052_20240509_鍋に弾丸を受けながら
基本情報
原作:青木潤太郎さん、作画:守山慎さんによる、グルメ旅行ルポマンガ
KADOKAWAのWebコミック配信サイト「コミックNewtype」にて、2021年5月から月間連載中
既刊4巻
大まかな紹介
50000点の美味を求めて美少女(?)が世界の危険地帯に赴き、
現地の怪しくも魅惑的な料理の数々を喰らう!
ノンフィクション&カオス&ハードグルメリポートコミック!
コミックNewTypeの作品紹介より
導入
地球をバックにモノローグ
不思議だ 危険な場所ほど美味いものがある
2018年3月私はメキシコに居た
場面は変わり、夜の人里少ない田舎町の路上、薪をくべられた火の中で何かを焼いている
そしてそこで…「マフィアの拷問焼き」を見学していた
主人公は「ジュンタロー」という黒髪の少女
金髪の美少女から解説を受けている
解説の内容が…
これはメキシカンマフィアの伝統的な処刑です
焚き火の中に自分から身を投げさせる…服を着たまま
主人公と二人、計3人がその場にいる
金髪の美少女はピエロで通訳
通訳対象の黒人で短髪の少女はメンドーサ、メキシコ旅のガイドでボディーガードの現地の青年
場面は変わり、メキシコ出発前、富山某所
友人Kは言う「治安の悪い場所の料理は美味い、そう思いませんか?」
友人Kと主人公は共に釣り人、外国を飛び回る
主人公は「たしかに…」と答える
友人Kは続ける
日本みたいな安全な場所って”70点から90点のものがどこでも食える”んですよ
でも危険な地域では”20点か5万点”なんですよ
場面は戻ってメキシコの焚き火
まさか”メキシカンマフィアの伝統的な焼肉(グリル)”なんてものがあるなんて…
私の脳は…長年に渡る二次元の過剰摂取で壊れてしまっている
だから私の五感を通して観測するこの世界は基本的に美少女しか居ない
「よしできたよー」という声とともに、焚き火から何に包まれた棒状のものが転がり出てきた
ヒモを切り、皮をむく
これが「ロモアールトラボ」だよ!!
焦げが無く、一キレ切ると桜色の面積の割合が多い
柔らかいが霜降りの柔らかさではなく「赤みの火入れの完璧さ」よるものだ
食べてみる
見た目に反してローストビーフじゃない!”ステーキの赤いとこ”だ
味が強い、香ばしくて熱い!炭火焼きだからか
これが”マフィアの拷問焼き(ロモアールトラボ)”
通訳曰く「メンドーサの母校がこの湖の底に沈んでいるそうです」
世界は素晴らしい…
このピカチョス湖を見下ろせるここは、第2サンマルコス村と言われていて、湖の底には第1、現行は”第3サンマルコス村”である
第1はメキシコとアメリカのマフィアの麻薬取引に使われ、第2はココだったがマフィア同士の抗争で荒廃、サンマルコス村は再びピカチョス湖の近くに移った
今居る第2はほとんど空き地、たまに”元居た男たち”がのんびり集まってる
「美味しいなぁ」
また次も「そこは危ないよ」とどこかで誰かに言われたら
「じゃあ何か名物をたべさせてくれないか」と言ってみよう
ここまでで一話
感想
「おもしろいらしい」とタイトルだけ聞いてて、1ページ目みたら…最初どんな話しかわからなかった
初っ端、何か得体されないものを焼いてて「拷問の解説」してるし…
なんなら「グルメ漫画」かどうかも言うてないから、なんかバイオレンスな話しかと
大真面目に「二次元の過剰摂取により自分はおろか周囲すべての人間が美少女に見えてしまう」って設定でやってるのはロックで好き
よく「NEW GAME」とかで「あれは願望を投影しているので全員女性で女性しかでてこないようになってるんだよ」みたいな言説はあったけど…
徹底しているし、ブレてないのがすごいし、その思い切りがロックで良いw
全員容姿は「美少女化されてる」だけなので…
出てくる女子は、大体クールか、陽気な兄ちゃんばかりである(あたりまえ)
「美少女とグルメ」なのに、「おいしい♪」的な可愛いリアクションが無いのは、ある種新鮮ではある
途中、作中人物がこのコミックを観て「おお、私はこんな美少女になるのかー」と喜んでるシーンがあったり
「共感」と「教訓」が要所で来る
「危険なところの料理は、20点か5万点」は、安全なとこで60点なもんばっかり食ってる人格としては「へー!」な感じ
「自炊する利点は、自分が好きなものを好きなだけで食えること」ってのには「そうだよなー!やってみよ!」という気持ちになる
「美味しいものは、危険な地域では”20点か5万点”」という形容し難いほどのドンピシャな言語化
自分の脳内にもあったこのイメージを、生きてるウチに言語化できるとは思えなかった
逆に、自分は「その”20点”を引きたくない」という思いが強すぎて、旅行先でも無難なところへ向かってしまうキライがある
「旅行での食事」と「移動してまで行く価値」を最大化できていない、と口惜しくも自覚している
この言語化は「旅先の美味しいものはタクシーの運ちゃんに行きつけを聞く」「現地のスーパー・商店街を探れ」に似ていると思う
本当に「その土地に行った意味があるくらい、”ならでは”な食べ物」は「現地民が日常に食ってるはずである」という理論
自分たちが手を伸ばし得る情報なんて「ありふれた情報」は、発信(宣伝)したい側の意図が乗ってないわけがない、と
転じて「安全でキレイな食事」とクレンジングされてお出しされてる情報に「クリティカルヒット」みたいな食べ物に当たる可能性は0に近いだろう、という関連性
「趣味」と「同好の士」が欲しくなった
作中の「食を紹介してくれる友人」は、大体釣り仲間
自分の育ってきた環境や仕事など「日常のしがらみとは隔絶した関係性」で共有できるものがあるの、憧れる
「釣り」と「料理」”だけ”でつながってる仲間と”美味しいもの”という情報を共有・経験をしている
なんなら、職業もどんな地位かも詳しくは知らない、けれど人格は深く知っている
利害無く「好きなこと」を共有できる仲間はいいなぁ
本懐の「釣り」に対しては利害あるかもだけど
でも、「美味しいもの」は「カロリー」もほぼ例外無く殺人級なんだなーと
「身の危険」だけでなく「健康の危険」も差し出さないとありつけないか
感想で言語化出来たことが薄いので、ぜひ読んで感じてみてほしい
総評
「非日常」だが「クリティカルヒット級の食事」という、自身が届きえない世界の話に思いを馳せたい人におすすめ
もしくは「危険なとこに行くことが日常レベルで楽勝!」な人への実地的な情報源として読むべし
青年誌のマンガ等で「もうリアルな男たちの出てくるマンガはしんどい」人の避難所としてもおすすめ
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
1mmくらい「ええな」と思って頂けましたら、サポートをお願いします。
(この原稿を使ってるYouTubeチャンネルの活動費に当てます。)