと片道1時間40~50分ほどかかる遠い現場で、かつ都内ではなく千葉県での勤務となった。そのことに対し、さらに自社に対する不信感が募った。

入社時の説明では、現場の変更で勤務先が変わるという話は聞いていた。しかし、それは都内だけのはずだった。なのに配属された現場は都外、その上通勤時間は今までの2倍の時間になった。朝が早いうえに家に着く時間は遅い。今まで帰宅後のルーティンは崩れ去り、私生活の充実感はなくなっていった。その現場は僕より同期のほうが圧倒的に近いのに(片道20分くらい)遠い僕が行かされることに対して不満が募った。会社は社員のことを考えておらずただただ利益だけを求めてるのかと思うようになってしまった。

「SESは社員を使い捨ての駒としか思ってないよ。」

職業を聞かれた際にそんな言葉を言われることが多かった。そんな口コミはさんざんネットで見てきた。でも自分の会社は違うんだ、僕が選んだ会社は違うぞ。そう自分に言い聞かせていたが、僕の心はもうその言葉を信じ続けることができなくなってしまった。

10月から緊急事態宣言が解除され、朝の通勤電車は通常通りの満員電車に戻った。おしくらまんじゅう状態の電車に長時間揺られ続けた僕は、会社に着くころには精神的にも体力的にも摩耗していた。業務は集中力の低下によりミスが増え、初めて一緒に働く自社上司から指摘をもらうことが増えた。業務内容も管理職の人がやっていたことを僕が引き継いでいく感じだった。「君の働き次第でこのプロジェクトが成功するかかかっているからね」その期待の言葉が僕には重すぎて、必死に崩れないよう、その言葉を心の中で支えた。

初めての現場、新しい人間関係、新しい業務内容、入社してから初めて自社の上司と働くという不安、同期や年の近い先輩社員がいない不安、そして通勤時間からくる精神的・体力的ストレス、自社に対する不信感。憂鬱な状態で目覚め、気分が沈んだまま行きたくもない会社へ向かう。慣れない業務に戸惑いながらも、集中力が切れないように必死に気を張り、そしてミスを犯し上司に指摘される。指摘されるたびに動悸が激しくなり頭が回らなくなる。次第に上司の顔を見るだけで動悸が激しくなるようになってしまった。

そしてすべてが重なって僕は仕事を休むようになった。3日出社して2日休んで、週をまたいで2日出社して3日休んで。そんな日が続いて意を決して上司に胸の内を打ち明けた。上司は僕の言葉をやさしく受け取ってくれて、営業担当に配属先を変えてくれるよう掛け合ってくれた。


そこからの2週間は自社待機になり、メンタルを回復する時間に充てることになった。その2週間の間googleで「2年目 転職」、「ボーナスをもらってから辞める」、「リゾバ コロナ禍」、「SES 闇」。そのようなことを調べるようになった。

そして先日、一つ目の現場で一緒に働いていた(正式には同じ現場にいただけ)先輩が退職をした。その先輩は入社して研修が終わってから5年間もの間その現場で働いていたそうだ。正直その現場で使用されているツールや言語はほかの現場では使われないため、この5年間でその先輩はスキルを積むことができていない。しかし経歴上では社会人5年続けているためそれなりのスキルがあるととらえられることが多い。でも正直、客先常駐SEは現場が変われば新入社員も同然、前の現場で培った技術が腐ることはざらにある。

それが原因で新しい現場で活躍できず、会社に不信感を募らせ先輩はやめたらしい。実際僕もその先輩と同じような境遇にあったため、僕も同じ道をたどるのかなと考えていた。

でも、営業担当から最初に働いていた現場に再々配属になることを知らされた。その現場にはすでに2回お別れの言葉を継げている。3回目の配属となるとさすがに気まずくなる。でも少し楽しみでもある。

その現場を離れてから1か月半しかたっていない。なのにまたその現場で働けるのであれば、僕は千葉の現場に行く必要はなっかたのではとふつふつと怒りがこみあげてくる。僕は使い捨ての駒じゃないぞ。その思いはおそらく消えないだろう。僕はこの思いを原動力にこの会社を利用してやる、そんな思いでもう少しこの仕事を頑張ってみることにする。

今の職場は理想の職場とはかけ離れている。毎週金曜に飲み会はないし、体育会のようなノリは皆無だし、先輩社員や同期と和気あいあいと話すこともない、合コンなんてものも存在しない。2次会で風俗行こうぜなんてドラマみたいな展開もない。友達の会社の話を聞くたびに、理想と現実の違いを実感していく毎日。

これ以上会社に対する負の感情を書き出したら、止まらなくなるのでこの辺でやめておく。

理想と現実のはざまで揺れ続ける僕が、理想をつかむまではまだまだ時間がかかりそうだ。


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