038_20231005_MONSTER
基本情報
浦沢直樹 さんによるサスペンス青年漫画
ビッグコミックオリジナルに1994年から2001年まで掲載
単行本全18巻で完結済み
後に完全版(愛蔵版のようなもの)が刊行され全9巻
受賞歴
第3回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞
第46回小学館漫画賞青年一般部門を受賞
2004年4月7日 - 2005年9月28日(1年半)かけ、マッドハウスによりアニメ化され日本テレビ系にて放映
大まかな紹介
1986年。ドイツで働く日本人医師の天馬賢三は、将来を嘱望され、
婚約者のエヴァ・ハイネマンとともに、一見順調な日々を送っていた。
しかし、実際は院長のエヴァ・ハイネマンの父親(院長)から利用され、
意に沿わない仕事ばかりをさせられていた。
ある日、院長の命令を無視して、重傷を負ったヨハン・リーベルトの手術を行った賢三は、
手術には成功したものの、出世コースからは外され、エヴァとの婚約も破棄されてしまう。
それを悔しく思いつつも、ようやく自分らしい仕事ができると考えた賢三だったが、
院長らが突如ヨハンの手によって殺害される。
ヨハンが恩人である賢三のために院長らを殺したこと、
さらに、他の多くの殺人事件にも関与していることを知った賢三は、強い責任を感じ、
「ヨハンの命を救ったことで、自分は凶悪犯を世に放ってしまったのではないか」と苦悩する。
そして賢三は医師をやめ、たった1人でヨハンを追うことを決意する。
※マンガペディアのあらすじ より。
導入
1986年西ドイツ デュッセルドルフの病院、一人の脳神経外科医が手術後に手術に参加したスタッフからを賛辞されている
「ケンゾー・テンマは天才だと改めて確認したよ」
日付変わって昼まで寝てるテンマに、婚約者・エヴァがデートの約束よ!と起こしに来る
テレビには有名なオペラ歌手の命が救われたというニュース
アイスラー病院のハイネマン医師が救った、という記者会見
「凄いわケンゾー、アナタのチームが救ったのよ」
「僕でなく君のパパのニュースだよ」
「父についていけばゆくゆくは院長に、そしたら私は院長婦人!」
どうやら、婚約者の父であるハイネマン医師のゴーストドクターとして、手術を成功させ、論文を書き、そのハイネマン名義で学会発表されている模様
病院を歩いているテンマにトルコ人女性が声をかけてくる
亭主を返してよ!オペラ歌手よりウチの人のが先だったのに…なんで後回しにしたんだ!
場面変わって、テンマと婚約者がレストランで食事をしている
しかし、テンマは先のトルコ女性の訴えが頭から離れず、上の空である
「僕が執刀していれば、救えたのかもしれない。しかし罵られても僕に責任はない…」
「当たり前よ。人の命は平等じゃないんだもの。」
場面変わって、雨の屋敷、パトカーが集結している
「銃声は5,6発、先日東ドイツから越境してきた党貿易局顧問、リーベルト氏の住まいだそうです」
部屋に入ると、夫妻が打たれ、死んでいる
奥には、血まみれで倒れた男の子と、棒立ちの女の子
テンマが病院に呼ばれ、車を飛ばしている
電話口から「クランケは男の子一人、両親は即死です」
少し前の回想、婚約者の父、ハイネマン医師との会話
「この前の論文、よく書けていたね。しかしその研究はキャンセルだ」
ハイネマン医師は「欧州の総会用に必要なテーマで草稿を書け」という
「しかし昼間は参った。不斉医療を糾弾する会なんて団体が来て、トルコ人のけが人を後回しにしたとうるさい」
「医者をボランティアか何かと勘違いしておるんだ。我々は人を救う前に学究の徒だろう?」
納得行かないテンマ
病院に着くテンマ、全頭部を打たれた少年が担ぎ込まれてくる
手術にかかろうとしたとき呼び止められる
「市長が倒れた」
ハイネマン医師からも「市長を優先しろ」と
命令を無視し、少年の手術を敢行するテンマ命を取り留める
手術の後同僚から「市長は死亡した」と伝えられる
「そうですか、それは残念でした」とテンマ
「よくも他人事みたいに言えたもんだな。君が突然抜けた穴を埋めたのは私達だ。君はチームワークを乱したのだよ」
場面変わり、病院の親睦のパーティ
ハイネマン医師がスピーチしている
テンマ以外の医師に「君の論文よく出来ていたよこれからもがんばってくれたまえ」
ハイネマンに謝罪するテンマ
チーフからの挨拶を…と司会が言うのでテンマが向かおうとすると「君じゃないよ」
「ここに残りたければ残れば良いが、上を狙うのは諦め給え。人格的に問題がある医師では無理だ。他の病院に移るつもりだとしても紹介状を書く気はない」
会場の外の婚約者は指輪を捨てつつ「アナタって本当にバカね」
手術後の少年の前でグチをこぼすテンマ
「医者は人の命を救うのが第一だ、命に上下なんかあるものか、僕の人格に問題があるだと?あんたは金の亡者じゃないか!死んだほうがマシだ」
「君が僕を医者としてめを開かせてくれた。頑張って生きるんだぞ」
テンマが去った後、目をあけ不敵な顔をする少年
ここまでで3話。
感想
浦沢マンガは、いくつか読んだのだけど…
[ ] パイナップルARMY
[x] YAWARA!
