石から広がる世界
夫は地質学者だ
海に行ったときのこと
私は地平線に顔を向けて
うわあ綺麗な海だと言った
同意を求めて横を見ると夫がいない
下を向くとしゃがみこんで石を拾っている
私の半ば呆れた顔にも気づかずに
視線を石から離すことなく
石から見えてくるものについて滔々と語り始めた
夫にとって仕事は趣味みたいなものだ
夢中になるし子供のように夢を見る
私の子供たちは
そんな子供のような父親を持って幸せだ
子供たちにも
夢中になれる世界を
「石」を見つけてほしい
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