スコアを5打縮める為のフットゴルフマネジメント~渋野日向子がやっている、限りなく実践に近いパッティング練習~
~練習の基本は、本番と同じシチュエーションを作ること~
前回、前々回と、石川遼のパッティング練習について議論させて頂きましたが、今日は、渋野日向子がやっているパッティング練習をご紹介させて頂きます。
個人的には、この練習が一番難易度が高く、実践向きだと考えていますが、細かい話は後述するとして、早速具体的な練習方法を見ていきましょう。下の図をご覧ください。これが、渋野選手が練習終わりに毎日やっているパッティング練習です。一目見て、真ん中のカップに向かって放射線上にパッティングしていることがわかると思います。
では、具体的に見ていきましょう。以下が、この練習のルールです。
①1mのパッティングから始める
②0.5mずつ距離を長くしていき、5mのパットまで各1球、計9球のパッティング練習を行う。その際、ラインは必ず9種類あるようにする。(同じラインは使わない)
③5m(9球目)を入れるまでに3回失敗したらやり直し
この練習の素晴らしいところは、”仮想の9ホール”を設定してトレーニングしているところです。前の記事でも述べましたが、試合で起こり得ないシチュエーションは練習しても練習の効果、質が下がってしまう為、”練習メニューは常に試合で起こり得る状況を想定して考える”必要があります。
しかし、今回ご紹介する渋野選手の練習は、”9ホールプレーする間に、同じ位置、同じ距離、同じ傾斜、同じライ、そして同じラインのパッティングを何度も行う可能性は、限りなくゼロに等しい”という前提のもと、全く違うシチュエーションでそれぞれ1回ずつ、計9回パッティングすることにより、”限りなく試合に近い状態”を意図的に作り出しているということがわかります。更に言えば、”3回失敗したらやり直し”というルールを加えることで、”後半になればなるほどプレッシャーがかかる”ようになり、より試合に近しい雰囲気の中で練習ができるようになるというわけです。全英オープンの最終18番で渋野選手が決めた強気のパッティングは、こうした”実践を想定した練習"の賜物なのかもしれません。
ちなみに渋野選手は、以下の写真のように、ボールをセットする場所にティーを指して目印にしています。これは、渋野選手レベルでも、何度も繰り返しトライしないとクリアできない難題であるということを表しているのではないでしょうか。噂によると、この練習を始めたときには、渋野選手ですらクリアするのに毎日3時間以上かかったとか。
世界を制する、ということは、それだけ地道な努力と長い時間を費やしてコツコツとトレーニングを繰り返さなければならず、また、それができる選手だけが初めて世界への挑戦権を得ることができる、ということなのかもしれません。
~渋野日向子のパッティング練習フットゴルフ版~
それでは、渋野選手を参考に、フットゴルフ版パッティング練習を考えてみましょう。基本的な練習の考え方や方法は同じで良いので、以下のように、”パッティングの距離”だけ変更するのが良いと思います。
フットゴルフのパッティングの場合、5mを超えたあたりから難しくなってきますので、最小距離は5mにするのが良いでしょう。「5mはまだ難しい」という方は、渋野選手と同じ1mから始めて、徐々に距離を伸ばしていっても良いと思います。
このとき、失敗したからと言って同じ距離を繰り返し練習することはせず、”次の距離に移る”、もしくは”最初の距離からやり直す”ということを心掛けるようにしてください。ここまで読み進めて頂いている皆さんならおわかりだと思いますが、これも、”試合中に同じ距離から同じパットを繰り返して打つことは絶対にない”という前提と、「試合を想定したトレーニングを行う為には、同じ距離から同じことを繰り返す練習は不要」という考えに基づいて行われているものであるということは容易にご理解頂けると思います。
なお、この一連の練習は、クリアするまで何十回と繰り返すことになると思いますので、最初にパッティングの位置を決めたら、目印としてティーの代わりにカジノチップマーカーを置くのがフットゴルフらしくて良いのではないでしょうか。皆さんも是非チャレンジしてみてください。