046_20240208_転生ゴブリンだけど質問ある?
基本情報
三木なずなさん原作、荒木宰(つかさ)作画の、異世界転生もの青年マンガ
三木なずなさんはラノベ作家ですごい量書いているが、このマンガは原作のみ
集英社「となりのヤングジャンプ」で2020年から連載中
既刊09巻で続刊中
大まかな紹介
平凡なサラリーマンは、交通事故で絶命したはずが、目覚めるとゴブリンになっていた――?
ゴブリンの寿命は僅か七日。
しかし、スキル"人間80年"を付与された主人公は長寿を生かし、
多くのゴブリン、更には絶命寸前の魔王からもスキルを引き継いで異世界で頭角を現していく――。
最弱の種族×最強のスキル=最強無双ファンタジー!
となりのヤングジャンプ公式のあらすじより。
導入
システム開発会社の一室で、八神彰と呼ばれる教育係は、休日出勤していた
後輩が「彼女の誕生日&一周年記念で…」と話すに「帰れ、そんな日に彼女を一人にするな」と言う
帰りに、後輩と彼女が追ってきて、感謝を述べる
が、その二人の前でトラックに轢かれそうな子供をかばい事故死
今際の際に願望をぼんやりと思う
やだな、見送られるより見送る方が良い
80までは生きたかったなぁ
せめて後輩に俺のスキルを渡せたら
見慣れない森で目覚めた
肌の青いゴブリンになっていた
異世界転生したのだと自覚する
その後一ヶ月、ゴブリンとして集落で暮らすに、いろいろとわかる
繁殖力が凄い、妊娠中にも妊娠出来る
寿命は短く7日しかない
ゴブリンはなにか一つ”スキル”を持って生まれてくる
自身もそうだが、めちゃくちゃムラムラするし、めちゃモテル
自分は、生前の望みにより、スキルを身につけていた
「人間80年」寿命が8歳になる
「見送る」ゴブリンが死んだ時に看取るとスキルを得られる
森を探索していると、魔王が瀕死で倒れていた
スキル「ヒール」で回復させる
魔王いわく「277もスキルを持ってるなら器がデカイはずだ、余のスキル受け取ってみないか?」
魔王から「弱肉強食」というスキルを受け取る
この日、魔王が死に、世界は歓喜に包まれた
だが人間は知らない、魔王の驚異が完全には去っていなかったことを
感想
「異世界転生モノ」も大分遠くに来たな、という印象
自分の見識が狭いだけ、とも言えなくもないけれど
物語になりやすく、メインストリームを張れるのは、「世界救う」というお題目の勇者やそのパーティ、または姫様お嬢様、また逆側の魔王、変わり種でも「ゴブリンを滅するもの」だったり
ゴブスレは異世界転生ではないけれど
そんななか「ついにゴブリンに転生」を描いたかと、最初の掴みは引力あった
「スライム」はメインストリームだし、クモと同じかそれ以上のインパクト
「特性(ギフト)」と「制約(縛るもの)」の設定具合が絶妙だと感じた
多くの人のファンタジーのイメージで、普通に描いてしまうと「性欲の強い怪物が徒党を組んで人間襲う」という「残虐な悲劇」にしかならない
残虐非道のゴブリンが繁栄を描いても、絵面が黒いダークファンタジーにしかならなそう
「制約」や「弱い立ち位置」の設計で、加害者感を緩和している
「7日しか生きられない」だったり
「過去はペットとして飼われてた」だったり
「自分以外のモブは、生き帰り等で二度とは会えない」だったり
ここらへんは、以前の「とあるおっさんのVRMMO活動記」の感じとも似ている
それでいて「特性(ギフト・特権)」で「人間にとってやっつけれんことはないが曲者」を演出
「一人一つスキルが与えられる」だったり
「種の維持に特化しており、絶滅の危機には超常の存在を生み出して適応する種族」だったり
人間がゴブリンを追い詰めると人間という種が危険になる、みたいな存在
種族としてのプラスとマイナスのバランスで「人間にとってやっつけれんことはないが無視できず時に有益な存在」という立ち位置を作り出している
ビジュアルもカワイめに描いてるので、「人間と敵対するモンスター」でもない感じにしてあるし
そういう設定にしたから、いくつか印象的なエピソードがあって
一人のゴブリンに執着を持つように促したら、記憶を引き継いで生まれ変われるように進化して、しばらく「長生きへの執着」はなくなってしまってたが、一人の「酒を飲みたいくて長生きしたい」個体が長生きした結果、種族全体の寿命がちょっと伸びるとか
マンガが子どもたちにはびこって、でブリンに対するイメージを良くなるプロパガンダとか
あくまで「人間の知識とやり方」で問題を解決、自分たちを繁栄させていく物語は「ゴブリンを使ったシミュレーションゲーム」みたいで面白い
管理者としての「卓越したゴブリン(ゴブリンロード)」であり、自身もやれることがレベルアップしていく
「神の能力」的に「スキルの合成」とかが出来るようになっていったり
人間との交渉で自治や貿易を広げていったり
「服飾」や「土木」の技術者を育て、品質磨いてブランド育成したり
わかるの人には「アクトレイザー」や「シムアース」的面白さ、というとピンと来るかもしれない
絶妙な「大義」が悲壮感無く前向きで、安心して観てられる
「絶滅の危機に貧していて、今を必死に生き抜かないと全滅」てわけでもなし
まあちょっとだけ「人間が卑劣な手段使ってくるからやり返さな」とかはあるけれど
「世界を救う」という大義名分を背負ってるわけでなし
「世界の謎」はあるけれど、解き明かさなくても良いし
ともあれ、VRMMOゲームほど「目的なく娯楽」というわけでもなく
「自分の種族を現状よりよくしたい」という、地方レベルの繁栄の話で…
自分に合ってたんだと思う
ともあれ、ちょっと「自分の味方に超常の者が多すぎる」というご都合はあるが
これはまあ、作劇上面白くするのに必要な舞台装置だろうけれど
総評
全知全能ではないけれど、超越者が主人公の「種族繁栄シミュレーションゲーム」みたいなんが見たい人に
悲劇や差し迫った焦燥の無い「痛快娯楽作」的な異世界転生モノを読みたい人にもおすすめ
最後までお読みくださり、ありがとうございます!
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