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朝日とハートランド
病気の時や出先で仕方のないとき以外はなるべくコンビニの弁当類は食べないようにしている。それが迷信だとしても心身に影響が出ることを信じてやまないからだ。
米を厚手の鍋で炊く。住んでいる地域の水道水の取水口が下流であればあるほど消毒用の塩素の添加量が増える。
市水として放出する前に規制値内まで塩素を除去するがやはり高いのは否めなく上手くないということになる。
添加量が多いほど残留塩素値は高くなる気がする。
だからこのあたりは米を炊くときは脱塩素能力のあるフィルターを通過させることが 絶対だ。
毎年、この時期になると山形県の酒田市まで酒田の塩を直売所まで買いに行く。今どきわざわざ出向かなくともネットやら通販で買えるのであろうがわざわざ新幹線、在来線特急いなほを乗り継ぎ買いに行く。旅に行くには理由付けが必要だ。誰かに頼んで得た獲物を家まで届けてもらうより自力で狩りに出掛け自力で持ち帰る。それが醍醐味、お土産を買って背負って帰宅、狩猟本能か。無意味な旅は常々あるが。
白菜を小さめにカットして酒田の塩をバサリバサリと振りかける。
最近のガスコンロはよく出来ていて汎用品でも炊飯機能がついていたりする。点火して炊飯と書かれたボタンを押すと最初の弱火から中頃の強火力、最後の弱火、温度センサーにプログラムされていて蒸らしまで全ての行程を自動でしてくれる。素晴らしい。その家宝的存在感のあるガスコンロで飯を炊く。
やはりご飯やその他の食材も含めて重要なのは火だ。火の神だ。
電気炊飯器には何かが足りない。火の神の介入が必要だ。
ご飯が炊けるまで味噌汁を作る。油揚げの油抜きをして出汁昆布でさっと出汁を取りワカメ、ネギ、油揚げの味噌汁を作る。味噌汁をおいしく作れる女性はもはや尊敬するしかない。
ご飯が炊ける頃、酒田の塩をまぶした白菜をさっと水洗いして水を切る。
自家製唐辛子をパラパラと。
キリリと冷やしたハートランドビールをその白菜の漬け物をつまみとして飲む。至福の時間。そのあとに炊きたてのご飯、作りたての味噌汁。新米のご飯の甘味が相成り他に何もいらない。
満たされた腹のまま熱いほうじ茶をすする。旨さに唸る。冬の朝日が東の窓から西の奥まで貫き鴨居に普段は見えない小さな蜘蛛の巣を見つける。ネコの毛はさらにサラサラになる。朝日で瞳孔が細くなり野生感を増す朝ネコが朝から酒のむか、と唄っている。
(ここだけの話、快晴、冬の週末何も予定のない土曜日の午前7時に)