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【アンチエイジング】タマネギの健康効果TOP3

今回は、タマネギのアンチエイジング効果についてです。

歳をとるともに、さまざまな病気のリスクが上がります。タマネギは、そんな加齢により起こる病気のリスクを低下させます。

その理由がケルセチンです。
ケルセチンとは、タマネギに含まれる成分になります。

しかし、ただケルセチンが入っている食品を取れば良いわけではありません。

ケルセチンには、正しい摂り方があります。

3つのアンチエイジングについて、ケルセチンの正しい取り方について、早速解説していきたいと思います。


第一のアンチエイジング 降圧効果

ケルセチンのアンチエイジング効果、1つ目は降圧効果。ケルセチンをとることで、血圧が下がります。

ルーマニアのアラバマ大学が2016年に実施したメタ分析です。(1) 587人の高血圧患者を対象に、ケルセチンの効果を調査しました。

研究の結果
上の血圧が約4.5ポイント低下する。
下の血圧が約3ポイント低下する。

大幅に血圧が低下したのです。

上の血圧を10ポイント下げることは、次のようなメリットがあります。

血圧を10ポイント低下させるメリット
心臓病のリスクが20%低下する。
脳卒中のリスクが28%低下する。
全死亡率が13%低下する。

私が以前に紹介した血圧を下げる方法と組み合わせることで、10ポイント低下させることは十分可能。

よかったら、こちらの記事もあわせて読んでみてください。


第二のアンチエイジング効果 糖尿病予防

ケルセチンのアンチエイジング効果、2つ目は糖尿病予防です。
ケルセチンは、糖尿病のリスクが下げることがわかっています。

2019年にイランのカシャーン医科大学が行ったメタ分析です。(3)肥満の男女を対象にケルセチンを服用してもらいました。

結果は、ケルセチンを8週間服用することで空腹時血糖値が改善しました。

空腹時血糖値とは
空腹時血糖値とは、空腹状態で測定した血糖値のこと。

本来、空腹時には低いはずの血糖値。しかし、糖尿病の人や糖尿病予備軍では、空腹時すらも血糖値が高いことが多いのです。

これは、インスリンが効きにくくなっているためです。
インスリンは、血液中を流れるグルコースを細胞に取り込ませる働きをします。

細胞は、インスリンによって栄養を取り込めるのです。

血糖が高く、常にインスリンが分泌されている状態では、過度なエネルギーを取り込まないためにインスリンが効きにくくなります。

すると、血糖は行き場を失い、空腹時血糖値が高くなってしまうのです。

空腹時血糖値を改善することは、糖尿病のリスクを低下させるために重要です。


第三のアンチエイジング効果 関節リウマチ改善

ケルセチンのアンチエイジング効果、3つ目は関節リウマチ改善効果です。
ケルセチンを服用することで、関節リウマチの症状が改善しました。

2016年にイランのテヘラン医科大学が行った研究です。(4) 関節リウマチの女性50人を対象にケルセチン、もしくはプラセボを8週間とってもらいました。

研究の結果
ケルセチングループで、寝起きの指のこわばりが減っていました。

関節リウマチの患者さんは、指がうごかしにくいことがあります。これをこわばりといいます。

さらに、痛みも少なくなったと申告しています。

実際に血液検査でも、関節リウマチの人で高くなるTNF-αという炎症マーカーが低下しています。

関節リウマチは、本来敵ではない自分の身体自身を白血球などが攻撃してしまうことで起こる病気です。

白血球が敵と戦うことで起こる反応が炎症なのです。

TNF-αという炎症マーカーが低下するということは、関節リウマチが改善している証拠になります。


ケルセチンの正しい摂り方

以上、ケルセチンの3つのアンチエイジング効果でした。

ただし、そのアンチエイジング効果を得るためには条件があるのです。

それは、ケルセチンを500mg以上とることです。

500mgをとるためには、何をどれくらい食べれば良いのでしょうか。

2015年、筑波市の食品総合研究所が食品100gあたりのケルセチン量を調査してくれています。(5)

結果は、

ケルセチンの量が最も多いタマネギ(冬)ですら、

約1200g食べる必要があります。これは、約8球のタマネギに相当します。

「毎日、8球のタマネギを食べるんやー!!」と覚悟を決めても、3日で挫折しそうです。

そのため、ケルセチンは食品からとるのは不可能です。

サプリメントで摂取するのが、最も効率的だといえます。

基本的には、1錠 500mg のケルセチンが入っていれば、何でも良いかと思います。

このあたりで良いのではないでしょうか?


