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設立まで

正和工業での16年間。
施工管理、積算業務、調達・購買など多様な業務で
自分を追い込み続けてきた。

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今回はFIRSTを立ち上げるまで、正和工業での会社員時代の話です。
入社初年度は立ち上がったばかりの「リフォーム事業」の営業を担当しましたが、力不足で成績は低迷。すぐ現場へと配属替えになりました。その後は無休で自分を追い込んでいき、また現場からオフィスワークまであらゆる職域を体験したことで、建設業界の課題を自分の目で見極めることができました。結論から言えば、それが起業の最大の原動力になっています。

▼ 前回のnoteはこちら ▼

現場に出て:施工管理業者の経験

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施工管理部署に配属された後、自社の先輩社員とともに新築工事1件、改修工事1件の施工管理を担当しました。そして転機はすぐに訪れました。営業課長から「一人で現場を担当してみないか?」と声をかけられたのです。一人で管理できるようになれば周りも認めてくれるぞ、と。営業時代の私の落胆や焦りなどを見ていてくれたのでしょう。もちろん私は『やります!』と即答しました。ただ現実は、甘くは無かった。そこから始まったのは、ひたすら学びの日々でした。

当時から正和工業は、㈱大林組、鹿島建設㈱、大成建設㈱、新菱冷熱工業㈱、㈱朝日工業社、日比谷総合設備㈱、大成温調㈱など名だたる大手企業とのご縁がありました。当社は下請企業として現場管理業務を担い、私は時には怒鳴られ、時には慰められ・・・。ヘトヘトになって家に帰っても、明日のことが気になって眠れない。結局、昼夜・休日を問わず8年の間、現場へ通い続けました。でも辞めたいとか逃げたいとかは決して思わず、ここでダメなら後はないと、もうほんとに必死でした。

おかげさまで粘った甲斐があって、建設業界の『いろは』、日本最高峰の『技術』、建築に込める『思い』など、人生の財産となるものを学ぶことが出来ました。ここでの濃い経験が、いまの私を支えていると思っています。

内勤に戻って:積算業務の経験

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8年間の現場勤務の後、内勤に戻ることになりました。そこで最初に担当したのが、積算業務の担当でした。積算業務とは設計図や仕様書から資材にかかる合計金額を計算し、必要な工事費の見積もりを算出すること。建設企業にとって非常に重要な部署であり、ここを間違えると赤字が発生してしまいます。積算業務は建設業の経営を左右する根幹と言えるのです。

以下、積算業務のポイントを3つにまとめてみました。

❶アナログ
建築業界は受注単品製品のため、積算業務は案件ごとにすべて図面を睨みながら、必要な材料の選定とその寸法出しを行います。これを「手拾い」と呼び、熟練が要求される技能となっています。
昨今では「積算ソフト」の利用により効率化も可能ですが、完全自動とまではいかないため、費用算出まで非常に時間がかかっているのが現状です。

❷精度
担当者が拾い忘れて見積もりから脱落している場合でも、案件を受注したら原則請負業者責任となり、費用負担しなくてはなりません。一方で数量の拾い間違いや拾い忘れは、数量によっては会社に大きな損害を及ぼします。そこで損を避けたいと思うあまり数量を多めに拾い過ぎると、こんどは見積額が課題となって案件を受注できません。精度、正確性がとにかく重要になってきます。

❸失注による損失
案件規模によっては、積算業務だけで数十万〜数百万の費用が発生します。しかし積算料金は請求できないため、受注可否によっては実損が発生します。
大手企業ではダブルチェック等の体制が整備されており、上記の課題をリスクヘッジする体制が整っています。しかし、私たちのような中小企業では人的リソースが限られていることから、責任を担当者が一手に引き受けざるを得ません。もう日々の緊張感は半端ではありませんでしたが、反面、建築物の構造は詳細まで学べました。

内勤で異動:調達・購買業務

調達・購買業務を開始してからは、誤解を怖れずに言えば『駆け引き』をメインに学びました。建築工事では官公庁や協会で定めた単価がありますが、受注単品生産であることや、建設業の古い習わしで、「協力業者が暇なら安価に、多忙であれば高価に」、という感じで常に『時価』での取引となっています。
そのため原価予測はもちろんのこと、多数の相見積り取得や腹の探り合いなど、多くの『駆け引き』が発生してきます。また企業によっては「実績が欲しい」等で原価を割って金額提示を行うケースもあることから、限界値が見えづらいこともありました。
この時代は協力業者が赤字を出さないように調整すべく、人一倍、気を遣いながら業務を行っていました。自社のために、取引先に迷惑を掛けては絶対にならない。そうした矜持というか、自分の人間性を試されているとすら思い、調整に全力を尽くしました。

工事グループ管理者の経験

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工事グループの統括管理では、俯瞰した視線での各種現場のマネジメントが要求されます。特に建設現場の場合、管理を行うには製品はもちろん「現場管理者の管理」も必要となり、現場に出向いての状況確認が重要となってきます。   
そのため移動に多くの時間が消費されるのとともに、リソースが不足すると管理業務が疎かになってしまいます。実際のところ、小規模案件は後回しになるのが現状でした。
また管理を行う上で非常に苦労するのが管理文書の様式です。生産性の向上を行うべく各種管理文書の様式を統一したいものの、現実的には発注者(官公庁、ゼネコン等含む)によってすべて様式が異なります。したがって現場単位で「用途は同じでも異なる様式で」管理文書を作成する必要があったため、効率的な管理を行うのは困難でした。生産性を少しでも向上させようとすれば、最終的にはマンパワーで押し切ることしかできず、根本的な解決はずっと図れないままでした。

採用業務の経験

採用業務では、新卒採用だと即戦力は望めないことから、正和工業では経験者の中途採用をメインに行っていました。建設業界は市場で圧倒的に人材が少なかったため、待遇面で余裕のある他業者との人材獲得競争も激化していました。
たとえば紹介会社を経由して採用を行うと、かかる費用は一人当たり平均200万円・・・!そもそも市場に人材が少ないために、求職者に魅力と夢のある会社であり、社風も良いことをアピールして振り向いてもらわなくてはなりません。一方でその人は技能や知識を本当に持っているのか、正和工業とカルチャーフィットするのか、などを慎重に見極める必要があります。そして決めるときは大胆に。責任は重大ですが、自分が面談で決めた人材が活躍する姿を見るに付け、達成感や満足感が大きく膨らんでいったことを覚えています。

まとめとして

以上、正和工業での16年間を駆け足で説明いたしました。建設業での苦労、課題、痛みを解決し、時に抱えながら、一生懸命に生きてきた。それが私、豊田一晴であると、いったんまとめさせていただきます。

そして次回は、いよいよ「起業のきっかけ」です。「なんで、これを、そのままにしているのだろうか?」現場で創意工夫では解決しきれない問題の数々に直面し続け、これはもう本質を変えるしかない、と決意した日。熱く語らせていただきます。

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