スコアを5打縮める為のフットゴルフマネジメント~ヤーデージブックを活用してW杯で上位進出を狙おう②~
~フットゴルフ版ヤーデージブック~
前回の記事では、プロゴルファーが使っているヤーデージブックについて説明させて頂きましたが、私は、フットゴルフにおいても、ヤーデージブックは積極的に活用するべきだと考えています。なぜなら、フットゴルフは、ゴルフと同じように、"ゴルフ場"を使って、"如何に少ない打数でホールアウトするか"を競う競技だからです。ゲームのルールがほぼ同じゴルフにおいて、プロゴルファーが欠かさずに使っているモノをフットゴルファーが使わないのはおかしいですよね。ヤーデージブックを使ったほうがスコアが良くなるのは、火を見るよりも明らかです。
但し、残念ながら、フットゴルフ界にはまだきちんとしたヤーデージブックは存在していません。私が大会プロデューサーを務めさせて頂いた賞金総額世界一の国際大会、「FIFG WORLD TOUR JAPAN FOOTGOLF INTERNATIONAL OPEN 2017」では、TYBさんにお願いしてヤーデージブックを作成してもらおうと思ったのですが、最小ロットがあった為に製作を断念しました。
ただ、2021年に延期になったワールドカップでは、個人戦だけでも500人以上の選手が参加する予定になっており、この最小ロット問題はクリアしていますので、なんとか制作して、選手の皆さんのコース攻略に役立ててもらいたいと考えています。
特に日本人選手の場合、練習ラウンドにおいては海外選手よりも入念な事前準備が可能になるはずですので、本番前からヤーデージブックを作成し、大会での上位進出に役立てられるようにしたいと思っています。残念ながら代表には選ばれなかったとしても、キャディとして代表に選ばれた選手のサポートを行うこともできますので、日本のワールドカップ初優勝に向けて、ヤーデージブックを活用してオールジャパンでコースを攻略していきましょう。
尚、ヤーデージブックは大会の記念品にもなるものなので、制作した暁には記念品としても購入してもらえたら幸いです。
~フットゴルフ版ヤーデージブックにはメモ帳がオススメ~
フットゴルファーの中には、既に自作のヤーデージブックを作成している選手が何人か存在しています。特に、ゴルフも嗜んでいる日本代表経験者に多いのですが、私が知る限りでも桑田寛之選手や小林隼人選手、和志武亮選手などは、自作のヤーデージブックを作ってプレーに活用しています。
私も先日、和志武選手が作ったヤーデージブックを使わせて頂きましたが、どのコースにも対応できるようになっていて、非常に使い勝手の良いものでした。気になる方は和志武選手に直接相談してみてください。
では、実際に皆さんがフットゴルフにおけるヤーデージブックを作るとしたら、どう作ったら良いでしょうか。
理想を言うならば、ゴルフ場のホームページからコースレイアウトを引っ張り出してきて、フットゴルフで使っているホールだけを切り取り、そこにフットゴルフカップをマーキングして・・・とやっていくのが良いのですが、この作業は結構大変ですし、そもそも日本国内のフットゴルフ常設コースのカップやティーイングエリアは、ゴルフの邪魔にならないように、各ホールの端っこのほうに目立たない形で設置されていることも多い為、マップ上に再現するのが難しい場合も多々あります。
私も以前、精細なヤーデージブックを制作してみようと思ってトライしたことがあるのですが、コースマップに載っていない場所にカップがあったりしてあまりに大変だったので作るのを途中で諦めました。
ただ、大変だからと言ってヤーデージブック自体の制作を諦めてしまっては勿体ないので、ここでは、プレーに活かせて作成も簡単な簡易ヤーデージブックの作り方についてまとめていきたいと思います。
まず、ヤーデージブック本体ですが、私は利き足とは逆(左側)のお尻のポケットに入れている為、A7サイズのメモ帳を使っています。なお、表紙が紙だと雨のときにボロボロになってしまうので、必ずプラスチックの表紙のモノを探して買うようにしていますが、このタイプのメモ帳はどこのコンビニにも売っているので、普段は練習ラウンドの前にコンビニに寄って調達するようにしています。
ちなみに、私はリング型で方眼掛のモノを愛用していますが、これは人それぞれ好みがあると思いますので、いろいろ試してみて自分に合うノートを探してみてください。
メモ帳を買ったらもうこれでラウンド前の準備は完了です。ヤーデージブックへの書き込みは、ラウンド前にスコアカードと一緒にもらうペグシルで行いましょう。
~ヤーデージブックには"メモ"を書き込もう~
ヤーデージブックには、プレーする際に必ずチェックすることを書いておくと良いでしょう。チェックすることと言えば、自分で言うのもなんですが、以前に私が書いた記事(練習ラウンドで確認する10のこと)をご覧頂くのが一番わかりやすいと思います。一つ一つに解説がある為に説明自体は長文になっていますが、書くべきポイントは以下の10項目だけです。
1.コースマップと実際の目で見た印象の違いを確認する
