スコアを5打縮める為のフットゴルフマネジメント~練習ラウンドで確認する10のこと~
~事前準備で最も重要なのは、本番の為の練習ラウンドである~
前回の記事では、練習ラウンドに向けた日ごろの準備の重要性について書かせて頂きましたが、今回からは、いよいよ練習ラウンドの中身について、詳しく紹介していきたいと思います。
ところで皆さんは、私が行っている6つの前日準備のうち、最も重要なのはどれだと思いますか?(以下、再掲)
1.練習ラウンド(前日+もう1日の計2ラウンドは行っています)
2.ヤーデージブックの作成
3.優勝スコアの予測
4.イメージトレーニング(頭の中で何度もラウンドする)
5.良く食べて、良く寝る
6.朝風呂に入る(これは当日です)
私の場合、練習ラウンドは、①(練習ラウンドの為の練習ラウンド)と、②(本番の為の練習ラウンド)との2回に分けて行っています。①は、2.のヤーデージブックを作成する為のラウンドになり、②は、ヤーデージブックを使って本番のシミュレーションを行い、ヤーデージブックの精度を更に高める為に行っています。つまり、①と②の間に、2.のヤーデージブックを作成する時間が含まれるということになります。
また、3.優勝スコアの予測は、②を終えた後に考えることでその精度がぐっと増します。そして4.イメージトレーニングも、②を終えた後に行うことで、より良いイメージを持ってトレーニングすることができるようになります。
つまり、前日準備の中で私が最も重要視しているのは、練習ラウンドの中でも、”②(本番の為の練習ラウンド)”ということになります。
~練習ラウンドの為の練習ラウンドでチェックする10のこと~
それでは、具体的に練習ラウンドについて解説していきます。
前述したように、私の場合、練習ラウンドは①と②で二回以上行うようにしています。二回行うのにはそれぞれ理由があるのですが、まずは①(練習ラウンドの為の練習ラウンド)について詳しく解説したいと思います。
①(練習ラウンドの為の練習ラウンド)では、主に以下の10個の作業を行っています。これら10個の項目を一言で表すとするならば、「コースチェック」という言葉がピッタリだと思うのですが、言葉の通り、コースの隅々まで細かく確認する作業を行うのが、①(練習ラウンドの為の練習ラウンド)です。
1.コースマップと実際の目で見た印象の違いを確認する
前回の記事で書いたように、ラウンド前の情報収集はできる限り行うのが得策です。ただ、実際にコースに行ってみると、写真や動画、コースマップから受けた印象と自分の目で見た印象とが全く違うことに気付きます。これは、以前の記事にも書いた目の錯覚のせいだったりもするのですが、その多くは、そもそも動画や写真が、3次元の世界を2次元に切り取って表現しているからに他なりません。
以下の動画をご覧ください。これは、ゴルフの祭典と言われるマスターズのNo.16で見せたタイガー・ウッズのスーパーショットですが、ピンとは全く違う方向に打ち出されたボールが傾斜に流されてピンに寄っていき、更にはカップ手前で止まったと思ったボールが、傾斜の勢いに負けてカップインしてしまうという動画ですが、映像の見た目以上に、実際の傾斜がきついということが良くわかる映像だと思います。
また、傾斜だけならず、バンカーやウォーターハザードなども、コースマップと実際の見た目とでは受ける印象が違うので注意してください。マップではバンカーにはまりそうなレイアウトでも、実際にはフェアウェイの傾斜が効いていてバンカーにはほとんど入らないということも有り得ます。
このように、事前に調べた情報と実際のコースの印象が違った場合は、実際のコースでの見た目を優先して戦略を練るようにしていきましょう。重要なのは、事前情報と違うからと言って慌てないことです。「事前情報と実際のコースの印象は違うものだ」ということを理解していれば、何事にも落ち着いて対処できるはずですし、練習でトライしてきたことも決して無駄にはならないはずです。
2.芝やバンカーの質を確認する
