「憧れるのをやめましょう」

「憧れるのをやめましょう」

日本国民の多くの人がこの言葉を聞いたことでしょう。WBC決勝直前のエンゼルス大谷選手の言葉です。

アメリカらしいなと思いました。言い回しが。その言葉が受け手に飛び火し、勇気に変わってエネルギーにあふれた状態になる。私もその一人でした。

同じような経験をしたことがあります。

20数年前。アメリカマイナーリーグ時代。

チームとして連敗が続き、クラブハウスにはどんよりとした空気が流れていました。そんなときチーム内の年齢も上で、リーダー的な存在の選手が試合前に選手を集め、話し出しました。

「俺たちのユニフォームの胸の文字を見てくれ。BRAVES。俺たちは勇者だ。それがどうだ!?俺たちは今勇者か?一人一人、何のためにプレイしているんだ!?」

そう言ったあと一人一人の名前を呼んで、

〇〇はメジャーの経験もあるしいつも模範的な練習態度だ

△△はジョークを飛ばしてみんなを楽しませてくれる

◇◇は家族思いで野球以外のときはいつも家族を大切にする

▽▽はちょっと太っているけど意外と動けるんだ

タケ’(私のこと)は一人異国の地にチャレンジしに来た侍だ

「確かに今我々は苦しい。だけどこの苦しさはずっと続くわけじゃない。もう一度、一人はチームのために、チームは一人のために。一人一人がベストを尽くし、相手に向かっていく。そう、この文字(BRAVES)のように」

クラブハウス内が高揚感に包まれ、一人一人が決意に満ちた目をしていたのが思い出されます

大谷選手の言葉は、アメリカという空気に触れている彼ならではの表現だなと思いました。



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