2.芝やバンカーの質を確認する
3.当日の天候を踏まえた上で、時刻による風向きをチェックする
4.コース全体の傾斜を確認する
5.ボールの置き所を探す
6.狙いどころとなるラインの目印を探す
7.置き所からカップまでの距離を測る
8.距離計測の参考となる目印を見つける
9.カップ回りの傾斜とラインを確認する
10.優勝スコアを仮で想定してみる
このうち、"絵"が必要なのは、カップ回りの傾斜とラインを確認する9.くらいです。残りは全て、メモで十分に事足ります。どうしても絵が必要な個所がでてきたら、それはそれで個別に対応するのが良いでしょう。
なお、ヤーデージブックを使ったことがない人は、「メモなんて必要ないからヤーデージブックは作る必要がない」とか、「自分は全て覚えているから大丈夫」と言う人がいるのですが、心理学者のエビングハウスの研究によれば、そもそも人間の記憶は、その日に起こったことの74%が次の日には忘れ去られていると言われています。つまり、練習ラウンドの全てを本番まで事細かに覚えておくことは、人間の能力では不可能なのです。だから、記憶は忘れるモノと割り切って、練習ラウンドで気づいたことはなんでもかんでも全てメモするようにしましょう。
ちなみに、ヤーデージブックを実際に使ってみて頂くとわかりますが、次の日に忘れていたとしても、きちんと集中して練習ラウンドを行っていれば、すぐに思い出せる状態にはなっているはずなので、どうしてもメモするのが面倒だという人は、ポイントだけメモしておけば十分です。
参考までに、TBC太陽クラブのNo.1における私のメモを掲載させて頂きますが、読み返すと当たり前のことしか書いていなくて恥ずかしくなりますね(笑)。
ただ、これは私の経験上、ヤーデージブックに、「練習ラウンドでプレーしてみて思ったこと、思いもよらなかったこと」が書かれていると、心に余裕が生まれ、思考がシンプルになって迷いなくプレーすることができるので、敢えて書いています。特に、優勝争いをしているときの極度の緊張状態では、大きな力になってくれます。
私も何度も優勝を意識してプレーしたことがありますが、優勝争いの真っ只中では、只でさえ緊張がピークに達して疲れる上、バーディーを取らなくてはならないところでミスをすると、一気に集中力が切れて思考が正常に回らなくなったりします。最悪の場合は、思考が止まって何も思い出せなくなったり考えられなくなったりして、冷静にプレーできなくなるのですが、そんなときでもヤーデージブックを読み返せば、最低限、普段のマネジメントはできるのです。また、仮に書いたことを覚えていたとしても、メモしたことがしっかりと書かれているという安心感がプレーにプラスの影響を与えてくれます。私にとって、ヤーデージブックは、"喋らないキャディ"のようなモノで、いるのといないのとでは大違いなのです。
~カップ周りの"絵"は、丸で十分~
次に、カップ周りのメモについて紹介していきます。私のTBC太陽クラブNo.1でのカップ周りのメモは以下の通りですが、フットゴルフでは、カップを中心に2~3m程度の芝が短く刈られ、グリーンのような丸い円が作られていることが多いので、絵もこんな感じのシンプルなモノで十分だと思います。前述の和志武選手の自家製ヤーデージブックでも、グリーンは綺麗な心円で描かれていましたね。
なお、丸い円だけだと位置関係がわかりにくい為、私の場合、メモ帳の下方向がティーイングエリアを指すようにして、カップ周りの特徴を書くようにしています。
ところで、目標物からの距離を歩測しろと言っておきながらこのメモには距離が書かれていないのですが、歩測をさぼっているわけではありませんのでご安心ください(笑)。
一応説明しておくと、私の場合、TBC太陽クラブのNo.1ホールは3打目までフルショットすると残りが20~40yになるので、カップまでの距離は毎回必ずきちんと歩測するようにしているのです。これは、練習ラウンドで全ての確認を終えていたつもりでも、当日実際に歩いてみると、練習ラウンドでは見当たらなかった新たな気付きがあったりするからです。また、ひどいゴルフ場だと、芝が剥げて砂利や小石が剥き出しになっていたりすることもあるのですが、自分のラインに小石があるかどうかは当日その場で歩いて見ないとわかりませんので、目の前のコンディションを確認する意味でも、私は、歩測できるときには必ず行うようにしています。
つまり、このホールでは、実際の置き所から毎回きちんと歩測をするから、距離計測のメモは敢えて書いていないということになります。
とは言え、私が考えるヤーデージブックのベストな活用方法は、毎回の歩測結果を事細かにメモしていき、ラウンドを重ねる毎にヤーデージブックをブラッシュアップすることだとは思っています。
フットゴルフは、思った以上に体力と筋力を消耗するスポーツです。特に複数日競技に参加する場合、二日目や三日目に肉離れを起こす選手も出てきますので、ラウンド毎にヤーデージブックの精度を上げ、ミスを減らすだけでなく、歩測の回数や歩く距離自体も短くするようにしていきましょう。