会計士試験合格の本質とは

公認会計士試験合格者のみなさま。おめでとうございます!

みなさまのこれまでの筆舌に耐えがたい努力が実り、本日の結果につながったのだと思います。

過酷な試験勉強の日々を乗り越えて勝ち得たこの結果、喜びも一塩のことと思います。

本当におめでとうございます!

15年前に会計士試験に受かり、大手監査法人、事業会社、経済産業省、法律事務所、社外役員など複数のお仕事をしてきた僕個人が思う「公認会計士合格の本質」について、2023年の会計士試験に合格され、これから会計専門家として新たなキャリアをスタートするあなたにお伝えしたいと思い、このブログを書いています。少しだけでもお時間を貰えると嬉しいです。

I. 会計士は生活に困らない

公認会計士試験を合格されたあなたは、今後生活に困ることはないでしょう。

監査法人

監査法人に5年も勤務すれば年収1,000万円は見えてくるでしょう。監査実務経験が多少でもあれば時給6,000円-10,000円で監査法人での監査のバイトの仕事が溢れています。仮に監査法人を退職しても生きていけます。

コンサル

会計事務所系や戦略系のコンサルなどは総じて監査法人より給料が高く(1.2倍~2倍くらい)、若くして財を築くことができるでしょう。

事業会社

事業会社に就職し経理部門でお仕事する方もいらっしゃるかもしれません。
公認会計士試験合格者であれば、大手企業でも監査法人と同じ程度の給料を提示してくれるはずです。
お給料事情はお勤めになる会社によって異なるかもしれませんが、総合商社、広告代理店など監査法人よりも高い給料の業種業態で働いている会計士も多くいます。

スタートアップ

中にはスタートアップに就職される方もいらっしゃるかもしれません。
上場を経験することができれば、自身のストックオプションが数千万円から数億円になるケースもあります(まぁ、、、多くの場合、上場に辿り着くのはほんの一握りで、仮に上場できたとしてもストックオプションが1円もつかない、価値がついても数百万円程度ということの方が圧倒的に多いですが。)。


いずれにせよ、皆様がこれまでの会計士試験で培った知識をもってお仕事すれば、生活に困ることはないでしょう。

つまり、「膨大な試験勉強を前提とした上での合格率7%という狭き門に挑戦するリスク」を取った結果、「社会人として生活に一生困らないというリターン」を得ることができたとも言えるのではないでしょうか?

II. 会計士試験合格をリスクとリターンで考える

このリスク(=合格率が7%の難関試験への挑戦)とリターン(=生活に一生困らない)の関係性について時間軸を敷いて整理してみましょう。起点をどこに置くかで整理して考えたいと思います。

公認会計士試験勉強開始時

会計士試験勉強開始時を起点にした線表を見てください。
試験勉強を開始した時はリスクを取って合格率が7%程度の過酷なチャレンジを行っている。そして、無事合格を勝ち取った暁にはその負担したリスクに対するリターンは試験合格後に得ることができます。
試験勉強開始時点において、負担するリスクも得られるリターンもいずれも将来である点が共通しています。

公認会計士試験合格時

次は会計士試験勉強合格時を起点にした線表を見てください。
公認会計士試験という極めて過酷なチャレンジに成功した結果、その負担したリスクは過去のものとなり、将来に渡って追加でリスクを負担することなくリターンを得ることができます。
いわば人生のボーナスタイムに突入したことを意味します。


これがファイナンス理論に立脚した公認会計士試験の合格の本質です。
そんな公認会計士試験を合格することができたあなたに改めて祝福の言葉をお送りします。

以上が、僕からお伝えするあなたへの賛辞になります。

最後に15年間会計士としてお仕事をしてきたじじいの戯言を少しばかり。

III. リスクフリーの人生は楽しいか?

あなたは今、公認会計士試験合格「前」に負担したリスクによって、公認会計士試験「後」に見合ったリターンを請求する正当な権利を有しています。

これはあなたに認められた権利であるため、誰から咎められることもなくあなたが排他的独占的に自由に行使することが認められています。

あなたは無双状態で楽勝な人生を送ることができるでしょう。

でも、、そんな人生って楽しいでしょうかね???

確かにあなたはとんでもなく大きなリスクを負担してそれを乗り越えた。そして、今日の合格という結果がある。
しかし、今日のこの合格の日を起点に改めて意思決定会計のフレームで考えてみよう。

あなたの負担したリスクは既にあなたの人生のサンクコストだ。今後あなたが行う意思決定に対して一切の考慮要因足り得ない。

ここで意思決定会計の観点で強調したいのは、試験に見事合格し、将来がリスクフリーになったことは、別のリスクを取れる余白があなたの中にもう生じて始めているということだ。

IV. 会計士とは怪我しない砂場みたいなもの

本当に最後に僕の会計士の捉え方を少しだけ紹介させてください。
会計士を含む資格とはプットオプションみたいなものだと考えています。

「これ以上自分の生活が悪くなることはないことを国が保証してくれているもの」程度にしか思っていないです。

最近では「サンドボックス」という言葉をよく聞くようになりましたが、「サンドボックス」とは「砂場」という意味で、挑戦して失敗しても大けがしない社会的なセーフティネットのことを指しています。

僕は会計士という資格も個人的には同じように機能し得ると考えています。つまり、会計士という資格があることで失敗しても怪我しないことが担保されているから挑戦することができるのだと。

是非、あなたにもリスクを取って挑戦するそんな会計士になってほしいと思います。

そして、是非いつかお仕事ご一緒しましょう!!!

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