015_20221020_我らコンタクティ
作品情報
「森田るい」さんによる成年向け漫画
月刊アフタヌーンなので、恐らく青年でいいかな
マンガ対象2018の二位に選出された
講談社からから単行本がでています、全1巻
導入
会社の宴会で、女性が説教(罵倒)されてるところから始まる
「全然使えない」とか「可愛くない」とか
ムカついて宴会を出る
歩道橋で「会社やめようかな」と考える
すると、のそりとした長身の男が話しかけてくる
「ひさしぶりだね」と
話を聞くと、小学校の同級生
「いつも7時か8時にはここ通るのに今日遅いから、すごく待ってた」という
「やばい」と思って走って逃げる
男は手を押さえ「うちの工場が近所で…」と言う
女性が「なぜ待ち伏せをしてたのか」と聞くと、「これを見せたくて」という
「直径が成人男性一人分くらいの大きなバーニア」が現れる
「燃焼実験します」という
実際「ごおおーーー!」と燃焼される
「すごいじゃん」「すごいよ」
男は「飛ばす時は冷却しないと」という
女「飛ばす?どこに?」と聞く
男「宇宙」と答える
女は「こいつばかだ…でも金になりそう」と思う
仕事やめられるかな?
女は「金に変える方法」を模索する
クラファンだったりいろいろ
自分の会社でのコネからパトロンを探して持ちかけることに
微妙に金持ってそうな会社の社長さん
勢いで退職願いを掻いてしまう
上手くいかなくても、投資金だけはせしめる算段
社長さんにプレゼンする
気を引けないし「ふーん」感
に、必死にプレゼンする女性
男は「映写機とフィルムを持ってって宇宙で上映する」と女性から刷ると意味不明なことを言う
プレゼンは上手くいかず、女性は泣き出してしまう
男は「小学校三年生の時観た映画を宇宙人に見せたい」という
映画の次の日、二人で公園で観たUFOに対して見せたいのだという
というところで一話が終わり、果たして二人はロケットを飛ばすのだろうか?という感じのお話。
観想
基本「セカイ系」というか「少数の人間模様」が主軸なお話
「ロケットを飛ばす」というセカイを揺るがしそうな大きい話が軸…であるけれど、主人公のその周り程度の少数人物の葛藤だったり諍いだったりの話
家族との確執だったり、女性関係だったり
そのくせ「科学考証」は割としてるっぽく思えた
ま、これも「自分が知らない」から、そう思えるのかもしれない
でも「シロウト騙せるくらいのリアリティ」なら、目的は達せてるのかも
もう一人の主人公の「男性」が、考えてること読めない…けど、だんだん「かっこいいな」と思えてくる
エヅラは作者の画風も相まって「地獄のミサワ」みたいではあるのだけど…
人の兇行を止めるときに「助走つけてドロップキック」とかするので、なんかダイナミックで躊躇無くて好き
多少「文学的エッセンス」を感じた
絵がなくても、小説でも成り立つかもしれない
よく似た意味で実写でも生える作品かもしれない(ロケットとか無人島とかを除けば)
なんとも言えない読後感だった
ハッピーエンドはハッピーエンドだけど「ハッピーに成った後」は描かないので
そういう意味でも「あの後、どうなったんだろう?」と読者が考える余地を残す残心というかそういうのがある
ちょっとファンタジー
現実的には「町工場のアンちゃんが、資材があるからといって、巨大ロケットを作ることは時間かけても難しい」と思うだが、「長年こつこつやってきた」って押切もいいし、ストーリー的にも「そこはそういうモン」って納得出来る
「マンガならでわ」って感じでそれがいい
後半「宇宙での出来事」を主人公がデータを観つつ「こう動いてるぞ!」みたいな実況があるのですが、それを、マンガのページとしては「神の視点で」ちゃんと絵がある
主人公側からしたら「想像の産物」のはずが、リアリティを持ってページが挿入されていて、読者側が具現化されたものを(宇宙から)観てるってのは、マンガならではだなと
まとめ
たった1巻だけど、まとまってて、それでいて「次が気になるなー」と読ませるマンガなので、おすすめ
時間ないけど…マンガからしか取れない栄養素を入れときたいなーって時とかはぜひ摂取を
「人間、SF、ちょっとファンタジー」的文学なショートショートを「マンガで」読みたい時にはどうぞ
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