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シード・アーリーのスタートアップにこそOKRを!

背景・概要


Contreaは現在、社員7名ですが、社員ゼロ人(内定者2人)の時点からOKRを導入しており、他の会社よりも圧倒的に早く導入に踏み切っています。
それもあり、メンバーからOKRを実行するのは時期尚早なのではないかと疑問を投げかけられました。
社内向けにドキュメントを作成しましたが、周りを見てもこのフェーズでOKRを導入してる企業は稀なので、せっかくならばと社外向けにも一部加筆修正し公開することにしました。

とはいえ、まだ導入から9ヶ月間と日が浅いので、もっともっと上手い運用方法はあると思います。私たちも失敗を繰り返しながら、試行錯誤している最中です。これがベストプラクティスというつもりは毛頭ありません
シード・アーリーにおけるOKRの情報が少ないので、導入背景や運用など、あくまで等身大の姿を見せることで、新たにOKRを導入する方の参考になればと思い、筆をとっています。

もちろん、早すぎるだろ!という反論意見もあると思いますが、あくまでもn1の参考情報として楽しんでいただければ幸いです。
では参りましょう!

アーリーフェーズでのOKRは一般的に推奨されていない


出鼻をくじかれるような見出しタイトルですが、上記の「OKR」の本の中ではこのように書かれています。

PMFを見つける前のスタートアップがOKRを使うべきかと聞かれたら、自信を持ってイエスとは言えない。
1週間以上同じ路線を維持できないなら、OKRの導入は時期尚早だ

出典:OKR

…!!
なんと、本書の中ではあまりオススメされていないのです(汗)
(タイトルとのギャップ、すみませんw)

確かに一理ありますが、今のフェーズからやっておくことのメリットもあると思い、導入に至っています。その考えは後述します。

なぜ推奨されていないのか?


著者に直接聞かないと真意は分かりませんが、恐らく「1週間以上同じ路線を維持できないなら」の部分に意図が隠れているかなと思っています。
シード・アーリー期は変化量が大きいので、3ヶ月スパンで考えるOKRは使うべきではないという考えでしょう。

ただ、OKRはなんのために使うのでしょうか?
色々難しいことが書かれていますが、本質的には超シンプルで「全員が同じ方向に向くため」だと個人的には思っています。
この目的に則して考えるとフェーズは関係ありません。一方で、シード・アーリーは人数も少ないからわざわざOKRを設定しなくても全員が同じ方向を向くという希望的観測も相まり、上記のPMF後の運用推奨という意図になっているのだろうと解釈しています。

ContreaではなぜOKRを導入したのか


本書に照らして考えるのであれば、アーリーフェーズの我々はOKRを導入しないのが無難な意思決定です。
が!!  Contreaではアンチ派とも言えるような、まさかの社員がゼロ人の頃からOKRを導入していますww (この本は多分に参考しており、私の教科書でもあるので、全然アンチではないですw)
ここからは今のPMF前のフェーズからOKRを導入した3つの理由について記載していきます。

1. 今から失敗してナレッジを貯めておくことが懸命である

本書でも下記のように何度も「失敗する」と出てきます。

私がOKRの導入をお手伝いしているクライアントには必ず、「最初は失敗しますよ」と警告している。実際にどの会社も失敗するが、失敗の形は会社ごとにまったく違う。

OKRに挑戦する企業は最初はたいてい失敗する。失敗は危険な状況だ。というのも、チームがこのアプローチに幻滅して、再挑戦に及び腰になるおそれがあるからだ。

  • 私も同様の考えで、こういうのって絶対失敗するんですよ。しかも、たちが悪いことに失敗の学習サイクルが3ヶ月毎とかなり遅いです。拡大期に入ると人数も倍増していく中で、この学習サイクルも回さなければならず、運用の難易度が上がります。その結果、多くの場合、アンコントローラブルになり形骸化したり、OKRの導入を諦めたり、運用が回らなくなります。

  • OKRを始めとした目標管理は事業や組織が拡大していくことを考えると、早かれ遅かれ絶対に導入することになります。であれば、機動力の高い今のうちに失敗しておくことで、失敗から学び、ContreaらしいOKR運用を見つけることができます。

  • ちなみに、私は何事にも「失敗」をすべきだと思っています。しかし、『失敗は小さく・早く』が鉄則です。とは言うものの、「早く」がOKRは3ヶ月と固定されており、「小さく」しか変数として残っていないため、組織が小さい今のうちに始めるべきというのが私の考えです。

2. どんなフェーズであれ目標設定は必要であり、3ヶ月サイクルはちょうど良い

  • PMF前は特に暗中模索であり、周りが暗闇に包まれている中でどこが正解のルートか分かりません。だからこそ、「ここが正解に通ずる道だ」とOKRでセンターピンを設定し、そこに向かって歩いていく道標があることは一種の安心材料にもなります。もしかすると、同じOKRでもGoogleとアーリーフェーズのContreaではOKRの意味合いが変わるかもしれません。

  • このOKRというセンターピンに向かって歩いている道中で、陽が昇り始め周りが少しずつ見えてくることもあります。そうなったときに、センターピンがズレていることに気づく時もあります。そうなった場合は元のピンに固執して進んでも意味はなく、ピンを柔軟に修正すべきです。ただし、このセンターピンがあることで、ズレに気づくこともできます。そういう意味で、PMF前のアーリーフェーズでもOKRを取り入れる意味はあると思っています。

  • 目標の合意を最初にとっておくことで、OKRに則した日々の行動について過干渉をしなくて済み、各々のすべきことに集中できるようになると考えています。背中を預けるためにも必要だと思っています。