ゴルフ場の芝は、50種類以上あると言われている為、全ての種類を把握する必要はありませんが、コーライ芝とベント芝、洋芝の3種類くらいは見分けがつくようにしたいところです。それぞれの芝の特徴と、私なりのフットゴルフ対応策を以下に記しますので参考にしてください。
【コーライ芝】
暖地型芝草の一種ですが、暖地型芝草は至るところに生えているので、日本国内では最もポピュラーな芝種の一つです。冬枯れして白くなっている芝は全て、この暖地型芝草だと言っても過言ではありません。
特徴としては、ベント芝に比べて根が太く、サッカーボールの重さに負けない強さがあるのでボールは沈みません。結果として、ボールと芝の接地面が少なくなる為に、ボールを転がすとガラスの上を転がしているような感覚になります。また、摩擦も少なくなるので、芝目に負けてボールが曲がることもあまりなく、逆に傾斜の影響は受けやすくなっている印象を受けます。
以上より、コーライ芝でプレーする場合は、芝目は読まずに傾斜により注視してプレーすると良いでしょう。
【ベント芝】
寒地型芝草の一種ですが、洋芝ほどは寒さに強くない為、北海道以南で全国的に使われています。ベント芝は葉が細くて柔らかい為、サッカーボールの自重でも十分にボールが沈みます。ボールが沈むと、ボールと芝の接触面積と摩擦の両方が大きくなるので、傾斜通りに曲がってくれるようになります。ラインに迷ったときには、見た目のライン通りに自信を持って転がすのが良いでしょう。
なお、日本のゴルフ場の9割がベントグリーンだと思って間違いありませんが、日本開催のワールドカップ会場となるセブンハンドレッドクラブも、例に漏れずベント芝のグリーンです。ワールドカップでは、前回のモロッコ大会と同様に、グリーンの上を通したアプローチが数多く求められるはずですので、今からしっかりと対策を練っておくことが重要です。
【洋芝】
寒地型芝草と言われ、代表的な品種としてはケンタッキーブルーグラスが有名です。サッカーでは主に埼玉スタジアム等のサッカーグラウンドに使われていますが、ゴルフ界では北海道などの寒い地域に多く、その名の通り、冬でも青々とした見た目が特徴です。
残念ながら、日本国内では洋芝のフットゴルフコースはまだありません。北海道のGOLF5カントリー美唄コースが洋芝ではないかと期待したのですが、どうやらフェアウェイがコーライでグリーンはベントのようなので、この先どこかで洋芝のフットゴルフ常設コースが誕生することを期待しています。
洋芝の特徴としては、コーライ芝よりもねちっこく、絡みついたらなかなか離れないと言われている為、フットゴルフ的にはコーライ芝よりは長いベント芝に近い感覚です。ただ、サッカー経験者には馴染みのある芝なので、一番違和感なくプレーできるのではないでしょうか。
上記のように、芝にはそれぞれ特徴があり、少なからずプレーに影響を及ぼしますので、ラウンドする前には必ずチェックする習慣をつけましょう。
なお、芝は、種類だけでなく、長さも大変重要な要素です。芝が短ければ芝の抵抗も少なくなるので、ランが出てトータル飛距離は伸びますが、芝が長いとランは短くなり、飛距離は出なくなります。キック力がない選手にとっては、飛距離が出なくなるとそれだけでマネジメントが厳しくなり不利が生まれますし、芝が短かい場合は少しのタッチの違いで転がる距離が大きく変わり、繊細なタッチが求められるようになるので、試合当日の芝の長さがどのくらいになるのかも、練習ラウンドで必ず確認する必要があります。
ちなみに、芝のメンテナンスの頻度はゴルフ場によって違いますが、多いところでは、朝晩の2回、グリーンキーパーと呼ばれる芝の専門スタッフたちが数時間をかけて芝刈り機に乗って芝を刈ります。以下の写真はマスターズで有名なオーガスタナショナルでの1シーンですが、このように、芝は毎日誰かの手によってメンテナンスされているのです。
ただ、芝を刈る頻度はゴルフ場によってまちまちですので、練習ラウンドに行ったらゴルフ場のスタッフに、「芝は一日何回刈っているのか」、「明日の朝にも刈るのか」は聞いてみると良いでしょう。
試合当日の朝に刈る場合は高速グリーンでの戦いになりますから、練習ラウンドでの飛距離や転がり方を参考にしながら、翌日に備えた距離感での練習も心掛けてください。