見出し画像

100名の組織を作るために2年間でやってきたこと

早いものでWealthParkに人事機能の立ち上げ責任者としてジョインしてから2年が経過しました。

前職のじげん子会社で未経験として人事機能の立ち上げや経営企画、PMIをやった4年間は「精神と時の部屋」という表現が一番しっくりきたのですが、正直この2年間も同じような感覚でいます(笑)

一体、僕はいつになったらこの精神と時の部屋から出れるのでしょうか。

それでも、この2年間は前職で得たパターン認識や胆力が活きるシーンも多々あり、着実に自分自身もステップアップしている感覚(自己効力感)は得ることができました。

もうそろそろ3月(年度末)を迎えるので、この2年間の振り返りも込めて、入社してから人事として何をしてきたのか、ということをまとめてみようと思います。(苦労話が多いので参考になるかどうかは分かりません笑)

入社1年目(前半)

僕が入社した時の組織はというと、

・社員数にして50名前後で、その半分が外国籍(この比率は今も同じ)、10か国以上の国籍(今は13か国)
・キャリアのバックボーンは金融、外資コンサル、不動産、上場企業、メガベンチャー、スタートアップ、国外企業のエンジニア、中華圏企業出身と多種多様
・日本語、英語、中国語が飛び交う
・公用語は定義されておらず、全社会議の資料は英語で、発表は日英ランダム(発表者の自由)

と、これだけでもかなりのカオスっぷりが想像できる組織でしたが、当時は役職の一元管理もなされておらず各々の部門で色んな役職があったり、そもそも組織図や従業員データすらもない状態だった為、まずはそこからスタートでした。一体、この組織にはどういう人がいて、どういう階層があり、誰がどういうタイトルをつけているのか。一人ひとりに聞いて回りました。逆にこれが功を奏して一人ひとりのパーソナリティを知るきっかけになったので、良かったなと思っています。入社初期の段階だからこそ、こうした全社員との接点を人事が持つことは後のエグゼキューションのしやすさなども含めて非常に効用は高いと思います。

また、採用に関しても部門の責任者やマネージャーがそれぞれの裁量の中でしており、採用基準もなく、誰がいつどこの部門に入ってくるのかさえままならない状況であることが分かりました。

そこで、すぐに僕は経営とWeeklyの定例の場を設けて、これらの課題をレポートするとともに、アクションプランを決めていきました。

①人事制度の導入
役割期待を言語化し、まずは全社共通のGradeとタイトルを再設定
そのうえで、今いる従業員をプロットして、あるべきタイトル、階層を作り直した(役職のドンガラをした、これは本当にカロリー使った)

②採用管理の一元化
採用窓口をすべて人事に集約、採用ATS(ジョブカン)の導入
また、面接にもできる限り同席して、質の担保と同時に基準を言語化した

③エンゲージメントの可視化
当時の組織は流動性が高く、また従業員が会社の何に期待をしており、何に不満を持っているのかが不明確だった為、wevoxを導入
サーベイ結果をもとに経営と連動して重点課題を設定し改善アクションを繰り返した

また、これらと同時にVisaのフロント対応や産業医の体制構築、継続的な従業員面談もして従業員にとってHRという存在をしっかりと認識してもらえるように地道に、泥臭く動いていました。繰り返しですが、これら、従業員との接点で得たリアルな声をあらゆる方面から拾い上げつつ、それを経営とのWeeklyの場で抽象化、一般化して制度や仕掛けに落としていく作業をしていましたし、この動きが人事では非常に重要だと考えています。

入社1年目(後半)

組織の基盤となる部分がやっとできてきたころ、それはいきなり訪れました。エンジニア組織の崩壊です。ものの1ヶ月くらいのうちに半分以上のエンジニアが退職するという事件がおきました。さらに、ビジネス側でも増員の為の採用ニーズが重なり、1ヶ月で100~150面接をすべて一人で回すという時期が3ヶ月ほど続きました。さらに今までやり取りしたことがないような海外のヘッドハンターと英語でハードなやり取りするなど、確実にこの頃の自分は超サイヤ人でいうと3くらいにはなっていたと思います。(結果的に30人以上の採用にもコミットでき、早期にエンジニアチームも立て直しを図れました。もちろん、一緒に面接対応をしてくれた事業部の協力あってこそなのですが)

