他人の犬をお世話する本当の理由
アメリカには犬のお世話をしてくれる人を探すサイトがあります。4年前、愛犬の死後、そのサイトに登録しました。そこには我々の紹介文を載せるところがあります。今回4年ぶりにその内容を大幅にアップデートしました。以下その翻訳です。
私は日本の山間部の小さな村で育ちました。実家は広大な土地で米作と酪農を営んでいました。物心ついたときから家にはいつも犬がいました。父親はメスのビーグルが大好きで、私が大学に行くまでに合計3世代のビーグルがいました。彼女たちの名前はどれも同じでメアリーでした。どの犬も鎖では繋がれておらず、放し飼いでした。
東京の大学では獣医学を専攻しました。ある日東京の住宅街を歩いているとセントバーナードの生まれたばかりの子犬たちを目にしました(8匹)。どうしても欲しくなりオーナーに売ってくれないか、と聞いてみました。20万円でどう?当時学生だった私にはそんなお金はありませんでした。
“獣医学科の学生で、大型犬が大好き。私の両親は広大な牧場を経営しているので、この犬は彼らの牧場で自由に育てることを約束します”
オーナーはニコリと笑って、“6万円でいいよ”と。一番気に入った犬を持っていっていいよと言われ、私はあるオスを選びました。彼は笑いながら、“君にはやられたよ。こいつが一番高く売れると思っていた”と。この雄犬は阪神タイガースの最強助人にちなんでバースと名付けられ、両親の経営する農場を自由に走り回り天寿を全うしてくれました。
あれから20年後に私たちはここアメリカでついに大型犬のラブラドール(モモ)を飼い始めました。モモとの毎日は充実しており、一日必ず3回散歩しました(合計1時間半)。私の体重は7キロ減りました。頻繁にミシガン湖畔の犬専用のビーチにも連れて行き好きなだけ遊ばせました(写真)。冷凍庫より寒い極寒の冬の朝でも。ビーチを走り回り、他の犬たちと遊ぶ姿を見ると私たちの心はとても平穏になりました。そして家に帰り餌を食べてぐっすり眠るモモの姿を見ると私たちはとても幸せな気持ちになりました。4年前にモモは14年間の生涯を我が家で妻に抱かれ閉じました。私たちが望んでいた理想の状態で他界してくれました。
それ以来我々は自分たちの犬を飼うことをやめました。そして他人の犬をお世話することを始めました。モモに提供したレベルのお世話を犬たちにも提供しようと心がけています。犬たちは毎日必ず2回散歩します(合計約1時間)。散歩して、裏庭で遊ぶ犬たちの姿はモモの時と同じで私たちに平穏な心をもたらしてくれます。そして疲れ切ってぐっすり眠る姿を見ると本当に幸せな気持ちになります。
“オーナーさんは観光地でバケーション、犬たちは我が家 でバケーション. “
犬たちが楽しんでぐっすり眠ってくれることが我々の喜びです。