045_20240205_悪女(わる)
YouTubeLive「マンガMeetsおれたち」2023年02月05日配信分(リトライ) の原稿
まだ未配信なので…
悪女(わる)
基本情報
深見じゅんさん執筆の、会社を舞台にした青年女性マンガ
講談社「BE・LOVE」誌にて、1988年から1997年まで連載
全222話、全37巻で完結済み
メディア展開
1992年に日本テレビ系読売テレビでドラマ化
2022年に日本テレビでドラマ化
大まかな紹介
落ちこぼれOLの田中麻理鈴(まりりん)は、近江物産のロビーで出会った男性に一目惚れ。
名前も所属もわからない彼のことを知るために、出世して人事課長になることを決意するが…。
オフィスという名の魔窟(ダンジヨン)でサバイバルしながらの王子さま(プリンス)探し。
深見じゅんの笑いと感動のコミック。さあ、麻理鈴の冒険の始まり!
掲載誌「BE・LOVE」による作品紹介より
導入
高いビルの一室、入社式と思しき空間
胸に「田中」の名札の女性は、あくびをしながら「難解なビジネス用語飛び交う会話」に辟易していた
「私は恐ろしい魔窟へ入り込んだ気がします」
一人暮らしの六畳一間から通勤ラッシュでよれよれになりながら出社
「資材管理室」勤務になる
勢い良く「おはようございます」で張り切るが
資材管理と雑務ばかりである
昼休み、デスク横の「峯岸」という妙齢の先輩女性と話す
「新入社員でここに来るコは、下等なコネで入社した場合ね。大抵は1〜2年でやめてくのよ」
「私マリリンって言うんです、田中麻理鈴。良いことありそうな気がしません?」
次の日、戦場のような一階エレベーターホールで、コンパクトを落とす
素敵な男性が拾ってくれる「どうぞ」
峯岸女史に相談する
「バッジつけてる人?正社員全員よ。支社は世界で129箇所あるのよ?」
「あの人を見つけて、もう一度会って、それからじゃないと、死ねない気分。こういうのって…すごい」
次の日、隣の部署へ備品の集計で回っている
ゴミ捨てやお茶くみ、雑用をやらされる「いびられてるのでは?」
いびってる人の机の社内報に「コンパクトを拾ってくれた人」を見かける、見せてほしいという
「社内報?要らないでしょう?窓際族に回されといて『一流企業の正社員よ』顔はやめてほしいの」
次の日、蛇のおもちゃで逆襲する
「後日いろいろとお持ちしましょうか?窮鼠はライオンだって噛みますので」
社内報を手に入れるが、人違いだった
峯岸女史に「ちょっと時間もらえる?」と言われ外のベンチに
「出世したくない?なんでも好きなことできるわよ?会社の人事も思いのまま、贅沢出来るわよ」
次の日
「真面目に働きます」
「出世したくなったのね?まずはぶりっこはやめなさい、弁当は社員食堂、それからこれ覚えて”ビル清掃の女性達の名前と特徴” 忙しくなるわ、がんばるのよ」
「これで出世なんか、できるのだろうか…」
ここまでで2話。
感想
少女漫画の古典の金字塔…だと認識していた
当時長期漫画が少ない中、40巻近くと、わりとロングランだったので
当時、自分は「ドラマの原作」として、この作品を知っていたのだが…
ぜーんぜん、内容が違うかった
原案ではあるが原作ではないて…って思う
師匠ポジションが倍賞美津子だったのは少し感動した
期せず、今「脚本家による原作改変の是非」についてムーブメントになっていますが
これを読んで感想をまとめたのは、年末でして…
それを意図して取り上げたかったわけではない
が「設定と名称など”パーツ”だけ使って別の話作る」のは…
作品が伝えたかったことがぼやけたり、ひん曲がったりする可能性があるなと
現に、自分にとっては「長く後になって原作読んだが全然違う事言ってた」ってなってるので
序盤にの認識としては「少女漫画でやった島耕作」だと思ってた
同一企業内で、部署を渡り歩きながら問題解決し、成り上がっていく…のかなと
「男女共同参画」の概念を経た現在としては、30年前に「女性の社会進出と苦悩」について扱ってたのは、当時としては画期的な作品だったのだろうと思う
ともあれ、当時も「克服」というのではなく「そういう厳しい社会を無視できる異端」「女性は女性らしいまま狡猾に」みたいな話しであって、同権を高らかに歌うようなものではないけれど
物語中でも、この時代の「女性軽視」がうっすらと見え隠れする
少女漫画かつバトルとかではないので、必然的に「人間関係のトラブル」を起点に描かれるのだけれど
かわいい絵でごまかされているものの、まーどぎつい陰湿さである
努力が報われない、無限に吸われてくような「賽の河原」みたいな展開が多い
今ならカウンセリング行き案件もあったかもしれない
最初に提示した「目的」や「謎」を、まーひっぱるひっぱる
完結巻数をわかった状態で読んでたが、残り数巻までぜーんぜん、ゴールの情報にすらカスリもしないのは、少し不安なった
もっと、先に構想があり、書きたかったんじゃないかな?と推測する
放置伏線や布石が結構在る状態で完結している
最後も何かを示唆しつつ、数話縮めて切ったイメージがある
連載期間が「バブル景気まっただ中→崩壊」という期間である
Wikipedia「バブル景気」 によると、1986年12月から1992年2月ごろまで、とされている
連載は1988年から1997年までなので、途中でバブル崩壊したことになる
ストーリー自体は「最初のノリ」を継続しているので、豪奢だったり景気の良い話で突っ走るけれど
途中「元の部署に出戻った」り「やってることは凄いが給料は安い」描写があったりするので、そこらへんの「せちがらさ」には影響しているのかもしれない
作者は相当「ゲームが好きなヒト」なんじゃなかろか?
当時、黎明期であった家庭用ゲームの内容をふんだんに入れ込んでる
と思って調べたら すべてのネタ元を調べているヒトの動画 があった
総評
今とは違う「バブル景気〜崩壊」のまっただ中で、今のように「男女共同参画」の概念がない時代、「女性の社会進出」「出世物語」をどう考えてたか知れる(可能性のある)マンガ
30年来続く「テレビ局による原作改変」を垣間見ることが出来るマンガ
レトロゲーム好きにはニヤニヤ出来る
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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