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VE (Value Engineering)


VEの定義

VEとは、①最低のライフサイクル・コストで、必要な機能を確実に達成するために、②製品やサービスの機能的研究に注ぐ組織的努力である。

VEの基本原則(VE5原則)

第1原則:使用者優先の原則
第2原則:機能本位の原則
第3原則:創造による変更の原則
第4原則:チーム・デザインの原則
第5原則:価値向上の原則

<第1原則:使用者優先の原則>

「使用者は何を要求しているのか、何を欲しいと思っているのか」を正しくつかみ、それを十分にみたすものをつくっていかなければならない

<第2原則:機能本位の原則>

使用者に好まれる良いものをつくるためには、その出発点として、どんな機能を欲しいと思っているのか、またどうあってもらいたいと考えているのかを、しっかりとつかむこと。

<第3原則:創造による変更の原則>

もっと良い方法を見つけ出し、それと変えていかないかぎり改善することはできないということ。

1つは、すでに他では使っているが、まだ自分たちの知らなかった、もっと良いものや方法を探し出し、それに変えていくこと。

もう1つは、もっと良い新しいものや方法を自分達の力で生み出していくこと。それには、豊な創造力によって、徹底したアイデアの発想を行うことである。

<第4原則:チーム・デザインの原則>

より良い改善をすすめるためには、その道の専門家の援助を得ることが必要であり、不足する知識や技術を集めることが大切になる。

つまり、VEでは、一人で問題に取り組むのではなく、各分野の優れた技術を結集し改善をすすめようとするのである。

<第5原則:価値向上の原則>

満足の度合いV(Value-価値)は、得られた効用の大きさF(Function-機能)と支払った費用の総額C(Cost-コスト)で決まる。

満足の度合いV(Value-価値)= 得られた効用の大きさF / 支払った費用の大きさC(Cost-コスト)

価値向上の形態は以下の①~④である。

①同じ機能のものを安いコストで手にいれる
②より優れた機能を果たすものを、より安いコストで手にいれる
③同じコストで、より優れた機能をもったものを手に入れる
④少々コストはあがるが、なお優れた機能をもったものを手に入れる

VE実施手順

次のようなVE実施手順にしたがって問題解決を手順よくすすめることによって、問題の焦点がおのずと明確になるだけでなく、VEを実施する当事者にとっても高い動機が得られ、もれのない、かつ密度の高い創造ができ価値ある代替案を提示することが可能になる。

1.機能定義

①VE対象の情報収集
VEの対象として選定した製品やサービスが、どんな要求のもとにつくられているのか、技術、調達、製造、販売上の制約事項や問題点にはどんなことがあるのか、さらに使用者の高い満足を得るためには、どんなことを追加したらよいのか、といった、その対象の価値改善に必要な要求事項や問題点を正しく把握しなければならない

②機能の定義
「そもそもその問題の基本的な要求は何か」「どんな機能上の要求があるのか」を明確に把握することからはじめる。一つの名詞と一つの動詞の組み合わせによって、簡潔かつもれなく定義していく。

③機能の整理
定義した機能には、より目的的な概念をもった機能もあれば、手段的な概念をもった機能もある。
これらの機能について、その相互関係を整理し、VE活動を効率的に展開していくための準備だてをする。機能を整理するために、機能系統図法というVEの特徴的な方法を活用するのである。

2.機能評価

④機能別コスト分析
効果的なVE活動をすすめるためには、価値の低い機能や機能分野を明確にし、その順序にしたがって活動していく。定義した個々の機能を達成するための現在のコスト、どの機能分野にどれだけのコストがかかっているのかを把握し、価値判断の手がかりをつかむ。

⑤機能の評価
機能が「いくらであるべきか」という、「機能評価値」を評価する。評価の原則は、全て比較である。

⑥対象分野の選定
「機能評価値」と現行コストの両者をもとに、どの機能を改善の対象にするのか、どんな順位で改善活動をすすめていけばよいのかを検討し、改善の対象分野と着手の優先順位を決める。

