ブログの締めに使われがちな「いかがでしたか?」が妙なキモさを放つ理由
ブログの最後のほうに、おもむろに問うてくるアレ
いかがでしたか?
もしかして、このセリフ...
いかがでしたか?
よくわからないけど、カッコ良いセリフなのかもしれない
昔の僕は、そう思っていたのです
僕は、ブログを3年近く続けています
僕は、自分の文章に自信がなかった
だから、「いかがでしたか?」なんて読者に聞く勇気がなかった
小心者なのです
おそらく、過去に1度くらいは勇気を出して「いかがでしたか?」を使ったことがあったかもしれない
なんとなく、それがブログの正しい締め方な気がして…
いかがでしたか?
今さっきの俺…どうだった?
的な...
僕には言えない...
だけど...
言いたい...
シェフに憧れて
見た目も言動も冴えない彼は、30年間ずっと彼女ができずにいた
彼の名前は、「彼」という
やっと思いで女性をデートに誘い、初めてできたのが彼女だ
彼女の名前は、「彼女」という
彼女は可愛い
彼女のためなら、どんなことでも改める
彼女のために生きていく
彼は、たぶん2、3日くらい前にそう誓った
人生のペルソナは、彼女しか考えられなかった
とある夜
彼女とは、何回目のデートだっただろうか
彼は彼女に喜んでもらおうと、高級ディナーに招待した
二人は、異次元の空間に足を運び、半笑いのウエイターが慣れた所作で席まで案内してくれた
二人は「この店で一番旨い」と評判の看板メニューをオーダーした
高級なお肉
丁寧に切り分け、口の中に放り込む
とろけるような食感が、口の中に広がる
こんな旨い肉を食べたことがない
彼女は?
幸せそうな顔をしている
彼女の表情を見て、彼もまた幸せな気持ちになった
だいたいのメシが片付いた頃、この店のシェフが現れた
本日は、ご来店くださいまして、誠にありがとうございます
シェフは軽く頭を下げたあと、我々に…おもむろに問うてきた
お味は、いかがでしたか?
彼女「はい、すっごく美味しかったです」
シェフ「ありがとうごさいます(キラッ)」
彼女「(ポッ)」
彼女は、目をキラキラさせている
彼女は、ウットリしている
彼は、互いの眼差しを交互に見比べた
彼は、シェフに嫉妬していた
なんだこいつ
しかし、彼は思った
それにしても、シェフ…
イケメンすぎる
一瞬だけシェフを抹殺しようと考えたが、彼は瞬時に気持ちを切り替えた
彼女を喜ばせるために生きていくと、2、3日くらい前に誓ったばかりだったからだ
殺(や)ってる場合ではない
彼はオトナだった
彼は、すぐにシェフの良いところを取り入れようと試みていた
彼には、元来この素直さがあったから、30歳になっても初カノができたのだろう
彼はシェフの言葉を反芻した
いかがでしたか?
かぁ…
なんてイケメンなセリフ…
はじめての夜
お腹もいっぱいになり、ほろ酔いの二人は何となくホテル街に来ていた
こんなところに来たことがない彼は、彼女に後押しされて、ホテルでチェックインを済ませた
彼にとっては初めてのコト
いよいよだな
予習はそれなりにしてきた
たぶん大丈夫…
ヤルしかない
あ…
うまくいかない…
あ…
あ…
ひとしきりに
コトが済んだあと
・・・
・・・
・・・
・・・
彼は仰向けまま
果てていた…
すべてを出し切った
これ以上出るものは何もない
・・・
・・・
彼女は?
あれ…
表情が……無…になっている
彼女の表情からは、一切の感情が読み取れない
不満だったのかな?
・・・
・・・
気まづい…
彼は焦ってきた…
まずい…
何か言わなければ…
彼には、思いつく言葉が見当たらない
こんなとき…
なんて声をかければいいのだろう…
気持ちよかった?
だろうか…
絶対に違う
それくらいのことは彼(バカ)でもわかる
イケメンは…
イケメンなら…
なんて声をかけるんだ…
シェフ…
あれだ…
彼はおもむろに…
あのセリフを言い放った
いかがでしたか?
・・・
・・・
彼女「ん?…なにが…?」
彼「いやっ、だから、さっきの……
…どうだった?って…
意味…
なんです…… が……」
・・・
・・・
彼女「……ぉ…………ぉん…」
・・・
・・・
・・・
翌朝…
彼女は、彼の前から姿を消したのです
おわりに
ブログの締めに使われがちな「いかがでしたか?」が妙なキモさを放つ理由について言及してきたが
いかがでしたか?
是非、皆んなの感想を聞かせてほしい
以下に、コメント欄を設けてないが
いかがだったのか
それだけが知りたい