3. 繰り返していくことで精度も高まる

この精度には「距離」と「位置」の2つがあります。

「距離」の精度とは

  • OKRの醍醐味でもある達成率60-70%を目指すような挑戦的な目標設定のことを「距離」と表しています。言い換えると、どれだけ遠くにセンターピンを刺すかです。近すぎても意味がないし、遠すぎても辿り着けないし、、良い塩梅の距離に刺す精度のことを指しています。主にKey Resultsが担っています。

  • これは弊社では全員が実感していますが、何度かOKRを立てていくことで上手くなっていってます(笑) 最初はBizチームは全く達成できないような目標を立ててしまったり、逆にDevはほぼ達成してしまうような目標だったり、他のチームでも抽象的な立て方だったり、、そこから、段々とチームの実力値も分かり始め、60-80%の達成という挑戦的な目標を少しずつ立てられるようになってきています。(とはいえ、精進中です…


「位置」の精度とは

  • A地点、B地点、C地点のどの位置に向かうかのゴールをObjectiveで定め、A地点と決まれば、そこに辿り着くための経由地としてKRを定めます。これらのゴールと経由地の設定を「位置」としています。3ヶ月のクオーターごとに、ゴールと経由地としての位置設定が正しかったを振り返ることを「精度」としています。

  • 上述の通り、歩みを進める中でゴールが違うことも、経由地が違うこともあります。そうした場合は変えることは自体は問題ではありませんが、設定するときにどこが読み間違ったか振り返ることで、今後の精度を高めることに繋げることができます。これをやらなければ、学習サイクルに乗せることができず、OKRの効果としては半減します。

この学習サイクルは規模を問わず必要ですし、特に我々のようなアーリーフェーズでは日々外的・内的環境により目まぐるしく変化しているからこそセンターピンが必要であり、振り返りをしながら「距離」と「位置」の精度を高める癖付けを今からしておくことが、組織としての基礎体力となり、今後のmoatにも繋がると考えています。だからこそ、今のフェーズから真剣にOKRと向き合っています。

ContreaでのOKRの運用について


まだまだ発展の途上ですが、OKRの決め方と運用方法について、簡単に記載します。詳細が気になる方はぜひご連絡ください。

OKRの決め方

まずは経営チームで全社のObjectiveとKey Resultsを考え、たたき台を作ります。たたき台としたのは、メンバーにも伝え、質疑応答をし、その中で鋭い指摘により見直すこともあるからです。
オーナーシップを持ったメンバーが多いため、白熱したディスカッションになり、私としては毎回緊張とともに発表していますww

その後、一度持ち帰り、再度発表し、全社のOKRが確定します。全社のOKRが確定したら、次に各チームが全社のKRを達成するためのOKRを設定します。
各チームのOKRの設定も毎回大白熱です。私からはもちろん、チーム外の各メンバーからも様々なフィードバックがあるので、再度反映して、3ヶ月間のフォーカスすべきことを決めていきます。

人数が多くなったら全員参加型は現実的ではありませんが、少ない人数の中では「全員が同じ方向に向くため」にも、このプロセスが重要だと感じています。

日常の運用と振り返り

ここはまだまだ甘いと感じています。
最初は設定したことで満足してしまい、よくありがちな日常では気に留めず、クオーターの終わりが近づいて「あ!そういえば!」のような運用方法でした。

反省を踏まえ、全社定例、各チーム定例でもOKRをベースとした発表とディスカッションを行うように変更しました。
これにより、以前よりもOKRに紐づいた短い振り返りのサイクルと意識付けはできています。しかし、定例では主に共有の形が多く、ディスカッションに発展することは少ないので、位置の誤差に気付くのが遅れてしまったりということもあります。定例は参加人数が多いのでディスカッションには向かない会議体なので、仕組みを変える必要があるなと感じています。次はここを改善していく予定です。

やっていないこと

  • 個人に紐づいたOKRの設定

    • 人数もまだ少ないことから個人の紐付けはしておらず、チームのOKRのみの運用です

  • 人事評価に紐づいた設計

    • Contreaでは人事評価を導入していません。今後は紐付けるか否かを含めて検討していく事項になります。

  • 罰則・表彰

    • 罰則は今後とも導入する予定はありません!w そんなスタートアップ嫌ですよねww

    • ピアボーナスの表彰はありますが、OKRに紐づいた表彰は今のところありません。

個人的に感じるOKRの副次的効果


  • ディスカッションが是とされる空気感と信頼の醸成

    • 決め方にも記載した通り、上下やチーム関係なくディスカッションが大白熱します。ちゃんとボールを投げたら返ってくるという当たり前のことを当たり前にできることで、信頼関係も生まれます。これにより、OKRではないところでもディスカッションや意見することのハードルが下がり、組織の透明性にも繋がっているように感じます。

  • 自分とメンバーの目線の擦り合わせ

    • 次の3ヶ月で何を全社的に目指すかというのは、自分自身が何に課題を感じていたり、優先度を高く感じているか思考を整理し、言語化する機会でもあります。

    • また、メンバーはメンバーで考えているので、両者の考えをミックスし、3ヶ月ごとに目線感をチューニングするのは良いスパンだと感じています。(もちろん、3ヶ月を待たずしてチューニングすることもあります)

最後に


今、良い形でOKRを運用できているのは、本当にメンバーのお陰によるものなので、この場を借りて感謝を伝えます。こだわりが強くて面倒な代表だけど、いつも付き合ってくれてありがとうございます!!

非連続的な成長も連続的な日常によって成り立っています。OKRをうまく活用し、お互いに背中を預けながら10xな未来に向かって歩みを進めていきたいと思います!

まだまだOKR運用の完成形には程遠いですが、これからも工夫をしていき、アップデートの情報もお伝えできればと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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