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ビジネスを当てるのは勘とセンス

スタートアップスタジオquantumのクリエイティブ担当役員、川下です。
新規事業開発を成功へと導くために「未来の物語」を書く事業作家として働く中で考えていることを、このnoteに書き留めています。

前回、プロダクトオーナーはプロジェクトの遂行中に幾度となく意思決定を迫られるが、そこで遠慮や忖度をすると、結果的に新規事業を殺してしまうことになると書きました。

今回は、周りに流されることなく後悔のない意思決定をするための方法について紹介したいと思います。

パートナーや上司、チームメンバーと意見が異なったとき、あなたは自分の考えに自信を持って決断をすることができるでしょうか。もしあなたの意見が多数派に属しているとしたら、まだ迷いは少ないかもしれません。ところが、実際にはほぼ全員が反対で、あなただけ意見が違う、ということも起こりうるでしょう。そんなときは、やはり自分の考えがどこか間違っているのではないかと感じて、多数派の意見に折れてしまうのではないでしょうか。

しかし、そんなときこそ、簡単に意見を曲げてしまってはいけない、というのがわたしの考えです。

プロジェクトオーナーは、誰よりも未来のユーザーに思いを馳せ、未来の生活に対する想像力を働かせている存在です。プロジェクトオーナーが四六時中頭の中で未来のことを考え続けている(妄想し続けている)一方で、パートナーや上司ら周囲はどうしても今の世界を基準として見るので、ふとオーナーが妄想の世界から現実に帰ってきたとき、意見が合わないということが起こります。

つまりオーナーが真摯にプロジェクトに向き合い、未来を妄想すればするほどこうしたことが起こりやすくなるということで、反対の大合唱が聞こえたときほど、自分の意見が正しい、という可能性があるのです。

では、そんなとき何を頼りに自分の意思を貫けばよいのでしょうか。わたしが新規事業開発に携わる過程で見てきたのは、「ケーススタディー」と「ロジック」です。過去に成功している事例や成功するための論理が通っていれば、自分で納得することができるし、周りを説得しやすくなります。もちろん、過去の成功には何がしかの理由があるでしょうし、成功するための根拠も重要な判断材料になるでしょう。

ところが、それではうまくいかなかったケースもたくさん見てきました。冷静に考えてみれば、過去にどこかで成功したのとまったく同じビジネスを展開しようとしても、実施する人、時期、場所、やり方などで、まったく違った結果になってしまうわけで当然といえば当然です。

それなら、何を信じるべきか。

わたしの答えは、「勘」と「センス」です。未来に思いをめぐらせ、ピンとくる勘や、そこに対してあの手この手を実践していることを想像して、しっくりくるセンスを信じられるようになることが、重要な意思決定を成功させる鍵だと、わたしは考えます。

ただし、「勘とセンスを信じる力」と浅はかな「思い込み」は紙一重です。誰もついて来られないぐらい深くもぐって考え、何通りもの打ち手をシミュレーションしてこそ、「これだ!」と思うものに出会う手応えを得ることができます。表面的に考えたつもりになって、かたくなに自分の意見が正しいと主張するのとはわけが違います。

こうした訓練の場数を経ることによって、勘とセンスが磨かれるというのがわたしの持論です。では、その能力はのどうやって具体的な磨いていくことができるのでしょうか? 具体的な方法については、次回に譲りたいと思います。

イラスト:小関友未 編集:木村俊介

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