また、こうした採用活動の傍ら、人事制度や労務対応もすべて一人で対応していたため、これはもういよいよ無理だな、と1人マルチタスクの限界を感じたのもこの時でした。普通、仕事ができる人ならとっくに人事の増員採用をかけていると思うのですが、このあたりは僕の読みや経験が甘い部分もあり、一歩の出遅れから後手後手に回ってしまったと非常に反省しています。人事たるもの、未来の事業/人員計画を見据えて先回りして手を打つのが常であるべきで、足元の業務だけに追われてはダメなのです。言い換えれば、常に余裕のある状態でないといけないのだ、と。これは当たり前の事なんですが、僕にとっては本当に良い学びでした。

そして、このタイミングで労務と採用の人事の募集を開始し、どちらも非常に優秀な人材を首尾よく採用することができました。入社以来、ずっとWeeklyでランチミーティングを実施しており、チームの関係性はよく、心理的安全性も高い状態ですが、何が言いたいのかというと、どんなに焦っている状態(たとえ猫の手も借りたい、という状態)であっても採用基準だけは絶対にブラさず、オンリーワンを追求する努力は妥協してはいけないな、としみじみ思います。

入社2年目

1年が経過し、改めてWealthParkという会社を客観的に見てみたのですが、やはり「何をしている会社なのか良く分からない」「中でどういう人が働いているのか分からない」という印象が強く、採用と労務がハンズオフになった時間を有効活用して、広報コンテンツに力を入れることにしました。

具体的にはシリーズものの社員インタビューや、Twitter、Instagram、LinkedInなどでの発信を強化していきました。

また、同時に採用ホームページもデザイナーと要件定義を繰り返し、ローンチしました。

組織開発においては、1年目はひたすら経営と土台設計のための議論を繰り返してきましたが、2年目は「ミドルである部長との連携を強化して、一緒に組織作りのエグゼキューションをする」と経営にも明確に宣言して、それを実践してきました。

具体的には、オンボーディングの施策として新たに取り入れた、

・1-3-6ヶ月面談
入社1ヶ月、3ヶ月、6か月のタイミングでアンケートとHRとの面談をする
定点的に入社後の業務フィット、組織フィットをみて、ずれがないかを把握する
・yearly面談
入社1年の節目に、経営との面談をアレンジすることで改めて経営ビジョン/ミッションをインプットする
・メンター面談
普段は接点のない他部門の人があえてメンターになることで同じチーム内では言えないような相談の場としたり他部門との繋がりのきっかけとする

から得た情報や、wevoxのエンゲージメントによって得た情報をもとに、部門別のアクションプランを考えて、従業員のリテンションやキャリア開発に繋げる、ということをしました。

また、最も大きな出来事としては、Behavior Identity(行動指針)を導入したことが挙げられます。冒頭にも説明したとおり、多国籍ゆえの多種多様な価値観があり、それが原因で色んなコンフリクトが生じていた為、WealthParkにとってのベースとなる指針を定義しよう、という事で全社を巻き込んでローンチしました。

こうした人事アクションの積み重ねから、1年目は20%近くあった退職率も2年目は半分の10%以下にまですることができたのも大きな成果といえるかもしれません。

最後に

そもそも、なぜ僕はWealthParkに入社したのか。

一つはWealthParkのCEO川田が掲げるビジョンでもある、オルタナティブアセットの非対称性に対するアプローチと投資という機会は誰にとっても平等であり、リスクリターンも同様にそうあるべきという思想に共感したこと。

もう一つは、不確実性の高い環境の方が面白い、と考えていたこと。確実に成長できそうな環境よりは、むしろ分からな過ぎて失敗しそうなところに身を置いた方がより非連続性の高いキャリアが積めると思っていたこと。

まだまだ道半ばではありますが、次のnoteでは、「次の2年で300名の組織に向けて取り組んでいくべきこと」というタイトルで、以前facebookなども通じて色んな方々と情報交換をさせて頂いた事をしっかりと纏めさせて頂き、テキスト化してみたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?