037_20230921_ビッグオーダー
基本情報
えすのサカエ 先生による、能力系バトルアクション漫画
角川書店「少年エース」にて2011年11月号から、2016年9月号まで連載
第一部を2011年〜2013年の1から6巻
第二部を2014年〜2016年の7から10巻
全54話、全10巻で完結済み
メディア展開
2015年10月にOVA化
2016年4月にテレビアニメ化(スタッフと担当声優はOVAと同じ)
大まかな紹介
「未来日記」えすのサカエ最新作! 異能力者達による世界侵略バトル!!
天草に住む高校生の星宮エイジには大きな秘密があった。
それは幼かった彼の願い事が原因で世界を一度滅亡させてしまったことだった…!
稀代のストーリーテラー・えすのサカエが贈る、震撼のサスペンス異能力バトル!
※少年エース公式サイトの紹介文より。
導入
モノローグ
「願い事」が一つなんでも叶うならどうする?
「歌手」「お金持ち」「永遠の命」いろいろあるだろう
でも俺は少し違った
10年前僕が望んだのは「世界の滅亡」だった
これは「世界の滅亡から始まる物語」
舞台は「九州地区天草市」から
主人公の星宮エイジが高校の授業を受けている
先生曰く「10年前の大破壊、それと同時に現れたのが”オーダー”と呼ばれる超能力者たちだ」
エイジは「気分悪いから早退しまーす」する
「そりゃ大破壊は俺が10年前起こしたんだから…」
部屋に帰り「ベッドに座ってる妹の写真」を一瞥しながら
おい「デイジー」と言うと、中空に空飛ぶ少女が現れる
目に☆があるので、おそらく「天才的なアイドル様」な気がする
エイジは懐古する
デイジーと出会ったのは10年前だが、解ってることは「人の願いを元に一つだけ能力を与える存在」だということ
デイジー曰く
相変わらず力は使ってないようだの…まだ妹の事を気に病んでおるのか?
一つ教えておくが、お前は10年前のことを記憶違いしておるぞ
正確には、お前が望んだのは”世界の滅亡”ではなかった
余は…再びお前が力を使う時を楽しみにしているのさ
場面変わって学校の授業
転校生HasCome、「はじめまして 紅鈴 です。よろしくおねがいします!」
エイジ、一目惚れである
そして帰宅、家の前でばったりその紅鈴と会う
すみません、お願いが…鍵をなくしてしまったので、鍵屋さんよんでくれませんか?
「まあいいか、話が出来ただけでも」
紅鈴「本当にたすかりました…なんてね!」スタンガンで一発である
場所は変わってエイジの自宅居間
手をしばられ気を失っていたのから目覚める「なんだこれ」
「私は紅鈴 あなたを殺しに来た刺客よ」
情報を秘匿されているのに「なぜ知ってる」って顔してるわね
私の両親はね、十年前の大破壊のせいで死んだの…火事に巻き込まれて!
エイジは紅鈴の日本等により手の甲を両手もろとも刺し貫かれる
「死ね!」エイジは思う「一目惚れした子が敵だった」
その刹那、何故か刀は紅鈴の土手っ腹に刺し貫く
まさか、「力」が暴走したのか?
ところが、刺されたはずの紅鈴が楽勝で追いかけてくる
もう誰も傷つけたくない、能力も使いたくないのに…
妹に電話して落ち着くエイジ
エイジは妹の病院に行くが
そこには、エイジの妹…と横に紅鈴と軍隊っぽいのが
紅鈴は、妹を背中から日本刀で刺し貫く
「早く手当しないとこの子は死ぬ」
なぜ死んだはずの紅鈴が…まさか
そこにデイジーが現れる
そう「オーダー(能力者)」さ、紅鈴が両親を失って自分も瀕死の重症を負い、願ったのは「みずからの再生」「リバースファイア」
紅鈴を倒せないお前では、戦わねば自分が死ぬが、したに行けば撃ち殺されるだけ、上には紅鈴が居る
デイジー曰く「言ったろ、力を使う時が楽しみだと。お前の能力範囲を「一萬分のイチ」に限定した。暴走はふせげるはず」
エイジは「ダメだ、俺はもう力は使わない、そう決めたんだ」と
屋上にあがたった途端、笑劇が走り、フェンスがちぎれる
紅鈴はエイジを殺した…はずだった
いつの間にか「エイジの妹を治療している」
力を使わせたのは君だ「オーダー:バインドドミネーター(拘束する支配者)」
色付きの地面「これは領土だ、俺の能力は”支配領土の拡大”、俺は世界を支配する」
紅鈴、手始めに君を服従させる!
