I want to hold your hand/This boy(多分UKオリジナル…?)
夏の初め頃に楽器ショー的な催しに行きました。楽器は特に買うつもりは無く(失礼…)、知り合いに挨拶回りをしつつ、どんな物が有るのかな?ほほう?と見て回る程度だったのですが、奥の方で中古レコードを販売していたブースがちょっと気になりまして。
あまり期待をせずに箱の中を漁っていたら、おや?何やら出てきましたよ…
The Beatlesの1963年発表「I want to hold your hand/This boy」のUK盤7インチシングル。所謂レコードマニアではないのではっきりとは分かりませんが、恐らく1st プレスのオリジナル盤というやつなのでしょう。
状態がよろしくない為、かなりお安かったのですが、盤面から何だかとても雰囲気を感じて気になり、値段も値段だし、まぁ、聴ければ良いかな?と、とりあえず連れて帰ってみる事に。
さて、針を落としてみましょう。
I want to hold your handの面から。
ご覧の通り細かい傷は多く、それなりにノイズは有りますが、針飛びもせず、とりあえず、聴けます。というか、想像していたより大分マシです。
しかし、盤自体はこの状態ではありながらも、音の鮮度自体は全く落ちていない事に驚きました。そして、音に密度と厚みを感じ、しっかりと濃厚な味わいで、後味はスッキリ。我が家のショボいオーディオやポータルプレイヤーで聴いてもこうなのですから。あぁ、これがオリジナル盤のマジックというやつなのでしょうか。
では、盤をひっくり返して、This boyを聴きましょう。
冒頭でジョンが掻き鳴らす、Gibson J-160Eの音の生々しい事。こんなにリアルさを感じる録音だったのか、めっちゃ良い音じゃないですか………とイントロだけで感動してしまいました。
勿論、3声のハーモニーも美しいですし、リンゴが終始細かく刻むハイハットもとても気持ち良い音。良い曲が更に良く聴こえるというものです。うーん、やはりこの盤は買っておいて正解だったようですね。
ちなみに、J-160Eというのは。
1954年にGibson社から発表されたモデルで、要はピックアップ付きのアコースティックギターなのですが、アンプに通して使用する事を主に想定した為、生鳴りの音量が小さくなるというアコースティックギターとしてのデメリットを抱えつつも、フィードバック対策の為にボディの表板は単板ではなく合板に…という仕様になっていたのです。
ところが、ジョン(とジョージ)はこのギターにマイクを立て、敢えてアコースティックで使用する事を好みました。1967年頃までの録音で聴けるアコースティックギターの音はほぼほぼプラグインしていないJ-160Eなのです。
随分と前の話ではありますが、僕も一度ヴィンテージのJ-160Eを触らせてもらう機会が有りまして。確かに、大きな音でワイドにリッチに鳴るという方向性ではなく、しかしながら、音量はある程度抑えられつつも、決して楽器本体の鳴りが弱いようなそれではなく、とても音楽的で心地の良い響きに感動したのです。なるほど、歌もののアンサンブルに溶け込んだ時に良い仕事をする楽器なのだろうな…と合点が行った良い経験でした。
ちなみに、アンプに繋いだ時の音はI feel fineなどで聴けます。
レコードの話をしていたはずなのに、結局楽器の話かよ…あれれ…
実はこの盤を買う時に、本当はThe Rolling Stonesの1973年ハワイ公演のパンフレットを狙っていたのですが、7インチ盤の箱を漁りながらボヤッとしていたら、他のお客さんにスッと買われてしまいました。しかし、良い盤を引き当てたので、結果オーライという所でしょうか。
ちなみに、この時はもう1枚購入しました。
はい、かの名盤、Sgt. Pepper's lonley hearts club bandです。こちらはUSオリジナル(多分)のモノラル盤。
モノラルのSgt. Pepper'sですよ。いやー、嬉し過ぎる。UKのバンドだし、せっかくならUKプレス…とか何とか思ってしまいますが、このアルバムのUKオリジナルのモノラルだなんて言ったら、とても手が出せるようなものではないでしょう。
それにしても、これもなかなかなお買い得品だったように思います。多少針飛びはしますが、まぁ、許容範囲です。満足。
US盤はA day in the lifeの後の謎メッセージ永久リピートは収録されていないのですね。ちょっと寂しいような、しかし、曲が終わった後にびっくりしなくて済むので安心なような…
というわけで、楽器を見に行ったはずが、なぜか格安でオリジナル盤買ってきて喜んでいたおじさんの話でした。では、また!
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