技術士二次対策 / 機械部門 / 機械設計 / 品質工学(田口メソッド/ロバスト設計)
品質工学とは(広義)
品質工学は田口玄一によって提唱されたもので,実験計画法が進化・発展したものである。
また品質工学の真髄はロバストデザインにある。広義の品質工学は,ロバストデザイン,許容差設計,オンライン品質工学,MT システム(Mahalanobis Taguchi system)の四つの手法から成り立っている。
ロバストデザイン:robust design(狭義の品質工学)
ロバストデザインとは,ノイズに対して頑健な設計であることを意味する。特性値の変動がばらつきであり,特性値を変動させる要因には,技術者が制御可能なものと,制御不可能なものとがある。制御不可能なばらつきの原因は,以下の三つのノイズからなっている。
(1) 工程誤差(材料,設備,作業等)
(2) 劣化(経時変化,摩耗等)
(3) 環境変動(電源電圧変動,温度,湿度等)
田口が提案したロバストデザイン手法は,これらの制御不可能なばらつき要因を受け入れたうえで,多数の制御可能な変動要因の組合せによって,変動に頑健(ロバスト)な設計を行うものである。
ロバストデザインは,開発時点で徹底的にばらつき対策を行い,その後特性値をスペックに合わせ込む手法である。開発技術者はばらつき対策まで責任をもたなければならない。製品開発時点で工程変動,劣化,環境変動に対する徹底的なばらつき対策がなされているので,製造移管後,あるいは市場出荷後に問題を起こすことが少ない。
従来の開発手法
ロバストデザインに対して従来の開発手法は,開発技術者がスペックに合わせ込むパラメータ水準を決め,製造技術者は作り込みでばらつき対策を,品質管理部門は信頼性試験で劣化と環境変動によるばらつき対策を確認するやり方なので,その差は明白である。一般に作り込みによるばらつき対策は通常もぐらたたきと呼ばれるもので,多くの技術者,資金,時間が必要である。
引用: 日本機械学会/機械工学便覧/β1-78 / 3・2・3頑健な品質設計:品質工学(タグチメソッド)
事例
エンジン部品の締付け:
エンジン部品の締付けにおいて、塑性域締付けという手法があります。これは、ボルトの軸力-伸び特性で降伏点後のゆるやかな箇所(塑性域)で締付けることで、ばらつきに強い設計を実現した。
引用: ロバスト設計のすすめ: 2002.3.18 /ヤマハ発動機 宝泉 誠
https://global.yamaha-motor.com/jp/design_technology/technical/feature/pdf/print/33ht-02.pdf
過去問
R01 機械設計 Ⅱ-1-1 品質工学(田口メソッドを含む)の基本的な考え方とパラメータ設計(ロバスト設計)について説明せよ。(引用: R01 技術士二次試験 筆記)
回答例(626文字)
品質工学は田口玄一によって提唱されたもので,実験計画法が進化・発展したものである。
広義の品質工学は,ロバストデザイン,許容差設計,オンライン品質工学,MT システムの四つの手法から成り立っている。
ロバストデザインとは,ノイズに対して頑健な設計であることを意味する。特性値の変動がばらつきであり,特性値を変動させる要因には,技術者が制御可能なものと,制御不可能なものとがある。制御不可能なばらつきの原因は,次の三つのノイズからなっている。
(1) 工程誤差、(2) 劣化、(3) 環境変動
ロバストデザイン手法は,これらの制御不可能なばらつき要因を受け入れたうえで,多数の制御可能な変動要因の組合せによって,変動に頑健(ロバスト)な設計を行うものである。開発時点でばらつき対策を行い,その後特性値をスペックに合わせ込む手法。製品開発時点で工程変動,劣化,環境変動に対するばらつき対策がなされているので,製造移管後,または市場出荷後に問題を起こすことが少ない。
事例:エンジン部品の締付けにおいて、塑性域締付けという手法がある。これは、ボルトの軸力-伸び特性で降伏点後のゆるやかな箇所(塑性域)で締付けることで、ばらつきに強い設計を実現した。
従来の開発手法は,開発技術者がスペックに合わせ込むパラメータ水準を決め,製造技術者は作り込みでばらつき対策を,品質管理部門は信頼性試験で劣化と環境変動によるばらつき対策を確認するやり方なので,多くの技術者,資金,時間が必要である。
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