050_20240411_はじめアルゴリズム
基本情報
三原和人(みはらかずと)先生執筆の、少年マンガ
監修:株式会社キャンサースキャン、データ解析:三澤大太郎(京都大学 理学系研究科 修了)
講談社「週間モーニング」で2017年9月〜2019年11月まで連載
全98話、全10巻で完結済み
メディア展開
2019年、生放送コミュニティ「Schoo」で、『はじめアルゴリズム』を使った数学の授業を開催
大まかな紹介
老数学者・内田豊は地元での講演後、ふらりと立ち会った母校で、
「数字」と遊び、「数学」の才能に溢れた小学5年生・関口ハジメに出会ったのであった…。
足す足す引く引くワクワクドキドキ!
ワンダーボーイ、数字と一緒に世界を大冒険!
読めば数学が少し好きになる、天才が少し好きになる!!
導入
人口少ない田舎の離島の記念イベントで、数学者のおじいさんが公演している
彼はこの島出身で、一時代を築いた有名人のよう
おじいさんは、今は廃校になった中学校で、数学と出会い、夢中になり、才能を開花させた
壁一面にその頃の数式の落書きが残っている
懐かしく追って観ていると、続きをの解法が追記されている
稚拙だが破天荒だが、アイディアは天才的に感じる
その窓辺から校庭を見ると、一本の木の下に、少年が一人
日を浴びながら、地面に何やら数式を書いている
「おまえが書いたのか?」と問いただすため近寄るが
うるさいばかりに全力で殴られる
少年は「自然界を数式で表す」に挑戦していた
雲、木の枝、水の波紋、トンボのし脈
最終的には「全ての式を統合して世界を表す」をしたいようだ
じいさんは「どういう道を歩んできた?」と問い、少年は怪しがった
おたがいに「お前は誰だ」と
おじいさんは「内田豊、数学者だ」と名乗り、少年は「関口ハジメ、小5」と名乗った
ウチダは「君は数学で何をしたいのだ?」と問う
ハジメは「世界を全部知りたい」と答える
「私は君の数学が好きだ」とラブコール
「僕はアンタがキライだ」逃げる
ウチダはつぶやく
私が今ここに居る、これは運命(さだめ)だ…「君を導く」それが私の数学者としての最後の仕事!
ここまで一話
感想
音楽を数学にした「BECK」であり「ピアノの森」だ、と自分は捉えた
テーマを「音楽」から「数学」へ置換しても成り立った、的な
「数学」というテーマを「芸術」や「自己表現」のような捉え方をしている
本来、理論of理論な「数学」というテーマを主題にしてるのに「それは情緒だ」と序盤に言い切った
少なくとも「半分は情緒の部分だ」と作中で言うてる
「自由で人間性を写すもの」「自由だ」「人それぞれの数学がある」みたいに捉えてるのが気に入った
なにより「自由な自己表現」と、まるで芸術・アートなような扱いをしているところが、最初頭バチコーン行かれた
作品の主人公の「精神世界」の世界感がすごく良い
自由で豊穣、その中では何かが満たされていて、何かを面白いと感じている、そんな世界感
だが「出力手段が無い」という世界
音楽とかやってると「ああ、この頭の中で鳴ってるものをそのまま再生してくれんかなぁ」と思うことが在るので、共感ある
数学という「中央テーマ」を軸に、生活や社会の問題を考えさせる
自身の問題、親子の問題、経済的問題、優劣、疑問を持つことの大事さ、etc
これが「大人の視聴に耐えうるもの」足らしめてると思う
「天才になりたかった男」と「天才だが孤独だった少年」の物語
天才になりたかった男は、天才に出会い、かつての自分を重ね、導きたい気持ちと嫉妬に苛まれるが、いつしか「自分もプレイヤーとしてまだやれるかもしれない」と再起のエネルギーをもらう
天才は自分が「孤独である」ことすらも気づかず、誰も理解し得ない「自分の中の世界」に閉じこもっていたが、天才になりたかった男に導かれ、「その世界」を広げ皆と分かち合える喜びをしる
大人は子供扱いせず、子供は大人を畏怖せず、対等に接している
ハジメは師匠をウチダとよび
ウチダは最初からクソガキだったハジメを「イチ数学者」として扱っている
これは賛否在るとは思うけれど、こういう感じは好きな世界感
作品の主人公は、作者の脳みそや能力を越えられない
テーマと能力にもよるし、「描かない」と決めたらハッタリもかませるが
今回のテーマ、ごまかし聞かないだけに、作品開始時点での作者の勇気に敬意を持った
どう着地させても、実際の証明が世界でなされてない限りはそれを描けないし、超人描くなら最後はメルヘンにするしかなかろうに…
でも「それを選んだ」のは英断だと思うし尊敬する
俯瞰・客観視点の大事さをおしえてくれる
作中にも「空から観る自分」「となりで自分を笑ってる自分」が出てくる
情操教育によさそう
お子の教育や、興味を伸ばすきっかけに良いのでは
とっかかりを持つ、興味を持つ、可能性として与えてみるとか
少なくとも、数学を知らない幼少期に、俺はこの作品を読んでみたかった、と自分事に思えた
そりゃマンガはマンガ、こんな素敵だったり楽しい一辺倒ではないかもしれんけど、「こんなものも在る」と記憶に残せたら御の字
たたみ方も綺麗だった
ハッピーエンドは約束されてたとはいえ、予想を上回って安心と信頼だった
些末だが「もう一人の主人公の数学者の爺さん」の設定が「数学で脳が強烈に刺激されると鼻血出る」って設定がお気に入りw
総評
数学が好きな人は、ストーリーと共に「数学者の精神世界」を共有してみたら面白いと思う
そうでもない人は「数学に興味を持つ」とっかかりとして読んでみてはと提案
文句なし「情操教育児童書」としてお子には推薦
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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