技術士二次対策 / 機械部門 / 機械設計 / FMEAとFTA
FMEA(故障モード影響解析:Failure Mode and Effects Analysis)
目的
設計段階で製品の信頼性を高めるために製造構造に基づき、故障の因果関係やその発生メカニズムに関する解析を行うことを目的として用いられる。
開発・設計段階で,製品の信頼性に関する潜在的問題を摘出し,対策を講じるための手法として開発された。
歴史
アメリカの軍事、宇宙開発に関連して1950年代から1960年代にかけて生まれた手法である。
概要
FMEA は,システムを構成する要素に生じる可能性のある故障を予測するとともに,その故障によってシステムがどのような影響を受けるかを,表を使って解析を進める手法である。これにより,重大なシステム故障につながる要因となる要素の故障モードを網羅的に摘出することができる。また,それぞれの要因の致命度を評価することで,対策の優先度付けを行うことができる。
さまざまなFMEA
FMEAは要因側から結果側に向かって影響関係を分析するボトムアップ的手法であるが,このような考え方は応用範囲が広く,現在では,製品設計段階だけでなく,製造工程での品質改善,運用段階での保全計画など,製品ライフサイクル全般にわたって活用されている.例えば,製造工程を構成する4M(設備,材料,人,方法)の不具合が製品の品質にどのように影響するかを解析するために用いる場合は,工程FMEA (P FMEA)と呼ばれる。
FTA (故障の木解析:Fault Tree Analysis)
目的
設計段階で製品の信頼性を高めるために製造構造に基づき、故障の因果関係やその発生メカニズムに関する解析を行うことを目的として用いられる。
開発・設計段階で,製品の信頼性に関する潜在的問題を摘出し,対策を講じるための手法として開発された。
歴史
アメリカの軍事、宇宙開発に関連して1950年代から1960年代にかけて生まれた手法である。
概要
FTAは,システムにおいて発生する可能性のある望ましくない事象を頂上事象として設定し,その発生経路を原因側に向かってたどっていくトップダウン的手法である。
FTAでは,事象間の因果関係をAND やOR といった論理記号を用いて展開していくためブール代数に基づく解析が可能である。さらに,最下位の基本事象の発生確率が与えられれば,トップ事象の発生確率を定量的に求めることができる。
FMEAとの違い
FMEAがハードウェアの単一故障の影響を解析するのに適しているのに対して,FTA ではソフトウェアの欠陥や,人的ミスなどの要因を含めた多重故障の解析が可能である。このために,安全性に関わる解析にも広く活用されている。
ここまでの引用:
機械工学便覧 / β1-98 / 3・4・6 信頼性の解析 / a. 信頼性解析手法
過去問
問題:H30 機械設計 Ⅱ-1-2
H30 機械設計 Ⅱ-1-2 FMEAとFTAについて、それぞれの特徴を示し、その違いを比較せよ。また、機械設計に適用する際の留意点について説明せよ。(引用: H30 技術士二次試験 機械部門 機械設計)
回答例(638文字)
FMEA:システムを構成する要素に生じる可能性のある故障を予測するとともに,その故障によってシステムがどのような影響を受けるかを,表を使って解析する手法である。これにより,重大なシステム故障につながる要因となる要素の故障モードを網羅的に摘出することができる。また,それぞれの要因の致命度を評価することで,対策の優先度付けを行うことができる。
FMEAは要因側から結果側に向かって影響関係を分析するボトムアップ的手法であるが,このような考え方は応用範囲が広く,現在では,製造工程での品質改善,運用段階での保全計画など,広く活用されている。
FTA:システムにおいて発生する可能性のある望ましくない事象を頂上事象として設定し,その発生経路を原因側に向かってたどっていくトップダウン的手法である。
FTAでは,事象間の因果関係をAND やOR といった論理記号を用いて展開していくためブール代数に基づく解析が可能である。さらに,最下位の基本事象の発生確率が与えられれば,トップ事象の発生確率を定量的に求めることができる。
FMEAとFTAの違い:FMEAがハードウェアの単一故障の影響を解析するのに適しているのに対して,FTA ではソフトウェアの欠陥や,人的ミスなどの要因を含めた多重故障の解析が可能である。このために,安全性に関わる解析にも広く活用されている。
設計適用時の留意点:FMEA、FTAは完成して終わりではなく、仕様・要求の変更などにより随時見直しを行うことが必要。
注意
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