[x] MASTERキートン
[x] Happy!
[ ] MONSTER
[x] 20世紀少年
[ ] 21世紀少年
[ ] PLUTO
[x] BILLY BAT
[ ] MASTERキートン Reマスター
[ ] 夢印-MUJIRUSHI-
[ ] 連続漫画小説 あさドラ!
浦沢マンガは系統が分かれる
シリアス寄りか娯楽寄りか
ミステリーかご都合か
例えば「娯楽&ご都合」でも、それほどストーリーに破綻をきたさないように、整合取るのが浦沢マンガの好きな所
例えば「ストーリーをグイっとする都合のための矛盾」みたいな、卵茹でたようなやつは無い
今作は「ミステリー&シリアス」という、いわゆる「大真面目」なマンガの最高峰だと思った
浦沢が真面目に描いた、の真骨頂がここにある
人によっては割とストーリー追うのに頭使うかも
ストーリーもの(続きモノ)かつサスペンスや推理の要素を入れる時の「独特な浦沢パターン」「浦沢文法」みたいなのがあって、大いなるマンネリであるものの、ワクワク常習性みたいなものがある
例えば…
話しの最初に「今までの筋と違う所、観たこと無い人物の話」で始まる
大体「冴えない男の困りごと」とか「ありふれた夫婦の日常」とか、「かっこよくて主役級、とかではない話」が多い
話しの中盤で「困りごと」や「隠している秘密」の話しが明かされる
「恐ろしいやつを観たんだ」とか「実は隠し事あって…」とか
それらが、主人公あるいは一線級の敵幹部とかとつながって「ああ、やっぱこの作品だったな」みたいな安堵する
上記は一例だけど、これをすると「登場人物とその関係性が無尽蔵に増える」のだけれど、週末に向けて「うまいこと収束・集結させる」のが、流石の浦沢流
今回も、新展開の先の新展開の、枝葉の先の枝葉の…ってやってる間に「当初のストーリーの端緒は忘れたけれど、謎の真相にたどり着く」をやってて、流石浦沢ー!という感じ
「群像劇の浦沢作品群」にあって、今作に関しては「主役級がわかりやすく線引きされたキャラデザ」だった気がする
大体、娯楽系の浦沢作品は「ヒロインが美形、ヒーローがちょっと抜けた顔」みたいなのが定番なのだけど
今回「主役級は美形」「キーマンとなる切れ者は鋭い目」みたいに、意識してデザイニングされてるんじゃないかな、と邪推した
登場人物多いし、そこらへんは「観てる人が観たら、もしくは思い出したら判る」ような簡易化の配慮…かも?
「人種設定を割と自由にできる」ストーリー幅なので、その辺も影響しているかも
とはいえ、ストーリー進行に合わせる&ドイツ周辺に限られるけど
内容に触れた瞬間「ネタバレの嵐」なんで、今回は表層的なことしか言えないなw
総評
浦沢直樹のシリアス&サスペンス系で「お見事!」みたいなのを読みたければおすすめ
整合性を割と取りつつ、矛盾無く風呂敷をうまいことやってる作品が好きなら
20巻以内なので駆け抜けられないこともないけれど、自身の脳内整理&そのストーリーを堪能するために、長丁場でゆっくり読んでも良いかもしれない
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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