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結局グルーヴって何なんですかね?

試しにググってみました。

グルーヴ(groove)とは、アフリカ系アメリカ人の音楽に由来する音楽用語。推進力のあるリズムの中でパターンが変化することによって生まれる効果や"感触”、「スウィング」の感覚である。
とりわけ、音楽によって足踏みやダンスなどの本能的な反応を引き起こし、聴衆を音楽へ参加させる場合にこの用語が用いられる。

他にも、「波」「うねり」とか解釈はいろいろあるみたいです。演奏の仕方とかリズムの感じ方とか技術的な話も多様にありましたが、収拾がつかないので触れません。

もう一つ試しに「groove」という単語を使ってGoogle翻訳に適当な英文を入れてみました。

「魅了された」
「夢中になった」
「興奮した」
「ワクワクした」

みたいな訳が出てきました。

「聴衆を音楽へ参加させる場合に〜」とか「興奮した」とか、これは演奏している側じゃなくて「演奏を聴いた人」の反応ですね。

そう考えるとグルーヴというものは「どういう体験をお届けしたいか」を明確にすることにヒントがあるような気がします。

極端な例ですが、とってもしんみりしたバラードの最中に、なんの前触れもなくバキバキにひずませたベースの速弾きが入ってきたらどうでしょう。

「それはそれでアバンギャルドでかっこいい!」と思う人もいるかもしれません。でも、会場にいるお客さんが「しんみり体験をしたい曲」だと事前にわかっていたのなら、お客さんのためのグルーヴにはなっていない可能性が高いです。

また、自分一人だけではなく、他のパートと合奏することでしんみり体験をお届けするわけですから、各パートがどうやってしんみりグルーヴを出そうとしているのか、事前に共有しておくことも大切かもしれません。

特に歌い手さんやその曲を作った人に世界観を聞いておいて、「じゃあこういうタッチで弾こう、叩こう」とか「〇〇な感じでこの楽器とその楽器が混ざったら、しんみり感が出るんじゃない?」というコミュニケーションを事前にしっかりしておくことが、グルーヴを出す手がかりになる気がします。

確かに普段演奏をさせていただく時も、「こうノセたい!」とか「こういう風にお客さんの体が動いて欲しい」というイメージを作り手さんやメンバーさんたちに事前に教えてもらって、そう感じられるような演奏方法や合わせ方をします。

でも、いざ本番でお客さんの体の揺らし方を見ると、「あ、そっちなんだ」とか「そういうノリ方なんだ」と思うこともあります。それは「この演奏を聴くという体験」をした結果、そういう体の動きになっているわけですから、楽しんでくださっているのならそれだけで私は嬉しいです。

その体験をしている人の感覚が知りたくて、その人のノリ方に自分が合わせて演奏してみることも時々あります。大きい会場や数千・数万人規模となるとそうはいきませんが。

去年、アメリカツアーをした時にも、前列にいた黒人のお客さんのノリ方が独特だったので演奏中に真似てみました。めちゃくちゃ難しかったです。

中には1人でグルーヴを出せる上手な人もたくさんいますが、私はそれができません。ベースだけでノリを作ろうとか作れていると思ったことは一度もありません。

他のパートと混ざった結果、「楽しげに聴こえて興奮した!」「スピード感があってワクワクした!」と聴いている人たちに思ってもらえたらいいなという気持ちで演奏してきました。

こんな調子で断言できることがないので、結局グルーヴが何なのかは答えが出ません。「グルーヴを出せるようになるにはどうしたらいいですか?」と訊かれてもどう答えていいかわかりません。

ただ、前述の通り、体験にヒントがありそうな気はしているので、「好きなアーティストの曲とか、好きなミュージシャンの演奏を聴いた時にどういう気持ちになったか思い出してみて。その体験を思い出せるような音が鳴ればグルーヴが出てるって言えるんじゃない?」と補足だけはしています。

そして、そういう音を鳴らすために必要なのが、技術や知識、一緒に演奏する人たちとの信頼関係だったりします。

身につけたものの中から、お客さんが求める体験に合ったものを選んで、みんなでディスカッションしながら目指す体験を作っていく。

その結果、お客さんが喜んだり楽しんだりしてくれたら、その演奏にはきっとグルーヴが出ているんだと思います。技術的な話を期待した方には、お気持ちレベルの話になってしまい申し訳ありません。


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