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基本情報
浅野いにお 先生執筆の、青年・日常・SFマンガ
小学館「ビッグコミックスピリッツ」で、2014年22・23合併号から2022年13号まで連載
全100話、全12巻で完結済み
受賞歴
2021年に第66回小学館漫画賞一般向け部門
2022年に第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞
2022年3月23日に「プロダクション・プラスエイチ」によるアニメ化を発表
が、未だ公開情報はない
大まかな紹介
3年前の8月31日、突如東京都に巨大な空飛ぶ円盤、通称“母艦”が襲来。
そこから出撃した“侵略者”の攻撃によって多くの死者が出るが、
アメリカ軍の攻撃によって母艦は渋谷区の上空で停止。
母艦から出撃する侵略者の宇宙船も逐次迎撃された。
上空には母艦が浮き、時折自衛隊と侵略者との戦闘が行われることが日常となった東京で、
小山門出は中川凰蘭ら親友たちと共に青春を謳歌していた。
人類が終了する日が間近に迫っているとは夢にも思わずに。
これを聞くとシリアスなのだが…一話の雰囲気はまた違う。
導入
まず、一ページ目から「マンガ内マンガ」が始まる
「イソベやん」という藤子不二雄&ドラえもんライクなマンガ
それは、話の途中で終わる(巻末にオチの後半が在る)
そこらへんに居そうな「少女の朝の日常」から始まる
少女の名は小山門出
トースト食って、自転車のって、友達と合流して、学校行く
女子五人組で他愛のないことをだべってる
仮にこの世の中が、すべてアメリカの陰謀で出来ているとすれば…
なんだかんだあって、進路指導
「小山はわざとギリギリ赤点になるようにしてないか?不自然だろ」
「不自然にくらいさせてくたださいよ」
「仮定の事情で大学行くのも厳しいです、社畜になるんです!」
場面変わって、高校の屋上
さきほどだべってた少女の一人、中川凰蘭が屋上でラジオを聞いている
「8/31から3年2ヶ月が建ちました、非常事態宣言解除からはもはや3年が経過しようとしていますが、母艦に対する抜本的な対策がいまだなされていないことは、大変遺憾であります」
見上げると、空を覆わんばかりの巨大な円盤
変な音(ひらがなににているが読めない文字で表現)がしている
場面変わって鉄板焼き屋、5人組でだべってる
一人が告られたことを自慢してる
モノローグで「あの頃、私達の日常はそんなふうにして毎日が消費されてゆきました。」
自転車で帰り道、小山門出と中川凰蘭
「家寄っていこうか?」「大丈夫 」「何か在ったら連絡してね」
モノローグ「私はむしろ、何も変わらないその日常が少し不満があって、でもそれはそれでひとつの幸せだったんだと、今と成ってはそう思います」
家に帰った小山門出
ゲームしたりYouTube見たり
記事の中に「川崎市で自衛隊、警戒態勢」
感想
おそらく「JK日常系」「サブカル」「SF」「ノスタルジック」「エキセントリック」「社会風刺」を、作者の脳内で煮染めた作品
いいように言えば「作者のセンスの塊」の作品に思った
それだけに「難解」と評して良いのか…「話の輪郭を掴むまで」に凄く時間が掛かった
なんなら、作品の完結まで「こういう物語なんだ」というのを意識できてたかつったら怪しい
最初は「異星人の円盤が空に浮かんでるだけの、ナンセンス女子高生日常モノ」なのかな?と捉えていたし
ただ、少なくとも「話の読めなさ」「ワンダー」に関しては、ピカイチに思える
伏線かな?と思ったら全然ちゃうとこから話持ってくるし、「なんやこの急な話の展開は」ってなったら、実は伏線があったりするし
荒唐無稽ではあるものの「無秩序でいきあたりばったりか」つったら、そうじゃない気もする
と思ったら、終盤「今思えば、あの最初のキャラクターがなぁ」みたいなんもある
これを「ちゃんと理解できているか」が怪しい自分に、悔しさを感じた
20代の頃に読んでたなら「なるほど!」とか、理解したという確信を(虚勢かもしれないが)高らかに宣言していた、と思うんだけど
自分が「若い感性だ」「ど真ん中だ!」と、思い込めてた年代だから
これが「無知」なのか「感性の衰え」なのか「こういうことかな?」に全然自信が持てない
これは「サブカル」で、これは「SF」で、これは「ノスタルジック」や「エキセントリック」で…って言いたいんだけど、おそらく外してるのだと思う
だから「お、この表現ええな」とか「この絵ええな」とかが、サブカルだったり、作者の好きな文化だったりするのだろうなぁ…くらいは「わかる」というより「自分に刺さる」ことによって認知している
乗ってる車が、年代に合うわけない「ホンダの初代トゥデイ」だったり
それこそ、マンガ中マンガの「イソベヤン」だったり
読んでから思い返すと「社会風刺」や「社会問題」の比率が多い気もする
「ネトウヨ」「パヨク」の話を、違う単語に置き換えてやってたり
左翼や共産主義特有の「内ゲバ」「内部粛清」の話を、現代風に持ってきてたり
東京一点主義や地方格差、差別や選民思想の話をやってたり
「概念の記号化」がすごいなーと思った
言い換えれば「架空化&単純化」というような
放射能を「A」というよくわからないものとして、ドンピシャの名前は出さず、かつ「汚染」や「いわれなき差別」を描いてみたり
先の「ネトウヨ」「ブサヨク」みたいなんを「ネトタコ」「ブサイカ」に置き換えてみたり
女の子はカワイイ…から、ギャップで脳内がバグる
体の表現はやわらかく、顔はディフォルメされてて児童書みたいな素朴さ
劇中劇の「いそべやん」のクオリティが素晴らしかった
1960〜70年代くらいの「印刷の質」みたいなのを、高精彩の今の印刷技術で再現していたり
藤子不二雄作品の「目玉ぐるぐる」「黒バックに赤くて悪い顔」みたいな「強烈な表現」とかを「現代の言葉で」酷い作品にしてたり
総評
多角的なワンダーと、サブカルと青春が、今すぐ摂取したい人におすすめ
おっさんが、自分の感性が「みずみずしいか」のリトマス試験出来る…かも?
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