
018_20221208_美醜の大地〜復讐のために顔を捨てた女〜
作品情報
「藤森治見(フジモリハルミ)」さんによる成年向け漫画
『まんがグリム童話』(ぶんか社)にて、2016年4月号より連載中。
『まんがグリム童話』(まんがグリムどうわ)は、ぶんか社から発売されている女性向けの月刊漫画雑誌
単行本は講談社から既刊18巻
Wikiの更新が滞ってるのが気になる…
電子書店で単行本が先行配信され「配信80万DL超」と宣伝されるほど話題となる
何かとマルチメディア展開が充実している
2021年6月、アプリゲーム化される
2022年3月、ボミックというか「音声付きマンガ動画」が公開される
導入
病室、医者と女性看護師、そして包帯を顔にぐるぐる巻きにした女性
看護師「さあハナ、生まれ変わったアナタとの対面よ」
そして少し前の回想
恐らくまとまった金と思しき札を医者に渡し「これで私の顔を美しく生計してください」と女性
医者は「動機が重要だ」と女性から経緯を話すように言う
女性は過去を語りだす
昭和2年、日本領土だった樺太で生まれた
顔のせいでひどい集団いじめに会う
その首謀格は富豪一族の令嬢
ありもしない窃盗の罪をきせられ、先生に「いじめられてるのだ」と伝えても、「他人のせいにするな、顔面と同じく心も歪んでいる、退学だ!」と言われる
昭和20年、終戦で樺太はロシア領になる
引き上げ船に乗れるチャンスがあるが、丁度令嬢が乗っており「泥棒が乗ってきた」と乗船者を煽り追い出される
翌日の船に乗れたが、砲撃で沈められ、母と弟の溺死を目の当たりにする
「醜い」というだけで何故こんな目に合わなければならないのか?必ず復習してやる!
お金をためるため、顔を隠して体を売った
- そこで商売人から「闇でどんな手術もやるという腕利きの外科医がいる、ドイツ帰りで軍の研究機関にいたことがある」と
- 医者を見つけ出して成形して別人に生まれ変わると決心一通り聞いた医者は「すべてを忘れて生き直すという選択肢もあるだろう。復讐にこだわる必要もなかろう?」と問う
女性は「絶対あいつらを地獄の底に引きずり落とさないと気がすまない」
医者は「気に入った、君の望む通りにしてやろう」
場面は変わって北海道の旅館
超絶美人の女性が「住み込みで働きたい」と旅館に来る
働くようになった女性に、若女将が「なんであの女がちやほやされてるの?」と嫉妬する
殺された兎と一緒に若女将の靴が置かれる事件が起きる
その時、若女将は醜い少女の幻影を見る
「嘘でしょ、ハナは沈んだ船で死んだはず…」
若女将のご飯に生きた動物を入れられるいやがらせ
それは主人公の女性がされていたいやがらせ
若旦那が美人の女性に迫ってるのを、女将が見る
女将は客の貴重品を盗み、女性に濡れ衣を着せようとする
女性が見つけ、もみ合いになるも、人が聞きつけ、女将の懐の財布がバレる
女将は荷物をまとめでていけとダンナから言われrう
女将は幻影を観ながら「もうやめてハナ」と言い、階段から落ちる
噂で「一命はとりとめたが、心と顔の傷は消えないだろう」と語られる
女性はそれを見届ける
一緒にいた医者と看護師から「これで気が済んだのか?」と問われる
「いいえ、まだ始まったばかりよ」と女性は答える
復讐の旅は続くのか…というのが、第一話の終了部分
観想
残虐とか人の闇とか、怖く暗い話を読もうと思って探して出会った作品
だから掲載紙知らんし、ノン情報で急に電子書籍買って観始めた
絵の雰囲気も相まって、最初「完結した昭和くらいの作品かな?」と思ってた
絵が汚くも幼稚ではないが、キレイでも超絶技工でもない
上手く説明できないが、90年代というか、アウターゾーンくらいと横並びで連載されてても違和感ない
キレイな女性の書き方は、たしかに今風がちょっと入ってるかな?
でも、顔面崩壊した人も書くから、今風もクソもないかも
逆に言えば「絵がめちゃくちゃキレイでそこに目を奪われる」とかではないので、ストーリーに集中しやすいとも言える
描いている時代も相まって「2022年に連載中の作品」に見えなかった
現代の人に取っては「昭和」も、自分たちの「大正」くらいの昔話に見えてるのかなぁ
鬼滅の刃の大正の描かれ方で「自分たちの明治が子どもたちの大正時代くらい」って話を聞いて
自分の邪推としては「作者は、早めに畳む予定でマンガを書き始めた」んじゃないかな?と思う
あまりにも「最初の動機づけ」のところの描き方が蛋白すぎる
もし「先を考えてない」で始めた説が正しければ、凄い「後付け拡張」で2022年まで話の世界を広げたなぁ
もし「戦略的にやった」のであれば、英断かつ「後から解き明かしていく」のストーリーラインを頑張ってるなぁと
話の広げ方と、それを破綻させてないのが(今のところ)素晴らしい
導入ではわからない「復讐対象」にどんどん何らかの制裁を加えていくのだが、キャラを使い捨てにはせず、畳んだり拡張したりを繰り返している
自分も「醜悪で行けば醜側の人間」なので、なんか心痛い時がある
カサネと違って「現実に居ててもおかしないやろ…」くらいな醜悪さの元の顔
連載が進むたび、その顔はマイルドになってくのだけど
ここもかさねと一緒で「その顔メインで展開する」話があるから、マイルドかつ表情を持っていくのはよく在る話
「居そうな顔」だけに共感がある…がそれだけに心配にもなる
現実世界で「これに似てる」って言われる顔の人が居かねない
滅茶苦茶暗くダーティな話やエログロでもなく、かといって爽快勧善懲悪でもない
どちらかというと前者を期待してみたので、拍子抜けでは在ったが、ストーリー漫画としては優れた作品だと思う
それだけに「これからの続話」が期待される
おそらくは、もう少しで完結すると思われる展開にあるので
まとめ
無国籍ってありますが「無年代」な感じの現在の最新連載作を読みたければおすすめ
残酷な現実に抗う、葛藤のある復讐劇が読みたい人におすすめ
爽快な勧善懲悪でも、ずっと陰湿で救いのない話でもない
まだ続刊中なので、どう畳むのかは楽しみで、今からもそのムーブメントに乗れる
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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