3.代替案作成

⑦アイデア発想
あらゆる角度から価値ある製品やサービスを生み出すアイデアを発想していく。

⑧概略評価
発想された個々のアイデアについて、経済性と技術性の両面から使用者の要求にマッチするアイデアを注意深く評価して、使えるものを選択していく。

⑨具体化
各種のアイデアを代替案にまとめるためには、それらを相互に結合し、総合化していく。

⑩詳細評価
一連のVE実施手順を実施してきた結果まとめられたいくつかの代替案について、さらに経済性と技術性の両面から詳細に検討を加え使用者に好まれるもっとも優れた案を選択する。

引用:産業大学VE研究グループ[著]/新・VEの基本/2024年 55刷発行

過去問

H29 技術士二次試験

機械設計 Ⅱ-1-1 VE(Value Engineering)の定義を述べるとともに、3つの実施手順を具体的に説明せよ。

回答(613文字)

VEの定義:VEとは、①最低のライフサイクル・コストで、必要な機能を確実に達成するために、②製品やサービスの機能的研究に注ぐ組織的努力である。
VE実施手順:機能定義→機能評価→代替案作成の3つ基本ステップで実施する必要がある。
機能定義は、VE対象の情報収集(VE対象の価値改善に必要な要求事項や問題点を正しく把握)→機能の定義→機能の整理(機能を整理するために、機能系統図法というVEの特徴的な方法を活用する)の順序で実施する。
機能評価は、機能別コスト分析(定義した個々の機能を達成するための現在のコスト、どの機能分野にどれだけのコストがかかっているのかを把握し、価値判断の手がかりをつかむ)→機能の評価(機能が「いくらであるべきか」という、「機能評価値」を評価する)→対象分野の選定(「機能評価値」と現行コストの両者をもとに、どの機能を改善の対象にするのか、どんな順位で改善活動をすすめるかを検討し、改善の対象分野と着手の優先順位を決める。)の順序で実施する。
代替案作成は、アイデア発想→概略評価(発想された個々のアイデアについて、経済性と技術性の両面から使用者の要求にマッチするアイデアを注意深く評価して、使えるものを選択していく。)→具体化→詳細評価(一連のVE実施手順を実施してきた結果まとめられたいくつかの代替案について、さらに経済性と技術性の両面から詳細に検討を加え使用者に好まれるもっとも優れた案を選択する。)の順で実施する。

R4 技術士二次試験

機械設計 Ⅱ-1-4 VE(Value Engineering) 5つの基本原則のうち3つを挙げ、その意味とVEを進めるための手順を説明せよ。

回答(607文字)

使用者優先の原則:「使用者は何を要求しているのか、何を欲しいと思っているのか」を正しくつかみ、それを十分にみたすものをつくっていかなければならない。
機能本位の原則:使用者に好まれる良いものをつくるためには、その出発点として、どんな機能を欲しいと思っているのか、またどうあってもらいたいと考えているのかを、しっかりとつかむこと。
チーム・デザインの原則:より良い改善をすすめるためには、その道の専門家の援助を得ることが必要であり、不足する知識や技術を集めることが大切になる。
VE実施手順:機能定義→機能評価→代替案作成の3つ基本ステップで実施する必要がある。
機能定義は、VE対象の情報収集(VE対象の価値改善に必要な要求事項や問題点を正しく把握)→機能の定義→機能の整理(機能を整理するために、機能系統図法というVEの特徴的な方法を活用する)の順序で実施する。
機能評価は、機能別コスト分析→機能の評価(機能評価値を評価する)→対象分野の選定(「機能評価値」と現行コストの両者をもとに、改善の対象分野と着手の優先順位を決める。)の順序で実施する。
代替案作成は、アイデア発想→概略評価(発想された個々のアイデアについて、経済性と技術性の両面から使用者の要求にマッチするアイデアを注意深く評価し選択していく。)→具体化→詳細評価(経済性と技術性の両面から詳細に検討を加え使用者に好まれるもっとも優れた案を選択する。)の順で実施する。

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