ケルセチンの注意点

注意点としては、ケルセチンは一部の薬と飲み合わせが悪い可能性があります。(6)

薬は、血液中から肝臓に取り込まれて、無毒化されるものが多いです。

血液から肝臓へ取り込まれる時のゲートは、薬によって異なります。

ケルセチンは、数あるゲートの中でOATP1B1というゲートを通せんぼしてしまう可能性があるのです。

こうなると、OATP1B1を通り道にしていた薬は、肝臓に入ることができず、無毒化されにくくなってしまいます。

このゲートを通る薬は、中性脂肪やコレステロールを改善する薬として使われるプラバスタチンなどのスタチン系

それ以外にも血圧を下げるバルサルタンなどのARB系、一部の糖尿病薬、アレグラで有名なフェキソフェナジンがあります。

ケルセチンがどれくらいゲートを通せんぼして、他の薬の副作用がどれくらい出現しやすくなるのか。

まだ研究中のため、明らかではありません。

しかし、高用量のケルセチンを飲む際には、薬の飲み合わせに注意が必要であることは間違いありません。

ケルセチンを飲みたいけど、薬を飲んでいて心配という方。

そんな方は、私や主治医、薬剤師までご相談ください。


まとめ

以上、ケルセチンで手に入る3つのアンチエイジング効果でした。

今回の続きの記事はこちら。

ケルセチンは、ファイトケミカルの一つです。

ファイトケミカルについて、一から詳しくしりたいという方は、こちらの記事で解説しています。

なぜファイトケミカルが良いのか。どんな種類あるのかを知りたい方はどうぞ。

ケルセチンには、アンチエイジング効果以外にも、筋肉のパフォーマンスを上げる効果があります。

持久力をつけたい、筋肉を効率よくつけたい、と考えている方はどうぞ。

それでは、また次回の記事もよろしくお願いします。


参考文献

(1)Serban MC, Sahebkar A, Zanchetti A, Mikhailidis DP, Howard G, Antal D, Andrica F, Ahmed A, Aronow WS, Muntner P, Lip GY, Graham I, Wong N, Rysz J, Banach M; Lipid and Blood Pressure Meta‐analysis Collaboration (LBPMC) Group. Effects of Quercetin on Blood Pressure: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. J Am Heart Assoc. 2016 Jul 12;5(7):e002713. doi: 10.1161/JAHA.115.002713. PMID: 27405810; PMCID: PMC5015358.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5015358/

(2) Ettehad D, Emdin CA, Kiran A, Anderson SG, Callender T, Emberson J, Chalmers J, Rodgers A, Rahimi K. Blood pressure lowering for prevention of cardiovascular disease and death: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2016 Mar 5;387(10022):957-967. doi: 10.1016/S0140-6736(15)01225-8. Epub 2015 Dec 24. PMID: 26724178.

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(15)01225-8/fulltext

(3)Ostadmohammadi V, Milajerdi A, Ayati E, Kolahdooz F, Asemi Z. Effects of quercetin supplementation on glycemic control among patients with metabolic syndrome and related disorders: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Phytother Res. 2019 May;33(5):1330-1340. doi: 10.1002/ptr.6334. Epub 2019 Mar 8. PMID: 30848564.

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ptr.6334

(4)Javadi F, Ahmadzadeh A, Eghtesadi S, Aryaeian N, Zabihiyeganeh M, Rahimi Foroushani A, Jazayeri S. The Effect of Quercetin on Inflammatory Factors and Clinical Symptoms in Women with Rheumatoid Arthritis: A Double-Blind, Randomized Controlled Trial. J Am Coll Nutr. 2017 Jan;36(1):9-15. doi: 10.1080/07315724.2016.1140093. Epub 2016 Oct 6. PMID: 27710596.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27710596/

(5)Nishimuro H, Ohnishi H, Sato M, Ohnishi-Kameyama M, Matsunaga I, Naito S, Ippoushi K, Oike H, Nagata T, Akasaka H, Saitoh S, Shimamoto K, Kobori M. Estimated daily intake and seasonal food sources of quercetin in Japan. Nutrients. 2015 Apr 2;7(4):2345-58. doi: 10.3390/nu7042345. PMID: 25849945; PMCID: PMC4425148.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4425148/

(6).Wu LX, Guo CX, Chen WQ, Yu J, Qu Q, Chen Y, Tan ZR, Wang G, Fan L, Li Q, Zhang W, Zhou HH. Inhibition of the organic anion-transporting polypeptide 1B1 by quercetin: an in vitro and in vivo assessment. Br J Clin Pharmacol. 2012 May;73(5):750-7. doi: 10.1111/j.1365-2125.2011.04150.x. PMID: 22114872; PMCID: PMC3403202.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3403202/

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