感想
なんだか…すごく「なんとも言いようのない違和感」を、いい意味でずーーっと感じ続ける作品だった
こう言うとネガティブな意味に聞こえるかもしれないけれど、読んでも読んでも「何か在るはず、まだ何かあるはず…」って読んでしまうってこと
「気持ち悪い」はまあそうなんですけれど、それが「作品として不快」とかじゃなくて「なんか隠しているやろ…構造的におかしいし、整合とれてなさそうやし、話にぽっかり黒い穴開いてるし!」みたいな感覚
実際、その「黒い穴」ってのは、感覚的なもので「作中で理屈として埋められたり、埋められなかったりする」のだけど、終盤ですら「なんか、足らんこと…俺らに言うてないことない?」みたいな
えすのサカエさんの漫画は「未来日記」は読んでたけど…
あの「狂気をはらんだ良い話風の破滅話」みたいなんに免疫はあったけど、でも新鮮で全然違う感慨だった
えすのサカエさんの割には「まっとうなヒーロー物」を描いた(あるいは描きたかった)んじゃないかなーと、勝手に思った
ま、結果「そうじゃない」から「描きたかった」って表現をしたのだけれど
主人公は「取り返しのつかないぐらいの世界レベルのヘイトを受け」ながらも「全うでありたい」と思ってるし「生きたい」とも「妹”は”救いたい」と思ってたり、ちゃんとヒーローしている
ま、中盤までは「そう主人公にそう思わせるからくり」があったりするんですけど
が「なんでそうなんか」の掘り下げは薄いし、「ヘイトを受ける出来事」の前から、正しくありたくかつ卓越した能力を持っている幼年である理由は、掘り下げられていない
じゃ「ナチュラルボーン☆主人公やんけー」としか言いようがない
整合性や伏線、また「よく出来た」に感嘆するみうらとしては「ものすごく不安定だな…」みたいな感覚にとらわれる作品
開始「お、この路線で戦ってくのかな?」はさっさとやめ
序盤「お、この感じでロードムービーしてくのかな?」はさっさとやめ
中盤「お、これが最終目的・これがラスボスとして君臨するのかな?」はさっさとやめ
フォーマットが全然固定されない、転じてずっとワンダーである
ので、恐らく連載で読んでた人は「ライブ感」を感じてワクワクしただろうなって想像する
作画は若干「顔芸み」を感じる
以前未来日記読んだときにはそう思わなかったので「この時期は」「この作品は」な可能性はあるけれど
女性が出てきて「ここはとびっきりの美しい、そして可愛く優しい笑顔でキメ!」みたいな場面でも、三白眼でクチ開けてたり、若干「え、なんで?」になった
しかし、人外やクリーチャー、また「人間の顔以外(隈取がある弁慶みたいなやつ)」とかに表情つけるのは、素晴らしいものがあった
存在し難いものだから「笑ってる手本」とかないはずだけど…上手いこと書くなぁと
総評
おもしろいともつまらないとも言えないが「なんやろこれ…なんやろこれ」と「自分の知らない感覚を感じたい」や「疑問と多く向き合いたい」という時に、気まぐれに読んで見るのにおすすめ
その際には、出来るだけ「前情報を入れない」ようにして読んでもらいたい
漫画に「ライブ感」みたいなのを求めている人にも良いかもしれない
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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