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緊張を味方にする方法

個人差があるとは思いますが、人前に立つと緊張する人は多いと思います。

私も指先と膝が震えます。ライブ・レコーディング・リハーサル…全部毎回です。

どうして緊張するのかというと、やる前から結果を考えるせいでしょう。失敗したらどうしよう、間違ったらどうしようなど、「●●だったら…」が頭にあるからプルプルするんだと思います。

「練習や準備をしろ」「それが足りないから緊張するんだ」と言われると元も子もありませんが、当然それはきちんとやった前提。その上で「どうすれば治るんだろう」と結構長い間悩んでいました。

緊張は体の機能として当たり前。だから悪いことじゃない。

ある時、「緊張とは交感神経が高い状態」ということを知りました。

専門的な話は割愛しますが、交感神経が高くなると精神面が緊張して不安になるそうです。

「体の機能なんだ、じゃあ緊張は悪いことじゃないんだ」と思って、思い切って緊張している自分をほったらかすことにしました。

それに、ある程度場数は踏ませていただいたものの、見ず知らずの人の前で演奏するなんて本来の人間のメンタルからするとかなり特殊な状況だと思います。

堂々と演奏しているように見える一流ミュージシャンでも、計ってみたら交感神経は高いでしょう。人生という長い単位で見たらステージ上での時間はかなり特殊な時間帯なはずです。

そう考えたら自分なんかが緊張して当たり前です。

リラックスさせる神経もちょっと機能させる。

同時に「副交感神経」というものの存在も知りました。体を休める時に働く自律神経なんだそうです。

こちらが高いと体は休息状態(=リラックスしている状態)に近くなるらしいのですが、あまりのんびりヘラヘラしすぎても良い演奏はできなさそうです。表現は情熱ですから、多少はピリッとした瞬間やマインドも残っていた方が良いような気がします。

ちなみに交感神経と副交感神経が同時に並列になることはないそうです。

そうなると「リラックスして演奏する」という行為は、副交感神経が優位に立っている状態ではなく、

「交感神経が優位でありつつも、副交感神経もそれなりに機能している」

という状態であると言えそうです。

確かにガチガチに緊張した状態で本番が始まっても、時間が進むにつれて徐々に落ち着きが戻ってきます。あれは副交感神経が少し上がってきた状態なんでしょう。

でも、できることならもっと早く副交感神経もイイ感じにしたいもの。そのためにはどうしたら良いんでしょうか?

本番前にやっている「2つのこと」。

交感神経だけが極端に上がってしまわないように、そして副交感神経にちょっとでも目を覚ましてもらえるように、本番前に私がやっていることが2つあります。

1つは「深呼吸」です。なんとなく大きく息を吸ったり吐いたりするのではなく、自分なりに手順があります。参考までに流れを書くと…、

・立っていても座っていてもいいので、足の裏に地面が吸い付いているつもりで、ゆっくり地面を引っ張り上げようとしてください。でも、足の裏が地面から離れてはいけません。太ももや膝の裏がしんどくなると思います。

・腰が伸びて、胸も自然と張るような姿勢になると思います。まだ足の裏は地面から離してはいけません。

・その状態のまま、「鼻から」大きくゆっくり、そしてたくさん息を吸ってください。お腹が膨らむと思います。その膨らんだお腹に空気を集めるイメージで吸ってください。

・お腹の空気が頭の先から足の先までどんどん全身を流れていくイメージを持ってください。まだ息は吐きません。

・最も腹圧がかかる場所が感じられると思います。その腹圧がかかる場所に全身を流れていた空気を集めてください。この時もまだ足の裏で地面を引っ張り上げようとしていてください。地面から離してはいけません。

・口をすぼめて、お腹に戻った空気を「口から」小さくゆっくり吐いてください。全部吐き切ってください。

・足の裏で地面を引っ張り上げてようとしていたのを止めてください。足を上げるのではなく、掴んでいたものをパッと手離すイメージです。イメージしづらければ、地面(座っているのなら椅子)がなくなって、自分が落ちるイメージをしてください。細かすぎて伝わらないモノマネでステージがパカっと開いて落ちる感じです。

・腰と肩の位置がストンと落ちて、少し力が抜けたと思います。その腰と肩の位置が、リラックスしている時の位置です。

この腰と肩の位置を保って、ベースを背負って演奏に臨みます。

我流でやっているので具体的な効果については申し訳ありませんがわかりません。自分がしっくりくるからやっているだけです。

もう1つは「ストレッチ」です。

深呼吸のように具体的な流れを上げると、とんでもない文章量になってしまうので割愛します。

お相撲さんの四股のような下半身のストレッチ、腕・肘・肩・手首・首・背中・腰などを回したり伸ばしたりなど、野球選手のイチローがよくやっているストレッチのイメージです。

各部位の筋肉を刺激するというよりも、その奥にある骨を刺激してあげる感じで、かといって曲げすぎず、伸ばしすぎず、ちょうど良い塩梅を探りながらやっています。

最後のワンスイッチを入れるには。

緊張はしているけど体はほぐれてきた。でも、このまま何となく本番に入るのも何か違うような気がする…。

そんなふうに「もうワンスイッチ入れたい」「もっと真に迫った気持ちで挑みたい」と思ったら、何かルーティーンを作ってみるのもいいかもしれません。おまじないみたいなものです。

例えば、大きな声を出したり、メンバーやらスタッフとハイタッチしてみたり。地団駄を踏むのも良いらしいです。

実際、ある超有名バンドもコンサートが始まる直前に舞台裏で円陣を組んで、めちゃくちゃ大きい声をみんなで出してからステージに上がっていました。あれも最後のワンスイッチでしょう。

私も本番前のマインドセットは一応ありますが内緒です。

結論としては、
・緊張の元は交感神経の上昇。
・体の機能だから緊張して当然。
・過度な緊張から抜け出すのに必要なのは副交感神経。
・副交感神経を起こしてあげるのに深呼吸やストレッチをする。
・最後のワンスイッチを決めるのもいいかも。

音楽だけでなく、スポーツでの大事な局面とか、プレッシャーのかかる大きな商談みたいなお仕事の場でも役立ったら嬉しいです(お仕事の場で大きい声は出せないと思いますが)。商談とかしてみたいなあ…。

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