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京都の野外彫刻フィールドワーク  『光る君へ』

 大河ドラマ『光る君へ』の影響で紫式部ゆかり地に多くの観光客が訪れている。宇治もそのひとつで,源氏物語の最後の十帖(「宇治十帖」)の舞台は宇治の地だ。物語の最後は「夢浮橋」で終わっている。その宇治川に架かる宇治橋のたもとに,紫式部像がある。この像は石像で2003年に設置された。この像も観光客には人気で,像とともに記念写真を撮る人が並んでいた。十二単の衣が波うちながら重なっている姿が印象的だ。額が大きい瓜顔は,いかにも平安美人の容貌だ。背景には宇治橋と宇治川が見える。

 紫式部の像は,京都府立文化博物館の館内にもある。館内の2F総合展示室の入り口前に設置されている。この紫式部像は杉村尚が制作した乾漆像だ。全体に石像とは異なった柔らかい印象をうける。着物には細かな模様の銀箔が浮かんで見える。少しうつろな瞳やゆるく結んだ口元,寄せた眉間,背筋を伸ばした姿勢などから宇治の紫式部像よりも歳を重ねた落ち着いた雰囲気が感じられる。

 紫式部像ではないが,京都市勧業館みやこめっせに「源氏物語石像」がある。2008年に設置された。光源氏と紫の上がモチーフになっている。ふたりの逢引の場面だが,光源氏も紫の上の表情もともに硬く,ふたりの心情が読み取りにくい。紫の上の背後に伸びる髪や衣の形は面白い。しかし,衣の重なりが浅く線彫りになっているのが少し残念だ。