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京都の野外彫刻フィールドワーク97

『聖観世音菩薩像』

1892年  高村 光雲

高村 光雲(1852年~1934年)   仏師,彫刻家 彫刻家の高村光太郎は長男

設置場所 :  知恩院友禅苑(東山区林下町400)
 知恩院は浄土宗の総本山です。宗教施設ではあるが,多くの観光客が訪れる場所でもある。敷地内には国宝の三門をはじめ多くの見どころがある。この像は三門の南側にある友禅苑内にあり。この苑内の補陀落池に立っている。明治25年(1982年)に高村光雲が原型をつくり,岡崎雪声が鋳造したと言われている。高村光雲は仏師であり,また東京美術学校の彫刻科教授として,我が国の近代彫刻に重要な役割を果たした彫刻家だ。
  聖観世音菩薩像は我が国で多くつくられているが,多くは薬師寺東院堂にある聖観音菩薩像にその原型をみることができる。この像も参考にしたと思われる。光雲の銅像は,はじめに木造により原型がつくられ,それを鋳造してつくられている。有名な西郷隆盛の像も木造の原型から鋳造されている。この菩薩像の原型は東京芸術大学に収蔵されている。
 三段の装飾された石材を積み上げた石碑の上に聖観世音菩薩像が設置されていて,かなりの高さがあり見上げないとみることができない。見に行った日は背景に青空が広がり,後背から陽が差し神々しい姿に見えた。ただ,細部は遠くてはっきりと見ることができなかった。
 余談だが,光雲・聖観世音菩薩で検索するとたくさんの売買されている作品が掲載されている。光雲の原型から,というふれこみだが,どう見てもよろしくないものもあった。