IPA「DX白書2021」を読み解く(2)
この記事では、DXに携わる経営者や事業部門リーダー、またSIer・ベンダーの方向けに、2021年10月11日に情報処理推進機構(IPA)から刊行された「DX白書2021」を読み解いていきます。
(1)では、白書の位置づけ、本編第1部、本編第2部について触れていきました。
(2)では、本編第3部について読み解きます。
約2000文字、3分程度で読める分量です。
なお(3)では、本編第4部を読み解いています。
■第3部:デジタル時代の人材
第3部がフォーカスしているのは、DXの「人材」。内容は以下のように構成されています。
第3部 デジタル時代の人材
第1章 日米調査にみる企業変革を推進する人材
第2章 スキル変革を推進するためのデジタル時代の人材に関する国内動向
企業インタビュー
■第3部 第1章:日米調査にみる企業変革を推進する人材
この章では、企業のDXへの取組状況を日米比較をしながら迫っています。
サマリ:企業のDX推進における人材の課題
・変革を推進する人材の確保:DX推進リーダー、デジタル技術を活かした業務改善、事業創出ができる人材
・継続的な人材の育成:変革を担う人材育成、全社員のITリテラシー向上
・組織風土改革:企業の進むべき方向性、必要な人材のあり方の明確化と社内環境の整備による、自ら変わり、学ぶ文化の醸成
企業変革を推進するためのリーダーのマインドおよびスキル
日本企業はリーダーシップ・実行力・コミュニケーション能力など個人の能力を重視。
一方の米国企業は 顧客志向・業績志向・変化志向・テクノロジーリテラシーなど成果評価と関連する項目を重視。
企業変革を推進する人材の状況
日本では、DX推進を担う人材が量・質ともに不足している。
デジタル事業に対応する人材の職種(人材名)についても定義
(コラムより)DX領域で採用・育成すべき人材像
個人的に興味を惹かれたのは、P100にあるコラム。
DX領域で採用・育成すべき人材のトップ3が「変革リーダー」「業務プロセス改革を牽引できるビジネスパーソン」「ビジネスデザイナー」という非エンジニア領域であった。
日本企業はエンジニア育成のみならず、「変革を引っ張る人材」の育成という本質的な問題に突き当たっている。
社員の学びの方針(学び直し)
AI、IoT、データサイエンス等の先端技術領域に関する社員の学び直し(リスキル)の方針について、日本企業では半数近くが「実施していないし検討もしていない」状況。キャリアサポートの実施割合でも米国企業に大きく水をあけられている。
ITリテラシー
ITリテラシーレベルの認識・把握は日米で大きな開き。
ITリテラシー向上施策を日本企業は「実施していない」が53.7%と、無策の状況。
ここまで見ていると、日本企業の向き合うべき課題が浮き彫りになる。学びの方針策定、キャリアサポート、リテラシー向上施策…。
従業員体験(EX)向上
EX向上の取組みを実施していない日本企業は6割超。EXは離職率低下やパフォーマンス、モチベーション向上との相関があり企業業績への間接影響要素。日本企業は従業員視点の重要性を見直す必要がある。
■第3部 第2章:スキル変革を推進するためのデジタル時代の人材に関する国内動向
この章では、国内の人材動向について詳細に踏み込んでいます。
なぜか総論やエグゼクティブサマリーでは触れられていないのですが、重要と感じた箇所を抜粋します。
IT人材はどこにいるのか?
事業会社には約34万人。IT企業には約101万人。
合わせて約135万人がIT人材の推計となっている。
スキルレベル・市場価値を測る・示すためのツール
ITフリーランスはGitHub・Kaggleなどのプラットフォームを活用している割合が大きい
DX推進上のIT活用における課題と解決の方向性
・企業:デジタル経営戦略の明確化、人材マネジメント制度改革
・個人:グロースマインドセットの醸成
・社会:企業・組織の枠を超えた学びの機会や場の提供、学びのプラットフォーム構築、転換・転職支援やセーフティネットの構築
今回はここまで。
(3)では、本編第4部「DXを支える手法と技術」について触れていきます。
お楽しみに!!
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